2009年 06月 17日
Michala Petri: 50th Birthday Concert@Petri, Kremerata Baltica |
デンマークのOUR Recordingsの新譜、現代最高のリコーディストの一人に数えられるというミカラ・ペトリの50歳の誕生日を祝う記念コンサートのライブ盤から。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3563020
ALBINONI: Concerto d-min. Op.9 No.2
Chen YI: The Ancient Chinese Beauty for recorder and strings MOZART: Andante C-Maj. K315
ROTA: Concerto for Strings
VASSILIEV: Valere Iubere (To say goodbye) for recorder and strings
VIVALDI: Concerto C-Maj. RV443 for recorder and strings
HEIDRICH: from Happy Birthday Variations:
Film Music - Polka/Waltz - Tango - Czardas
Michala Petri(Recorders)
Kremerata Baltica
Daniil Grishin(Cond)
聴き慣れたクラシックのスタンダードから現代音楽までを幅広くフィーチャーした楽しいアルバムだ。ペトリという人の演奏は初めて聴いたのだが実に楽しそうに、そして溌剌とした笛を吹く人で、しかも驚くほどの超絶技巧なのだ。尚、バックのアンサンブルはクレーメルが主宰する楽団で、その名もクレメラータ・バルティカだ。
冒頭はちょっと騒々しい雰囲気の中で始まるアルビノー二のコンチェルトOp.9は、元々はオーボエ協奏曲でありハインツ・ホリガー等の名演奏はいっぱいある有名曲だ。この作品は他の独奏楽器、例えばフルートやトランペットの編曲版もあったりして世の中には色々なバリエーションが出ている。ここではペトリがソプラノ・リコーダーで軽妙に吹いていて、クレメラータ・バルティカの典雅な弦やチェンバロと相俟っていかにも中世イタリアンな雰囲気を醸している。
次の数トラックは中国の現代女流作家、チェン・ユイのThe Ancient Chinese Beautyで、これは大きな構成の組曲風の作品だ。調性はあまりはっきりしないが拍子はわりと明確な現代音楽。但し12音技法とは言えない独特の手法で、途中にはチャイニーズ・トーンも出現したりして異国情緒(=エスニック・テースト)も混ざっている。伸び伸びとしたリコーダーは変幻自在、持ち替えで色んなリコーダーを吹いたりして聴き飽きない。
途中にあるロタの作品は弦楽のみの作品で、タイトルが協奏曲とはなっているが所々でVnソロが出現するくらいで、どちらかというと合奏協奏曲の風情の現代音楽だ。
ペトリのソロを含むコンサート・プログラムとしては最後となるヴィヴァルディのRV443は、現代においてピッコロその他の高域楽器で吹かれる機会も多いが、本来はソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲であって、これは本家本元の笛のための作品だ。ペトリは笛をソプラニーノに持ち替えて驚くべき技巧を見せつける。山間へ分け入ると小鳥が飛び回り、あちこちで囀っているシーンに出会うが、まさにそんな感じでペトリのソプラニーノがあちこちを闊達に飛び回るのだ。
最後、慣例となっているHappy Birthday to you♪・・・の変奏曲をクレメラータの面々がユーモアたっぷりに演奏する。客席は終始爆笑と手拍子の嵐に包まれる。最後はチャルダッシュに模した憂愁に満ちた情感たっぷりの変奏に聴衆の歓喜も絶頂に達し、録音はここで終わる。
(録音評)
OUR Recordingsレーベル、8226905、録音はDa capo classicsとなっていて、これは以前に聴いて印象にあるラロ/スペイン協奏曲と類似の系統の音だ。収録場所はTivoli Garden Concert Hall,Copenhagen,Denmarkとある。
このCDは先日のkenji邸オフ会に持ち込んで激しく破綻して巧く鳴らなかったものだ。マイナスイオン処理の効果も全く現れず、ワンワンと煩いステージに痩せてギスギスしたリコーダー、キンキンの弦が団子になって出現し、どう聴いても音場・音像ともに瓦解していた。
ところが、自宅で聴いたところ、冒頭から恐ろしく多くの音が聞こえる。ライブ盤と言うことで本来は聞こえないような音まで全部拾っていて、とにかくサウンドステージは深いし定位も割と明確だ。冒頭1~3トラックは少々荒れた風情ではあるが4トラック目以降は落ち着いて漆黒の背景を取り戻す。但し聴衆のノイズもステージ上の奏者のノイズも盛大に拾っている。また、コントラバスの重低音の伸びと低音ビームの飛び方が激しい。ペトリのリコーダーへのフォーカスは非常に鋭いピンポイントで臨場感が凄まじい。
kenji邸のラインナップ:
Accuphase DP-85→P氏製作のプリ→eAR202 Ref→THIEL CS2.3
拙宅のラインナップ:
Accuphase DP-85→MLAS No.38L→eAR1001×2→THIEL CS7.2
パワーアンプとスピーカーのスケール差こそあれ、クォリティ的には殆ど同等と考えて良い両環境でこれほどの音質差異を見せるCDも珍しいと思った。鳴らすのは恐らく簡単ではないのであろう。パターンとしては前出のラロのCDやALIA VOXに似た音場成分が含まれると見た。今後とも要経過観察のディスクだ。
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http://www.hmv.co.jp/product/detail/3563020
ALBINONI: Concerto d-min. Op.9 No.2
Chen YI: The Ancient Chinese Beauty for recorder and strings MOZART: Andante C-Maj. K315
ROTA: Concerto for Strings
VASSILIEV: Valere Iubere (To say goodbye) for recorder and strings
VIVALDI: Concerto C-Maj. RV443 for recorder and strings
HEIDRICH: from Happy Birthday Variations:
Film Music - Polka/Waltz - Tango - Czardas
Michala Petri(Recorders)
Kremerata Baltica
Daniil Grishin(Cond)
聴き慣れたクラシックのスタンダードから現代音楽までを幅広くフィーチャーした楽しいアルバムだ。ペトリという人の演奏は初めて聴いたのだが実に楽しそうに、そして溌剌とした笛を吹く人で、しかも驚くほどの超絶技巧なのだ。尚、バックのアンサンブルはクレーメルが主宰する楽団で、その名もクレメラータ・バルティカだ。
冒頭はちょっと騒々しい雰囲気の中で始まるアルビノー二のコンチェルトOp.9は、元々はオーボエ協奏曲でありハインツ・ホリガー等の名演奏はいっぱいある有名曲だ。この作品は他の独奏楽器、例えばフルートやトランペットの編曲版もあったりして世の中には色々なバリエーションが出ている。ここではペトリがソプラノ・リコーダーで軽妙に吹いていて、クレメラータ・バルティカの典雅な弦やチェンバロと相俟っていかにも中世イタリアンな雰囲気を醸している。
次の数トラックは中国の現代女流作家、チェン・ユイのThe Ancient Chinese Beautyで、これは大きな構成の組曲風の作品だ。調性はあまりはっきりしないが拍子はわりと明確な現代音楽。但し12音技法とは言えない独特の手法で、途中にはチャイニーズ・トーンも出現したりして異国情緒(=エスニック・テースト)も混ざっている。伸び伸びとしたリコーダーは変幻自在、持ち替えで色んなリコーダーを吹いたりして聴き飽きない。
途中にあるロタの作品は弦楽のみの作品で、タイトルが協奏曲とはなっているが所々でVnソロが出現するくらいで、どちらかというと合奏協奏曲の風情の現代音楽だ。
ペトリのソロを含むコンサート・プログラムとしては最後となるヴィヴァルディのRV443は、現代においてピッコロその他の高域楽器で吹かれる機会も多いが、本来はソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲であって、これは本家本元の笛のための作品だ。ペトリは笛をソプラニーノに持ち替えて驚くべき技巧を見せつける。山間へ分け入ると小鳥が飛び回り、あちこちで囀っているシーンに出会うが、まさにそんな感じでペトリのソプラニーノがあちこちを闊達に飛び回るのだ。
最後、慣例となっているHappy Birthday to you♪・・・の変奏曲をクレメラータの面々がユーモアたっぷりに演奏する。客席は終始爆笑と手拍子の嵐に包まれる。最後はチャルダッシュに模した憂愁に満ちた情感たっぷりの変奏に聴衆の歓喜も絶頂に達し、録音はここで終わる。
(録音評)
OUR Recordingsレーベル、8226905、録音はDa capo classicsとなっていて、これは以前に聴いて印象にあるラロ/スペイン協奏曲と類似の系統の音だ。収録場所はTivoli Garden Concert Hall,Copenhagen,Denmarkとある。
このCDは先日のkenji邸オフ会に持ち込んで激しく破綻して巧く鳴らなかったものだ。マイナスイオン処理の効果も全く現れず、ワンワンと煩いステージに痩せてギスギスしたリコーダー、キンキンの弦が団子になって出現し、どう聴いても音場・音像ともに瓦解していた。
ところが、自宅で聴いたところ、冒頭から恐ろしく多くの音が聞こえる。ライブ盤と言うことで本来は聞こえないような音まで全部拾っていて、とにかくサウンドステージは深いし定位も割と明確だ。冒頭1~3トラックは少々荒れた風情ではあるが4トラック目以降は落ち着いて漆黒の背景を取り戻す。但し聴衆のノイズもステージ上の奏者のノイズも盛大に拾っている。また、コントラバスの重低音の伸びと低音ビームの飛び方が激しい。ペトリのリコーダーへのフォーカスは非常に鋭いピンポイントで臨場感が凄まじい。
kenji邸のラインナップ:
Accuphase DP-85→P氏製作のプリ→eAR202 Ref→THIEL CS2.3
拙宅のラインナップ:
Accuphase DP-85→MLAS No.38L→eAR1001×2→THIEL CS7.2
パワーアンプとスピーカーのスケール差こそあれ、クォリティ的には殆ど同等と考えて良い両環境でこれほどの音質差異を見せるCDも珍しいと思った。鳴らすのは恐らく簡単ではないのであろう。パターンとしては前出のラロのCDやALIA VOXに似た音場成分が含まれると見た。今後とも要経過観察のディスクだ。

by primex64
| 2009-06-17 10:49
| Concerto - others
|
Trackback
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Comments(4)

ひさびさにお邪魔いたします。
ペトリももう50才ですか~~?
以前聴いたとき、若おくさまというか、すごく可愛らしい方で、
その人から超絶技巧の演奏が出てくるのを不思議な気持ちで聞きましたが
すごく素朴で暖かく、そして上手いです。
聞いた時、数本のリコーダーを同時に吹く技も見ました。
CDは結構高いので手が出ませんが、
もう一度聞いてみたいですね~~
ペトリももう50才ですか~~?
以前聴いたとき、若おくさまというか、すごく可愛らしい方で、
その人から超絶技巧の演奏が出てくるのを不思議な気持ちで聞きましたが
すごく素朴で暖かく、そして上手いです。
聞いた時、数本のリコーダーを同時に吹く技も見ました。
CDは結構高いので手が出ませんが、
もう一度聞いてみたいですね~~
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nyankoさん、ご無沙汰です。
ライナーにはコンサート当日に花束を渡されてほほえむペトリが写っていますが、綺麗ですよw 若く見えますし・・。
>聞いた時、数本のリコーダーを同時に吹く技も見ました。
Chen YIとVASSILIEVの作品では一部で複数吹いてハモっている感じですね。
またそちらへ伺わせてもらいますねw
ライナーにはコンサート当日に花束を渡されてほほえむペトリが写っていますが、綺麗ですよw 若く見えますし・・。
>聞いた時、数本のリコーダーを同時に吹く技も見ました。
Chen YIとVASSILIEVの作品では一部で複数吹いてハモっている感じですね。
またそちらへ伺わせてもらいますねw

はじめまして いつも拝見して,特にSACDの購入については大変参考にさせていただいておりまして感謝しております。
今回は私の大好きなペトリをご紹介いただいたので嬉しくてコメントを差し上げました。6年ほど前の山口への単身赴任中に,山口県岩国市で夫君とのデュオコンサートがありまして,念願叶って生で聞くことができました。
そのときも数本のリコーダーを持ち替えたり,同時に拭く技も見ました。
年輪を重ねても,腕は維持されていてきっと凄い努力なのでしょうね。
これからも良い音源をご紹介ください。
末筆ですがこれを機会に相互リンクしていただけると嬉しく思います。
今回は私の大好きなペトリをご紹介いただいたので嬉しくてコメントを差し上げました。6年ほど前の山口への単身赴任中に,山口県岩国市で夫君とのデュオコンサートがありまして,念願叶って生で聞くことができました。
そのときも数本のリコーダーを持ち替えたり,同時に拭く技も見ました。
年輪を重ねても,腕は維持されていてきっと凄い努力なのでしょうね。
これからも良い音源をご紹介ください。
末筆ですがこれを機会に相互リンクしていただけると嬉しく思います。
toku1209 さん、初めまして。
毎度MusicArenaをご愛顧下さりありがとうございます。ペトリのリコーダーは本当に楽しいですw
リンクですが早速設置させて頂きました。MusicArenaへは既にリンク頂いていたようで感謝に堪えません。
では、以後よろしくお願い申し上げます。
毎度MusicArenaをご愛顧下さりありがとうございます。ペトリのリコーダーは本当に楽しいですw
リンクですが早速設置させて頂きました。MusicArenaへは既にリンク頂いていたようで感謝に堪えません。
では、以後よろしくお願い申し上げます。