2009年 09月 10日
Bartók, Schumann: Vn Sonatas@Kremer, Argerich - 2 |
ベルリン・リサイタル(二枚組)の二枚目。

http://www.hmv.co.jp/en/product/detail/3544124
国内盤はこちら↓

Berlin Recital 2006
Gidon Kremer, Martha Argerich
CD2
Schumann: Kinderszenen, Op. 15
Bartok: Violin Sonata No. 1 (1921)
Kreisler: Liebesleid
Kreisler: Schon Rosmarin
Gidon Kremer, violin
Martha Argerich, piano
Live Recording: 12/2006, Philharmonie, Berlin
シューマンの子供の情景をアルゲリッチが弾くというのもなんだかベタすぎる気がする。アルゲリッチは昔から子供の情景とクライスレリアーナは良く取り上げており、またラヴェルではマ・メール・ロア、プロコではシンデレラなどを好んで弾く機会が多い。
改めてこれを聴いてみると、どうも巧すぎる子供の情景というのは曲風にあまり合っていない気もする。ピアノを習い始めて5~6年経った子供が訥々と弾いている姿を想像してしまうからいけないのかもしれない。この作品はシューマンのピアノ曲の代表作とされるもので、元々音符が少なく最小限度の旋律進行とシンプル極まりない分散和音を用いて最大の調和を得ているところが特徴と言える。そのため、運指における難易度に関しては敷居は低く誰でも手軽に弾いて楽しむことが可能なのだが、離散した音符と音符の間(ま)をどのように埋(うず)めていくかがこの曲の演奏を完結させる上で最大の課題とも言える。アルゲリッチは当然の事ながら詩情豊かに、時に優しく、時に強く音符を紡いでいく。
二枚目のメインディッシュはバルトークの1番ソナタだ。これは非常に激しい曲で、VnとPfのバトル・セッションとも言うべき自由発想の作品。手に汗握るスリリングでアクロバティックな掛け合いはアルゲリッチ/クレーメルならではの割れ鍋に綴じ蓋(?)状態、いや衝撃の坩堝(るつぼ)状態だ。満席の広い広いベルリン・フィルハーモニックをたった二人で作る音が占拠し、そしてホール全体の空気と観客の耳をグリップして離さないのである。最終楽章も終わりに近付くと聴いている自分がトランス状態に移行してくる感じがする。
アルバム最後はアンコールだろうが、何故かこれまたベタなクライスラー、愛の悲しみと美しきロスマリンを情感たっぷりに(皮肉っぽく?)二人で弾き倒す。
テーマ性が希釈そうなのだがカップリングが極端で面白いアルバムだ。ライブということで多少荒いところも見られるが臨場感たっぷりの香り高い録音に仕上がっている。
(録音評)
EMI、6933992、通常CD。CD-TEXT対応でトラック冒頭には曲目がスクロール表示される。音質はニュートラルで穏健、ライブにしては静かな背景の録音で昨今のEMI録音の典型だ。広いフィルハーモニックのサウンドステージがちゃんと広大に収録されており、アンビエンスも直接音も程良いブレンドだ。但し、ピンポイントで奏者の音像にフォーカスさせるような捉え方ではないのでクレーメルがステージ中央に迫り出したりアルゲリッチの激しい息遣いが拡大されて聞こえると言うことはない。録音品質は高く、調音は大人の風合いだ。
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Berlin Recital 2006
Gidon Kremer, Martha Argerich
CD2
Schumann: Kinderszenen, Op. 15
Bartok: Violin Sonata No. 1 (1921)
Kreisler: Liebesleid
Kreisler: Schon Rosmarin
Gidon Kremer, violin
Martha Argerich, piano
Live Recording: 12/2006, Philharmonie, Berlin
シューマンの子供の情景をアルゲリッチが弾くというのもなんだかベタすぎる気がする。アルゲリッチは昔から子供の情景とクライスレリアーナは良く取り上げており、またラヴェルではマ・メール・ロア、プロコではシンデレラなどを好んで弾く機会が多い。
改めてこれを聴いてみると、どうも巧すぎる子供の情景というのは曲風にあまり合っていない気もする。ピアノを習い始めて5~6年経った子供が訥々と弾いている姿を想像してしまうからいけないのかもしれない。この作品はシューマンのピアノ曲の代表作とされるもので、元々音符が少なく最小限度の旋律進行とシンプル極まりない分散和音を用いて最大の調和を得ているところが特徴と言える。そのため、運指における難易度に関しては敷居は低く誰でも手軽に弾いて楽しむことが可能なのだが、離散した音符と音符の間(ま)をどのように埋(うず)めていくかがこの曲の演奏を完結させる上で最大の課題とも言える。アルゲリッチは当然の事ながら詩情豊かに、時に優しく、時に強く音符を紡いでいく。
二枚目のメインディッシュはバルトークの1番ソナタだ。これは非常に激しい曲で、VnとPfのバトル・セッションとも言うべき自由発想の作品。手に汗握るスリリングでアクロバティックな掛け合いはアルゲリッチ/クレーメルならではの割れ鍋に綴じ蓋(?)状態、いや衝撃の坩堝(るつぼ)状態だ。満席の広い広いベルリン・フィルハーモニックをたった二人で作る音が占拠し、そしてホール全体の空気と観客の耳をグリップして離さないのである。最終楽章も終わりに近付くと聴いている自分がトランス状態に移行してくる感じがする。
アルバム最後はアンコールだろうが、何故かこれまたベタなクライスラー、愛の悲しみと美しきロスマリンを情感たっぷりに(皮肉っぽく?)二人で弾き倒す。
テーマ性が希釈そうなのだがカップリングが極端で面白いアルバムだ。ライブということで多少荒いところも見られるが臨場感たっぷりの香り高い録音に仕上がっている。
(録音評)
EMI、6933992、通常CD。CD-TEXT対応でトラック冒頭には曲目がスクロール表示される。音質はニュートラルで穏健、ライブにしては静かな背景の録音で昨今のEMI録音の典型だ。広いフィルハーモニックのサウンドステージがちゃんと広大に収録されており、アンビエンスも直接音も程良いブレンドだ。但し、ピンポイントで奏者の音像にフォーカスさせるような捉え方ではないのでクレーメルがステージ中央に迫り出したりアルゲリッチの激しい息遣いが拡大されて聞こえると言うことはない。録音品質は高く、調音は大人の風合いだ。

by primex64
| 2009-09-10 11:03
| Solo - Vn
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