2009年 08月 04日
昨今のピアニスト考 - 3 |
メジャーレーベルから昨今売り出し中というと、この人だろう。その風貌からか日本でもなかなか人気があって来日公演はどこでも札止めだそうだ。この動画は「お得意」のリストからカンパネラ。マゼッパ同様に巧くはない。
CDで超絶技巧を聴く限り左手の運指や音量に問題があったのだが、動画で見るとそれは一目瞭然だ。やはり左手の力点と作用点、そして支点の使い方に問題があるようだ。つまり腕力の不足を補おうとする心理からか手首が激しくお辞儀運動をしているのだ。熱情3楽章だが、ここでも同様、右手のブリリアンスが光る一方左手の打鍵は弱い。
リストといえば、レスチェンコのアルバムは絶倒ものだった訳だが、残念ながらソロで弾いている動画は見つからなかった。しかし、連弾のアレンスキー組曲#1が見つかった。ルガノ・フェスティバル2002の絵らしい。まだあどけなさの残る表情をしているがピアノは既に完成されている。この超難曲を超高速超絶技巧で弾き倒すレスチェンコが克明に写っている。
この人の運指はまさに理想的な力学フォルムであり鋼のようなソリッドな音の源泉になっていることは明らかだ。左手も右手も仮想支点が固定され微動だにしない。それにしてもレスチェンコの指は細く長く、現存するリストの石膏手形とよく似ている。このPart2の佳境部分は豪放磊落でまさに絶倒ものだ。
女流で高いプレゼンスを持っているといえばシャニ・ディリュカで、グリーグそしてメンデルスゾーンの無言歌が印象的だった。テレビ番組の特集ものの録画が見つかった。なんともメロディアスで包容力、訴求力の強いピアノを弾く人物だ。この独特の感性は将来を嘱望するに余りある才能と言える。Part1~2前半はグリーグの小品集で瞑想的かつキラリと光るインプレッシブな曲が幾つか入っている。
Part2の冒頭からいきなり「トロルの行進」をアップテンポで弾きまくっているが、この時の両手の支点の低さと安定度、そして鍛え抜かれたマッシブな両腕に注目だ。紗良オットの左腕と比較すると力学的効率がいかに異なるかが良く見て取れる。
Part2後半~Part3にメンデルスゾーンが入っていてしっとりしたピアノが聴ける。有り余るパワーをコントロールしつつレガート基調でじっくりと曲想を塗り重ねていく様は圧巻。ロマンスで見せる得も言われぬ彼女独特のアーティキュレーションには溜息が出てしまう。なお、ここでディリュカが弾いているピアノはヤマハなのだが、どうもそうは聞こえなく舶来ピアノのようなノーブルな音に響いているのが不思議なところ。
いろいろなピアニストを動画で見てきたが、どうも聴感上の印象と動画での運指、打鍵には密接な相関関係があるようだ。高速な疾駆感はやはり合理的な打鍵法により生み出されていたと言うこと、音量コントロール(抑制)には並々ならぬ腕力と感性が必要と言うことが良く分かる。
(了)
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CDで超絶技巧を聴く限り左手の運指や音量に問題があったのだが、動画で見るとそれは一目瞭然だ。やはり左手の力点と作用点、そして支点の使い方に問題があるようだ。つまり腕力の不足を補おうとする心理からか手首が激しくお辞儀運動をしているのだ。熱情3楽章だが、ここでも同様、右手のブリリアンスが光る一方左手の打鍵は弱い。
リストといえば、レスチェンコのアルバムは絶倒ものだった訳だが、残念ながらソロで弾いている動画は見つからなかった。しかし、連弾のアレンスキー組曲#1が見つかった。ルガノ・フェスティバル2002の絵らしい。まだあどけなさの残る表情をしているがピアノは既に完成されている。この超難曲を超高速超絶技巧で弾き倒すレスチェンコが克明に写っている。
この人の運指はまさに理想的な力学フォルムであり鋼のようなソリッドな音の源泉になっていることは明らかだ。左手も右手も仮想支点が固定され微動だにしない。それにしてもレスチェンコの指は細く長く、現存するリストの石膏手形とよく似ている。このPart2の佳境部分は豪放磊落でまさに絶倒ものだ。
女流で高いプレゼンスを持っているといえばシャニ・ディリュカで、グリーグそしてメンデルスゾーンの無言歌が印象的だった。テレビ番組の特集ものの録画が見つかった。なんともメロディアスで包容力、訴求力の強いピアノを弾く人物だ。この独特の感性は将来を嘱望するに余りある才能と言える。Part1~2前半はグリーグの小品集で瞑想的かつキラリと光るインプレッシブな曲が幾つか入っている。
Part2の冒頭からいきなり「トロルの行進」をアップテンポで弾きまくっているが、この時の両手の支点の低さと安定度、そして鍛え抜かれたマッシブな両腕に注目だ。紗良オットの左腕と比較すると力学的効率がいかに異なるかが良く見て取れる。
Part2後半~Part3にメンデルスゾーンが入っていてしっとりしたピアノが聴ける。有り余るパワーをコントロールしつつレガート基調でじっくりと曲想を塗り重ねていく様は圧巻。ロマンスで見せる得も言われぬ彼女独特のアーティキュレーションには溜息が出てしまう。なお、ここでディリュカが弾いているピアノはヤマハなのだが、どうもそうは聞こえなく舶来ピアノのようなノーブルな音に響いているのが不思議なところ。
いろいろなピアニストを動画で見てきたが、どうも聴感上の印象と動画での運指、打鍵には密接な相関関係があるようだ。高速な疾駆感はやはり合理的な打鍵法により生み出されていたと言うこと、音量コントロール(抑制)には並々ならぬ腕力と感性が必要と言うことが良く分かる。
(了)
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by primex64
| 2009-08-04 16:17
| Music
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