2009年 06月 04日
マイナスイオン・ディスク - 4 |
マイナスイオン・ディスクで処理すると良い方向へ行くものばかりではない。数は少ないのだが明らかにアンバランスな方向へ向かうものもあるのだ。
このCDはポリーニ若かりし日のアナログ録音をリマスターしたものだ。この時代のDGの初期リマスター盤としてはありがちな音質で、派手な残響と付帯音がつきまとって洞穴で鳴らしているような風情だ。そして低域は最低端までは伸びてはいないもののピラミッドバランスで心地よく膨れている。高域は荒れ気味でピーキー、歪み臭い。音場や音像も判然とせず何となくカワイのような乾いたピアノがうるさく鳴っているだけ、という代物だ。
これをマイナスイオン・ディスクに一晩密着させておいたら激変した。これまたプラシーボなどといっている場合ではない変貌ぶりで少々面食らう。
高域の荒れもピーキーさもほぼ完全に消失し、メタリックなピアノの弦が見える程に定位が定まった。そしてスタインウェイらしい剛健な中高域のタッチが明瞭に描かれる。このCDはリマスター新譜で購入してからこのかた、こんなにピアノらしい音が入っているディスクだとは思いもしなかった。
ここまでは良かった。しかし、困ったことになった。低域が全く出なくなってしまったのだ。まるでマルチウェイ・スピーカーのウーファーが断線したみたいな音、もしくは小型AMラジオみたいな音になってしまった。高域は歪み感がとれて克明になったとしても低音弦が殆ど聞こえないのではどうしようもない。
これ以外にもやはりピアノの録音だがアラウの遺作も同様の低音抜け落ち現象を呈するし、オケものではプラッソンの名演奏でも程度の差こそあれこの現象が起きる。
はっきりとしたことは言えないのだが、割と古めで低域がボワンとした入り方をした盤で低域抜け落ちが起きやすいようだ。逆に言うと低域が引き締まり過ぎるという現象なのかも知れない。
いわゆるオカルト・グッズと一括りにするには功罪が明確に現れる(換言するなら、世に言うオカルト・グッズは「良い方向」へしか振れないのが一般的・・)アクセサリのレビューであった。ケーブルを変えると音が変わるのと同様に、電気特性その他の理屈で音質差異を説明することが困難な製品だが、その辺は余り詮索せずに良い効果だけを享受するのが賢明な利用法だと思う。
個々の適用事例の紹介はきりがないのでここまでとするが、新事象が観察されたならば都度報告していくこととする。
(総括)
・マイナスイオン・ディスクの効果は被処理ディスクに最低5~10分密着させると発揮されてくる。
・但しその効果は永続せず、密着させていた時間と同じ~2倍ほどの時間をかけて消失する。CD一枚分の最良状態を通しで聴くためには一昼夜以上処理するのが望ましい。
・効果が明確に現れるCDとそうではないものがある。最新の超高音質CDではその効果は無いかあってもごく僅か(勿論、例外もある)。またSACDレイヤーでの効果は明確には認められず、もし効果があったとしてもプラシーボ効果の範囲内と思われる。
・改善方向に向かう時の共通した傾向は、概ね付帯音が消失してディテールが鮮明になること、また、残響が減ったような静けさになること。楽器の音色が根本的に変質したり定位する場所が変わったりするという理不尽な変化は起きず、残響成分などの間接音のプレゼンスが変化するだけである。
・ものによっては低域が抜け落ちる現象が見られる。但し、この場合であっても中高域の見通しが改善されディテールは鮮明になる。
・マイナスイオン・ディスクまたは処理済みCDを長時間CDPトランスポートに入れておくとその効果が装置側に転写・蓄積され、非処理CDを再生していると音質が見る見る改善されてくる場合がある。但しその場合でも当該ディスクを取り出してしまうと以後の効果は徐々に消失して行く。
・マイナスイオン・ディスクと再生したいCDを二枚重ねでCDPのトレイにセットして再生しても効果は発揮される。但しSACDレイヤー再生時のスピンドル回転はCDレイヤーに比べて高速であるため、偏芯による異音が気になる場合がある(場合によっては故障原因となるかも知れない)。トレイ方式ではないトランスポート(=例えばターンテーブル式)であれば二枚重ね再生は理に適った方法と言える。
※注意の追記
この種のアクセサリの場合、目に見えるほど目覚ましい効果が発揮されることは希だが、いわゆるプラシーボ効果や刷り込み効果により針小棒大な変化・効果があったように感じることも度々ある。このレビューはなるべくそのような固定観念なり先入観なりに依存しないよう心掛けて書いたつもりではあるが、期せずして誇大な表現となっている部分はないとは言い切れない。また、特定CDをこの製品で処理すれば必ずこのレビューに書いた通りの音質変化・音質改善を引き起こすという保証も出来ないし、逆に悪化してしまうというリスクを否定することも出来ない。この製品を試す場合には是非とも自己責任の原則をお忘れなく。当然のことながら、これらにより引き起こされた事象・障害・損害等に関して筆者が何らの責任を負うことは断じてない。
(了)
※このシリーズはこれで完結するが、このディスクの強化型(スーパー・マイナスイオン・ディスク)のモニターを引き受けており現在試聴進行中、間もなくレポート開始予定。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。

これをマイナスイオン・ディスクに一晩密着させておいたら激変した。これまたプラシーボなどといっている場合ではない変貌ぶりで少々面食らう。
高域の荒れもピーキーさもほぼ完全に消失し、メタリックなピアノの弦が見える程に定位が定まった。そしてスタインウェイらしい剛健な中高域のタッチが明瞭に描かれる。このCDはリマスター新譜で購入してからこのかた、こんなにピアノらしい音が入っているディスクだとは思いもしなかった。
ここまでは良かった。しかし、困ったことになった。低域が全く出なくなってしまったのだ。まるでマルチウェイ・スピーカーのウーファーが断線したみたいな音、もしくは小型AMラジオみたいな音になってしまった。高域は歪み感がとれて克明になったとしても低音弦が殆ど聞こえないのではどうしようもない。
これ以外にもやはりピアノの録音だがアラウの遺作も同様の低音抜け落ち現象を呈するし、オケものではプラッソンの名演奏でも程度の差こそあれこの現象が起きる。
はっきりとしたことは言えないのだが、割と古めで低域がボワンとした入り方をした盤で低域抜け落ちが起きやすいようだ。逆に言うと低域が引き締まり過ぎるという現象なのかも知れない。
いわゆるオカルト・グッズと一括りにするには功罪が明確に現れる(換言するなら、世に言うオカルト・グッズは「良い方向」へしか振れないのが一般的・・)アクセサリのレビューであった。ケーブルを変えると音が変わるのと同様に、電気特性その他の理屈で音質差異を説明することが困難な製品だが、その辺は余り詮索せずに良い効果だけを享受するのが賢明な利用法だと思う。
個々の適用事例の紹介はきりがないのでここまでとするが、新事象が観察されたならば都度報告していくこととする。
(総括)
・マイナスイオン・ディスクの効果は被処理ディスクに最低5~10分密着させると発揮されてくる。
・但しその効果は永続せず、密着させていた時間と同じ~2倍ほどの時間をかけて消失する。CD一枚分の最良状態を通しで聴くためには一昼夜以上処理するのが望ましい。
・効果が明確に現れるCDとそうではないものがある。最新の超高音質CDではその効果は無いかあってもごく僅か(勿論、例外もある)。またSACDレイヤーでの効果は明確には認められず、もし効果があったとしてもプラシーボ効果の範囲内と思われる。
・改善方向に向かう時の共通した傾向は、概ね付帯音が消失してディテールが鮮明になること、また、残響が減ったような静けさになること。楽器の音色が根本的に変質したり定位する場所が変わったりするという理不尽な変化は起きず、残響成分などの間接音のプレゼンスが変化するだけである。
・ものによっては低域が抜け落ちる現象が見られる。但し、この場合であっても中高域の見通しが改善されディテールは鮮明になる。
・マイナスイオン・ディスクまたは処理済みCDを長時間CDPトランスポートに入れておくとその効果が装置側に転写・蓄積され、非処理CDを再生していると音質が見る見る改善されてくる場合がある。但しその場合でも当該ディスクを取り出してしまうと以後の効果は徐々に消失して行く。
・マイナスイオン・ディスクと再生したいCDを二枚重ねでCDPのトレイにセットして再生しても効果は発揮される。但しSACDレイヤー再生時のスピンドル回転はCDレイヤーに比べて高速であるため、偏芯による異音が気になる場合がある(場合によっては故障原因となるかも知れない)。トレイ方式ではないトランスポート(=例えばターンテーブル式)であれば二枚重ね再生は理に適った方法と言える。
※注意の追記
この種のアクセサリの場合、目に見えるほど目覚ましい効果が発揮されることは希だが、いわゆるプラシーボ効果や刷り込み効果により針小棒大な変化・効果があったように感じることも度々ある。このレビューはなるべくそのような固定観念なり先入観なりに依存しないよう心掛けて書いたつもりではあるが、期せずして誇大な表現となっている部分はないとは言い切れない。また、特定CDをこの製品で処理すれば必ずこのレビューに書いた通りの音質変化・音質改善を引き起こすという保証も出来ないし、逆に悪化してしまうというリスクを否定することも出来ない。この製品を試す場合には是非とも自己責任の原則をお忘れなく。当然のことながら、これらにより引き起こされた事象・障害・損害等に関して筆者が何らの責任を負うことは断じてない。
(了)
※このシリーズはこれで完結するが、このディスクの強化型(スーパー・マイナスイオン・ディスク)のモニターを引き受けており現在試聴進行中、間もなくレポート開始予定。

by primex64
| 2009-06-04 10:42
| Audio
|
Trackback
|
Comments(6)

お忙しいところありがとうございます。急かしてしまったようですみません。
でも、おかげでスッキリしました。
なるほど・・・効果には揮発性があるんですね。なおさら不思議です。
ふと思ったのですが、CDではなくてアナログのレコードだと、どうなるんでしょうね。
ビニールのレコードをマイナスイオン・ディスクに密着させてしばらく置いておいてからタンテにかけてみるとか、カートリッジ(シェルだけとか)をマイナスイオン・ディスクの上に置いておいてから再生してみるとか・・・
効果があるようなら、レーザーディスクサイズのマイナスイオン・ディスクを作って、表面に滑り止め加工をしてレコードマットの代わりにするとか・・・
私もマイナスイオンを発生させるらしいドライヤーをCDに当てて、少し試してみようかな。もちろん送風で♪
でも、おかげでスッキリしました。
なるほど・・・効果には揮発性があるんですね。なおさら不思議です。
ふと思ったのですが、CDではなくてアナログのレコードだと、どうなるんでしょうね。
ビニールのレコードをマイナスイオン・ディスクに密着させてしばらく置いておいてからタンテにかけてみるとか、カートリッジ(シェルだけとか)をマイナスイオン・ディスクの上に置いておいてから再生してみるとか・・・
効果があるようなら、レーザーディスクサイズのマイナスイオン・ディスクを作って、表面に滑り止め加工をしてレコードマットの代わりにするとか・・・
私もマイナスイオンを発生させるらしいドライヤーをCDに当てて、少し試してみようかな。もちろん送風で♪
0
>CDではなくてアナログのレコードだと
マイナスイオン・ドットフィルムを貼り込んだTTマットは数年前に既に製品化されています。現在も販売継続しているかどうかは定かじゃないですけれど・・。効くらしいです。カートリッジの背中に張り込む(シェルに挟む?)フィルムもあるようです。
>私もマイナスイオンを発生させるらしいドライヤーをCDに当てて
そのマイナスイオン(=オゾン)ではなさそうですよ。これは私の想像ですが、恐らく微量の放射性同位元素(ラジオ・アイソトープ)かそれに類する物質、およびトルマリン粉末などが含まれているんだと思うのです。ラジウム温泉(鉱泉)と似たような薬効成分だったりして・・ww
マイナスイオン・ドットフィルムを貼り込んだTTマットは数年前に既に製品化されています。現在も販売継続しているかどうかは定かじゃないですけれど・・。効くらしいです。カートリッジの背中に張り込む(シェルに挟む?)フィルムもあるようです。
>私もマイナスイオンを発生させるらしいドライヤーをCDに当てて
そのマイナスイオン(=オゾン)ではなさそうですよ。これは私の想像ですが、恐らく微量の放射性同位元素(ラジオ・アイソトープ)かそれに類する物質、およびトルマリン粉末などが含まれているんだと思うのです。ラジウム温泉(鉱泉)と似たような薬効成分だったりして・・ww

>■どんな高価なオーディオ装置でも高音質音楽CDで鳴らさないと調教できません。
■日常掛ける音楽CDの種類と質が重要です。これを誤ると高額投資も無駄です。
■おかしな音や変な音楽を掛け続けるとシステムが腐り、元の音質に戻り難くなります。
■人には人格があるように装置にも品格があり、それは装置の使い手が決めるのです。
■オーディオ評論家やレコード評論家のコメントは頭から信じない方が身のためです。
何故なら、彼らの多くは読者のためというより、メーカーや レコード会社、リセーラーの
顔を見て記事を書いているからです。
激しく同意です!!今後もよろしくおねがいします
■日常掛ける音楽CDの種類と質が重要です。これを誤ると高額投資も無駄です。
■おかしな音や変な音楽を掛け続けるとシステムが腐り、元の音質に戻り難くなります。
■人には人格があるように装置にも品格があり、それは装置の使い手が決めるのです。
■オーディオ評論家やレコード評論家のコメントは頭から信じない方が身のためです。
何故なら、彼らの多くは読者のためというより、メーカーや レコード会社、リセーラーの
顔を見て記事を書いているからです。
激しく同意です!!今後もよろしくおねがいします

お世話様です、koyamaですm(_ _)m
>またSACDレイヤーでの効果は明確には認められず
ワルターのブラ4、sonyのSACD専用盤、ハイブリッドでは
ない盤でしたが低音弦のボワッとした感じが、マイナスイオンディスクで
引き締まって良い感じでした。まあ低音の「抜け落ち」と言っても
おかしくないですがw
記事上のポリーニ盤も、例えば一晩寝かすのではなく、2時間くらい
だと、高音のヌケの良さと低域の引き締まり具合のバランスが取れて
「抜群の効果」だったりして(爆
まあ、使い方も含めて、利用者の自己責任、は他のグッズも含めて
同じでしょうが・・・・・・
大変に興味深いレポートでした。有難うございました。
>またSACDレイヤーでの効果は明確には認められず
ワルターのブラ4、sonyのSACD専用盤、ハイブリッドでは
ない盤でしたが低音弦のボワッとした感じが、マイナスイオンディスクで
引き締まって良い感じでした。まあ低音の「抜け落ち」と言っても
おかしくないですがw
記事上のポリーニ盤も、例えば一晩寝かすのではなく、2時間くらい
だと、高音のヌケの良さと低域の引き締まり具合のバランスが取れて
「抜群の効果」だったりして(爆
まあ、使い方も含めて、利用者の自己責任、は他のグッズも含めて
同じでしょうが・・・・・・
大変に興味深いレポートでした。有難うございました。
koyama さん
やはり低音が引き締まる現象が見られましたか・・。SACDでも効果があるんでね。私の手元のSACDハイブリッドで低音が膨らんだものがないから目立たないだけなのかも知れませんね。
>2時間くらいだと、高音のヌケの良さと低域の引き締まり具合のバランスが取れて
あー、これは大いに可能性がありますね~。おっしゃる通り、近いうちに実験してみますわ。
やはり低音が引き締まる現象が見られましたか・・。SACDでも効果があるんでね。私の手元のSACDハイブリッドで低音が膨らんだものがないから目立たないだけなのかも知れませんね。
>2時間くらいだと、高音のヌケの良さと低域の引き締まり具合のバランスが取れて
あー、これは大いに可能性がありますね~。おっしゃる通り、近いうちに実験してみますわ。