2009年 04月 15日
J.S.Bach: Contemplation@Anne Queffélec |
MIRAREの新譜でContemplation(瞑想)と題された独奏アルバムで、ブゾーニやコーエン、ケンプらの秀逸な編曲作品を中心としたバッハ・プログラムである。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3525382
↓同じ盤はこちらでも扱っている
J.S.バッハ:
・ブゾーニ編:コラール『主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる』BWV639
・カプリッチョ『最愛の兄の旅立ちにあたって』変ロBWV992
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第4番 嬰ハ短調BWV849
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第22番 変ロ長調BWV867
・コーエン編:カンタータ 第22番『イエスは十二使徒をひき寄せたまえり』BWV22
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第8番 変ホ短調BWV853
・ブゾーニ編:トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調BWV564
・イギリス組曲 第2番 イ短調よりサラバンドBWV807
・ヴィヴァルディ:オルガン協奏曲 ニ短調BWV596
・フランス組曲 第1番 ニ短調よりサラバンドBWV812
・イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
・マルチェッロ:オーボエ協奏曲 アダージョ ニ短調
・平均律クラヴィーア曲集 第2巻よりプレリュード第14番 嬰ヘ短調BWV883
・シロティ編:プレリュード ロ短調 BWV855a
・シロティ編:プレリュード ホ短調
・ゴルトベルク変奏曲よりアリア BWV988
・ヘス編:『主よ人の望みの喜びよ』BWV147
・イギリス組曲 第3番 ト短調よりサラバンドBWV808
・ケンプ編:シチリアーノ~フルート・ソナタ第2番 変ホ長調BWV1031
・ブゾーニ編:『来たれ、異教徒の救い主よ』BWV659a
・クルターク編(連弾):『神の時は最上の時なり』(哀悼行事のソナティナ)BWV106*
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
*ガスパール・デヘヌ(ピアノ)
今年のLFJ(=La Folle Journée:ラ・フォル・ジュルネ=熱狂の日)のテーマはバッハだそうで、MIRAREにはバッハ作品のリリースが多いのは納得だが、店頭を眺めると他のレーベルからもバッハの新譜が多く出ているような気がする。気のせいかも知れないが。
選曲は多岐に渡っているが大部分がアンニュイな主題を持つものであり、題名通り瞑想的な作品が並ぶ。トラック数が多いのでいちいち解説できないが、一言で言うと大変素晴らしい出来映えだ。どの曲もテンポ取りはかなり遅め。しかし張り詰めた独特の空気が全体の場を支配していて遅さを実感することは殆どない。
ケフェレックはフランス女流にしてその色彩感に富んだ大胆なロマン派解釈、そしてチャーミングで凛々しい演奏(たとえばサティ)が大層印象的な人なのだが、実はバッハへの造詣は深く、初来日の時に弾いたのもバッハのパルティータだった。
チェンバロやピアノは点で音を紡ぐ楽器であり、弦楽器やオルガンなどの線や面で描く楽器とは演奏手法は異なる。当然、いちど外界に放たれた音を取り戻すことは出来ず、例えサスティンを掛けて持続音を出したとしてもその音の性質は打鍵時に既に決定されていて覆すことは出来ない。対する弦楽器などは小節冒頭のアタックでしくじってもその後の持続音を自在にコントロールすることによりリカバリーは可能だ。
ケフェレックのこの弾き方は確かに「瞑想的」である。その印象はどこから来るのかをよく聴き込むと実は持続音のコントロールに細心の注意を払っていることが分かってくる。サスティン・ペダルによる持続音をコントロールすることは自然減衰・強制中断を除いて不可能なのだが、それを敢えて均質に響くようにコントロールしようという意思が強く感じられる。そのお陰もあってか有音部は勿論のこと無音部までもが美しく均整の取れた静謐な演奏となっている。この弾き方はこの盤のBWV543に似通ったところがある。しかしケフェレックの技法の方が温度感もエントロピーも低い。
どの演奏も素晴らしいのだが、敢えて挙げるならブゾーニ編のBWV564、フランス組曲1番のサラバンド、平均律2巻14番あたりだろう。
(録音評)
MIRAREレーベル、MIR082、通常CD。録音は2008年9月、La Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)とある。ここはこの盤を録った場所と同じで、音色の傾向は非常に似ている。ピアノは恐らくベヒシュタイン。刺激的な音は一切入っていないし、ケフェレックの演奏はとても静かで耳障りな上部雑音は殆ど出していない。
------- 以下は後日書き換えの予定 -------
MIRAREとしては異例にディテールの暈けた捉え方でありピアノの姿もうまくフォーカスを結ばない。音色は暖色系と言って良く、散乱傾向の残響成分が強調されていて少しワンワン言う感じだ。スピーカーが巧く鳴っていない時によく見られる症状。
最初は寝惚けた感じで巧く鳴らなかったので最近入手したマイナスイオン・ディスクに一晩密着させて処理してみることに。そうしたところ焦るくらい音質が激変した。太いベヒシュタインが非常に克明に、しかも臨場感豊かに鳴り響き、ウッディーな残響をまとったこの小型ホールの全景が見渡せるくらい澄明な空間が現れた。ケフェレックがペダルを踏んだ時の床の音、アクション機構が上下するときのノイズ等も捉えられている。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3525382
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J.S.バッハ:
・ブゾーニ編:コラール『主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる』BWV639
・カプリッチョ『最愛の兄の旅立ちにあたって』変ロBWV992
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第4番 嬰ハ短調BWV849
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第22番 変ロ長調BWV867
・コーエン編:カンタータ 第22番『イエスは十二使徒をひき寄せたまえり』BWV22
・平均律クラヴィーア曲集 第1巻よりプレリュード第8番 変ホ短調BWV853
・ブゾーニ編:トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調BWV564
・イギリス組曲 第2番 イ短調よりサラバンドBWV807
・ヴィヴァルディ:オルガン協奏曲 ニ短調BWV596
・フランス組曲 第1番 ニ短調よりサラバンドBWV812
・イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
・マルチェッロ:オーボエ協奏曲 アダージョ ニ短調
・平均律クラヴィーア曲集 第2巻よりプレリュード第14番 嬰ヘ短調BWV883
・シロティ編:プレリュード ロ短調 BWV855a
・シロティ編:プレリュード ホ短調
・ゴルトベルク変奏曲よりアリア BWV988
・ヘス編:『主よ人の望みの喜びよ』BWV147
・イギリス組曲 第3番 ト短調よりサラバンドBWV808
・ケンプ編:シチリアーノ~フルート・ソナタ第2番 変ホ長調BWV1031
・ブゾーニ編:『来たれ、異教徒の救い主よ』BWV659a
・クルターク編(連弾):『神の時は最上の時なり』(哀悼行事のソナティナ)BWV106*
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
*ガスパール・デヘヌ(ピアノ)
今年のLFJ(=La Folle Journée:ラ・フォル・ジュルネ=熱狂の日)のテーマはバッハだそうで、MIRAREにはバッハ作品のリリースが多いのは納得だが、店頭を眺めると他のレーベルからもバッハの新譜が多く出ているような気がする。気のせいかも知れないが。
選曲は多岐に渡っているが大部分がアンニュイな主題を持つものであり、題名通り瞑想的な作品が並ぶ。トラック数が多いのでいちいち解説できないが、一言で言うと大変素晴らしい出来映えだ。どの曲もテンポ取りはかなり遅め。しかし張り詰めた独特の空気が全体の場を支配していて遅さを実感することは殆どない。
ケフェレックはフランス女流にしてその色彩感に富んだ大胆なロマン派解釈、そしてチャーミングで凛々しい演奏(たとえばサティ)が大層印象的な人なのだが、実はバッハへの造詣は深く、初来日の時に弾いたのもバッハのパルティータだった。
チェンバロやピアノは点で音を紡ぐ楽器であり、弦楽器やオルガンなどの線や面で描く楽器とは演奏手法は異なる。当然、いちど外界に放たれた音を取り戻すことは出来ず、例えサスティンを掛けて持続音を出したとしてもその音の性質は打鍵時に既に決定されていて覆すことは出来ない。対する弦楽器などは小節冒頭のアタックでしくじってもその後の持続音を自在にコントロールすることによりリカバリーは可能だ。
ケフェレックのこの弾き方は確かに「瞑想的」である。その印象はどこから来るのかをよく聴き込むと実は持続音のコントロールに細心の注意を払っていることが分かってくる。サスティン・ペダルによる持続音をコントロールすることは自然減衰・強制中断を除いて不可能なのだが、それを敢えて均質に響くようにコントロールしようという意思が強く感じられる。そのお陰もあってか有音部は勿論のこと無音部までもが美しく均整の取れた静謐な演奏となっている。この弾き方はこの盤のBWV543に似通ったところがある。しかしケフェレックの技法の方が温度感もエントロピーも低い。
どの演奏も素晴らしいのだが、敢えて挙げるならブゾーニ編のBWV564、フランス組曲1番のサラバンド、平均律2巻14番あたりだろう。
(録音評)
MIRAREレーベル、MIR082、通常CD。録音は2008年9月、La Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)とある。ここはこの盤を録った場所と同じで、音色の傾向は非常に似ている。ピアノは恐らくベヒシュタイン。刺激的な音は一切入っていない
MIRAREとしては異例にディテールの暈けた捉え方でありピアノの姿もうまくフォーカスを結ばない。音色は暖色系と言って良く、散乱傾向の残響成分が強調されていて少しワンワン言う感じだ。スピーカーが巧く鳴っていない時によく見られる症状。
最初は寝惚けた感じで巧く鳴らなかったので最近入手したマイナスイオン・ディスクに一晩密着させて処理してみることに。そうしたところ焦るくらい音質が激変した。太いベヒシュタインが非常に克明に、しかも臨場感豊かに鳴り響き、ウッディーな残響をまとったこの小型ホールの全景が見渡せるくらい澄明な空間が現れた。ケフェレックがペダルを踏んだ時の床の音、アクション機構が上下するときのノイズ等も捉えられている。
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by primex64
| 2009-04-15 10:22
| Solo - Pf
|
Trackback(1)
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Comments(8)
Tracked
from ガーター亭別館
at 2009-05-07 08:51
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by
koyama
at 2009-04-17 06:09
x
お世話様です。
マイナス・イオン・デイスク?
どんなんでしょうか?w
マイナス・イオン・デイスク?
どんなんでしょうか?w
0
Commented
by
primex64 at 2009-04-17 09:46
koyamaさん
興味あります? あるオーディオ評論家の人が開発されたマル秘アイテムですw 私は原理をよく理解していないんですけれど、過剰電子状態(つまり陰イオン)のある元素(=何かは分かりません)をシートに埋め込んで加工したものを貼り付けたCD-Rですよ。
A-B比較すると明確な差異が現れますのでプラシーボ効果ではないようで、効き目が強く出るCDとそうじゃないものがあるようです。得てして音の良くないCDで効果が大きく出るようです。
もし試されたいと言うことなら私が責任を持って仲介致しますが・・。
興味あります? あるオーディオ評論家の人が開発されたマル秘アイテムですw 私は原理をよく理解していないんですけれど、過剰電子状態(つまり陰イオン)のある元素(=何かは分かりません)をシートに埋め込んで加工したものを貼り付けたCD-Rですよ。
A-B比較すると明確な差異が現れますのでプラシーボ効果ではないようで、効き目が強く出るCDとそうじゃないものがあるようです。得てして音の良くないCDで効果が大きく出るようです。
もし試されたいと言うことなら私が責任を持って仲介致しますが・・。
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by
koyama
at 2009-04-17 10:23
x
早速に有難うございます。
ググっみると、エンゼル・ポケットのとかナノテックのが出ますが、
それとは違う「マル秘アイテム」なのですか?w
もし、エンゼル・ポケットのだったら、自分で秋葉原の店を覗いてみますが・・・・
いずれにせよ、お値段次第ですので、その辺も含めてお教えいただけると
有難いので。
よろしくお願いします。
ググっみると、エンゼル・ポケットのとかナノテックのが出ますが、
それとは違う「マル秘アイテム」なのですか?w
もし、エンゼル・ポケットのだったら、自分で秋葉原の店を覗いてみますが・・・・
いずれにせよ、お値段次第ですので、その辺も含めてお教えいただけると
有難いので。
よろしくお願いします。
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by
primex64 at 2009-04-17 10:31
>エンゼル・ポケット
それです。井上良治さんという評論家の方が製造販売しています。現在は試聴音源の入った製品に替わっていて、陰イオン・シートはレーベル面に貼り付けられています。私が頂いたものはピット面に張ってあります。値段は安いですよ。
それです。井上良治さんという評論家の方が製造販売しています。現在は試聴音源の入った製品に替わっていて、陰イオン・シートはレーベル面に貼り付けられています。私が頂いたものはピット面に張ってあります。値段は安いですよ。
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by
koyama
at 2009-04-17 11:54
x
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by
jillart
at 2009-04-19 16:19
x
いつも良い盤を紹介していただきありがとうございます。最近バッハ以前に凝り固まっており、レスが偏っているのはそのためです。(^^;
この盤も良いですね。
うちでもいつもの状態で聴くとちょっと音が丸い(ぬるい)ので、少し辛口で締るデジケーに変えて良い感じになりました。ピアノ曲にしてはだいぶ多めに中低域が入っているためではないかな、と思いました。
ところで秘密兵器はCDの盤に重ねておいたのでしょうか。
CDプレーヤーのトレイに載せておいた場合は、他の盤を聴く時に逆につらいことになるのではないかと思いました。
この盤も良いですね。
うちでもいつもの状態で聴くとちょっと音が丸い(ぬるい)ので、少し辛口で締るデジケーに変えて良い感じになりました。ピアノ曲にしてはだいぶ多めに中低域が入っているためではないかな、と思いました。
ところで秘密兵器はCDの盤に重ねておいたのでしょうか。
CDプレーヤーのトレイに載せておいた場合は、他の盤を聴く時に逆につらいことになるのではないかと思いました。
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jillart
at 2009-04-19 17:04
x
内容についてコメントし忘れました。
どの曲も素晴らしいのですが、私は平均律2巻14番、に甚く感動しました。
どの曲も素晴らしいのですが、私は平均律2巻14番、に甚く感動しました。
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primex64 at 2009-04-19 21:20
jillart さん、お久しぶりです。
このCDは、もともと音色がちょっと太いのと、残響に微小成分が過多に含まれるので再生は難しいです。そう言った傾向の小型ホールのようです。
マイナスイオン・ディスクは装置外で密着させています。うちのCDPであるDP-85はトレイに重ねて入れても正常動作します。CD再生の場合には問題ないですがSACDは高速回転となるためちょっと異音が出ます。恐らく偏心だと思うのですが・・。
尚、このグッズはレーベル面に重ねても同じような効果が得られますので必ずしも信号面を密着させなくても良いようですね。
このCDは、もともと音色がちょっと太いのと、残響に微小成分が過多に含まれるので再生は難しいです。そう言った傾向の小型ホールのようです。
マイナスイオン・ディスクは装置外で密着させています。うちのCDPであるDP-85はトレイに重ねて入れても正常動作します。CD再生の場合には問題ないですがSACDは高速回転となるためちょっと異音が出ます。恐らく偏心だと思うのですが・・。
尚、このグッズはレーベル面に重ねても同じような効果が得られますので必ずしも信号面を密着させなくても良いようですね。