The Sound of Scandinavia - 5 |
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CD 5 [76.05]
Edvard GRIEG: Piano Concerto in A minor, Op.16
Leif Ove Andsnes (piano)
Bergen Philharmonic Orchestra/Dmitri Kitayenko
Wilhelm STENHAMMAR: Serenade in F, Op.31
Sveriges Radio Symfoniorchester/Stig Westerberg
Lars-Erik LARSSON: Lyric Fantasy for small orchestra
Stockholm Philharmonic Orchestra/Ulf Bjorlin
ここに入っているグリーグPコンはアンスネス/キタエンコ/ベルゲン・フィルということなので、この音源と同じだろう。録音は1991年で、なんとアンスネス21歳の時の演奏だ。これは割と名演奏とされているもので、他からも別のカップリングでリリースされていたりする(例えばVirginのVirgoシリーズなど)。
演奏は完璧なロマン派解釈で非常に情感が籠もった、言い方を変えればべたべたの甘ったるい演奏だ。この若いアンスネスのピアノのタッチは現在と比べて大きく見劣りするものではないが、カデンツァなど主要な露出部分では生硬だったり過度のアゴーギクがちょっと臭かったりと洗練度合いからいえば若い出来上がり。この演奏におけるキタエンコのバトンは大きく揺れるテンポと過度の溜めが特徴なのだが、最新のグリーグPコンにおけるヤンソンスのバトンはこれに比べれば無駄がなく溜めが削ぎ落とされ、そして直進性の強いものと言える。アンスネスのピアノは殊更透徹されてクールにして流麗だ。
ステンハンマルのセレナードは交響曲と言って構わないほど本格的な構成をもったオーケストラ曲だ。叙情的で色彩感に溢れた、いつかどこかで聴いたことのあるような耳に懐かしい旋律と夢のような和声展開にハッとさせられる。シンプルで力強い主題や展開形態はロシア系(チャイコやラフ、ショスタコなど)の造作(途中楽章ではマーラー的な牧歌風情も感じられる)、和声の流れる様な鮮やかな組み立てはフランス印象楽派(ラヴェル、ドビュッシー、フォーレ、フランクなど)の影を連想させられる。
ラールソンの小オーケストラのための抒情的幻想曲は短いのだが前の曲と似て叙情的で鮮やかな作品だ。冒頭のホルンが特徴的な主題を吹き始めるとサラサラと美しい和声が次から次へと流れ出てくるのだ。これももっと有名であって良い曲だと思うのだが。
(続く)
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