2009年 05月 06日
J.S.Bach: Vc Suite#1-6, BWV1007-1012@Tatjana Vassilieva |
久し振りに自宅の装置でCDを聴いている。MIRAREの新譜で新鋭タチアナ・ヴァシリエヴァのバッハ無伴奏だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3542505
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
CD1
・組曲第1番ト長調 BWV1007
・組曲第2番ニ短調 BWV1008
・組曲第6番ニ長調 BWV1012
CD2
・組曲第3番ハ長調 BWV1009
・組曲第4番変ホ長調 BWV1010
・組曲第5番ハ短調 BWV1011
タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
この人は今までNaxosやAccordレーベルから何枚かアルバムを出しているようだが、この度どのような縁か(恐らくLFJ絡み?)MIRAREからデビューと言うことになった様だ。HMVの解説にあるように2001年ロストロポーヴィチ・チェロ・コンクール優勝という輝かしい経歴の持ち主だ。
詳細な来歴についてはNaxosのBiographyに詳しいがここを見ると日本へもちょくちょく来ているようで国内コンクールで幾つか賞を受賞している。東京「東急Bunkamuraオーチャードホールアワード1994」、大阪・泉佐野「泉の森国際チェロ・コントラバス・フェスティバル2001」などで、ゲルLSOとの来日公演もこなすなどまだ若いのに実はキャリアは十分なのだ。
この盤を聴く限り、太くて朗々としたVcの操弦はとても女流とは思われない男性的なものだ。これはnaiveから売り出し中のガイヤールにも通ずる特徴だ。
2枚目の5番は元々重厚で渋い作品なのだが、なかなかに本格的にゴリゴリする解釈でかなりよろしい。もう少しゆっくり悲嘆を炙り出してもいい気がするが、ま、これもありか。この中ではガヴォットが秀逸だ。
収録時間の関係で1枚目の終わりに繰り上げて配置されている6番が出色だ。冒頭のプレリュードでは太く力強いだけではなく、細かな分散和音と素早いパッセージ、それに微妙なダブルストップが交錯する難曲だが、うーん、なかなか巧い。次の緩徐なアルマンドでは正確なトリルを中心にしっとりとしたスケールを、また高速なクーラントを挟んだやはり緩徐なサラバンドでは大きく歌うダブルストップを聴かせる。そして次の著名なガヴォットだがカザルスやロストロを脳裏に浮かべると言ったら言いすぎだろうか? 強調気味の弱起で小節頭をコントラスト豊かに繋げていく様は余りに決まりすぎだ。そして終曲ジーグは少々諧謔なスケルツォ風の曲想で締めくくる。
(録音評)
MIRARE、MIR086、通常CD、録音は2008年11月、シオン、スイスとある。 音質は典型的なMIRAREで、地味で温度感が低いものだが解像度はなにげに高い。
ヴァシリエヴァのVcはややオンマイク気味にどっぷりとした音像を結ぶがバッフル前方へと迫り出してくると言うことはない。アンビエント成分は過不足なく含まれており、どちらかというとデッド傾向かも知れないがVcが音痩せすることはない。最低音域に共鳴する胴鳴りが克明に捉えられ、時折手の甲が響板に当たる音や足で床を踏み締める音も捉えられている。高域には演色成分は一切含まれず枯れて寂びた音調だがBMG系に良くあるセピア調のくすんだ音ではなく、輪郭を殊更強調することのない高解像度サウンドと言える。
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・組曲第2番ニ短調 BWV1008
・組曲第6番ニ長調 BWV1012
CD2
・組曲第3番ハ長調 BWV1009
・組曲第4番変ホ長調 BWV1010
・組曲第5番ハ短調 BWV1011
タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
この人は今までNaxosやAccordレーベルから何枚かアルバムを出しているようだが、この度どのような縁か(恐らくLFJ絡み?)MIRAREからデビューと言うことになった様だ。HMVの解説にあるように2001年ロストロポーヴィチ・チェロ・コンクール優勝という輝かしい経歴の持ち主だ。
詳細な来歴についてはNaxosのBiographyに詳しいがここを見ると日本へもちょくちょく来ているようで国内コンクールで幾つか賞を受賞している。東京「東急Bunkamuraオーチャードホールアワード1994」、大阪・泉佐野「泉の森国際チェロ・コントラバス・フェスティバル2001」などで、ゲルLSOとの来日公演もこなすなどまだ若いのに実はキャリアは十分なのだ。
この盤を聴く限り、太くて朗々としたVcの操弦はとても女流とは思われない男性的なものだ。これはnaiveから売り出し中のガイヤールにも通ずる特徴だ。
2枚目の5番は元々重厚で渋い作品なのだが、なかなかに本格的にゴリゴリする解釈でかなりよろしい。もう少しゆっくり悲嘆を炙り出してもいい気がするが、ま、これもありか。この中ではガヴォットが秀逸だ。
収録時間の関係で1枚目の終わりに繰り上げて配置されている6番が出色だ。冒頭のプレリュードでは太く力強いだけではなく、細かな分散和音と素早いパッセージ、それに微妙なダブルストップが交錯する難曲だが、うーん、なかなか巧い。次の緩徐なアルマンドでは正確なトリルを中心にしっとりとしたスケールを、また高速なクーラントを挟んだやはり緩徐なサラバンドでは大きく歌うダブルストップを聴かせる。そして次の著名なガヴォットだがカザルスやロストロを脳裏に浮かべると言ったら言いすぎだろうか? 強調気味の弱起で小節頭をコントラスト豊かに繋げていく様は余りに決まりすぎだ。そして終曲ジーグは少々諧謔なスケルツォ風の曲想で締めくくる。
(録音評)
MIRARE、MIR086、通常CD、録音は2008年11月、シオン、スイスとある。 音質は典型的なMIRAREで、地味で温度感が低いものだが解像度はなにげに高い。
ヴァシリエヴァのVcはややオンマイク気味にどっぷりとした音像を結ぶがバッフル前方へと迫り出してくると言うことはない。アンビエント成分は過不足なく含まれており、どちらかというとデッド傾向かも知れないがVcが音痩せすることはない。最低音域に共鳴する胴鳴りが克明に捉えられ、時折手の甲が響板に当たる音や足で床を踏み締める音も捉えられている。高域には演色成分は一切含まれず枯れて寂びた音調だがBMG系に良くあるセピア調のくすんだ音ではなく、輪郭を殊更強調することのない高解像度サウンドと言える。
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by primex64
| 2009-05-06 11:43
| Solo - Vc
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