Concert for Harp & Organ@Kaiser, Northoff |
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ハープとオルガンによるコンサート
・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲~アダージョ
・チャートック:ベージュ色の夜想曲
・ダマーズ:ラプソディ
・アルベニス:コルドバ
・バッハ:パルティータ第3番BWV.1006~プレリュード
・チャイコフスキー:『エフゲニー・オネーギン』~幻想曲
・ブランコ:オルガン協奏曲
・サミュエル=ルソー:田園変奏曲
オルヤ・カイザー(ハープ)
ウルリケ・ノルトホフ(オルガン)
録音:2007年8月(デジタル)
このCDは未試聴のまま先日開催されたkenjiさん邸オフ会に持ち込んだ。怪しさ満点のこのジャケットを前に参加者一同は固まってしまった。
プレイボタンを押した瞬間に眼前に拡がる大聖堂の空気感がただものではない。直後、幽玄なオルガンがあのアランフェスの憂愁に充ち満ちたアダージオの導入部を奏で始める。16フィート長フルー管(手鍵盤のブルドン・ストップか足鍵盤のプリンシパルに割り当てとある)が通奏低音を厳かに刻む中、これまた妙なるハープがトレモロとトリルで主旋律を歌い始めるのだ。アランフェスは元々ギター協奏曲なので、ソロパートをハープで弾いても確かに親和性は良好だと想像はつくし、実際にオケとハープのアランフェスは例が多い。しかし、オルガンをバックにここまで填った効果を発揮するとは思わなかった。
のっけからやられてしまったのであるが、他に収録されている初めて聞く曲はどれもが耳に優しくて美しい旋律・和声が特徴だ。バッハのパルティータ3番はテンポ的には多少苦しい気もするが、それでもこの二つの楽器のコンビネーションは新鮮で耳を奪われてしまう。エフゲニー・オネーギンの色彩感豊かな展開がオルガンとハープに置き換えられるとまるで別の曲を聴いているようで、これは生唾ものだ。
最後に入っているサミュエル=ルソーという人の田園変奏曲は初めて聴いたが、予測を裏切る前衛的な和声と、旋律のクロマティック(半音階)進行は耳の奥に残像として焼き付き、何度でも聴き返したくなる曲だ。
楽器編成の斬新さにばかり耳が奪われるアルバムなのだが、この二人、演奏は極めて巧いことも付記しておく。
(録音評)
K&k Verlagsanstaltレーベル(ドイツ)、KUK11、東武トレーディングによる輸入、通常CD。音質は隈取りの太い堂々たるもので、楽器の直接音から聖堂の残響音まで余すところなく明晰に捉えている。今どきの高解像度を強調した殊更に繊細な路線ではなく、初期のDENON PCMを彷彿とさせる艶消しブラックの飾り気のない素直な音質は素晴らしい。
16フィート長の片閉塞パイプが持つ基音は理論的には32Hzだ。これが深々とした良い響きで、しかもこの聖堂の残響はとても綺麗だ。また、オルガンとハープとでは大きさがこれだけ違うにも拘わらずハープが大音響に埋もれることなく明確に捉えられているのは凄い。しかも「Direct 2 Track Stereo」とあることからリアルタイムでミキシングしてこれだけの音量ならびに質感のバランスを得ていることは驚異的ですらある。
ウーファー最低域の直線性を試すには好適な録音で、音場再現性のチェックにも向くだろう。また音楽的にも気軽に楽しめる内容となっている。変わり種だが価値ある一枚だ。
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オルガン演奏者が女性なのでハープを労わる様にバックに徹しているから成り立っています。
オルガンが男だったらきっとハープが台無しになっています。
オルガンもハープも演奏者として普通の人(有名だったらごめんなさい)だから聴かせてやると言う力みが無い。
何度聴いても飽きません。
http://www.kuk-art.com/galleries/harp-organ/
CDでは得られない繊細で力強いハイレゾでお聴きください。
新しい発見があります。