Cドライブの高速化 - 2 |
これかAdaptecのどちらかをCドライブ専用のRAIDコントローラにしようという企みだ。LSIロジック社はSCSIやSAS、FCコントローラの老舗専業メーカーであり(昨今ではネットワーク関連製品も扱う)、このところのSAN(Storage Arena Network)、NAS(Network Attached Storage)製品の隆盛に乗って業容は拡大している。
民生分野やワークステーションのSCSI/SASコントローラではAdaptec社が有名だが業務用サーバ製品のコントローラ・ボードおよびチップ(コントローラーLSI)ではLSIが80%以上と圧倒的なシェアを誇る。
Adaptec RAID 2405はミニSASのマルチレーン・ケーブル専用なのでエンクロージャのバックプレーンへの接続に向いており、LSI SAS3041E-Rは普通のSATA 7ピン・コネクタ仕様なので固定ドライブへの個別接続に向いている。しかも手元にはSATA7ピン~SFF-8482ファンアウトケーブルがちょうど4本在庫していて(うち2本はM/Bに付属していたもの)都合がよい。よってSAS3041E-RをCドライブ専用のRAIDコントローラにすることに決めた。
RAID 2405はPCIe×8の接続だがSAS3041E-RはPCIe×4接続で帯域幅が半分なのだが、それでも2.5Gbps×4=10Gbpsある。SASポートの帯域幅は理論限界で3Gbpsとされ、それが4つフル稼働したとしても12Gbpsとなるので僅かなボトルネックで済むこととなる。しかしドライブ4つが全て同時に理論限界までデータ転送要求を出すことはあり得ないので10Gbpsで事足りると言うことなのだろう。逆にRAID 2405のPCIe×8は4ポート製品としてはオーバー・スペックだ(上位の8ポートや16ポート製品と共通設計なので致し方ないところ・・)。
SAS3041E-RのRAIDフィーチャーはAdaptecのそれとは実装が異なっていてスマートだ。通常、RAID 1+0(またはRAID 0+1)を組むには最初にRAID 0のストライプド・セットを作ってそれを更にミラーリングする(最初にミラード・セットを作ってそれを更にストライプする)という2段構えで構成するが、LSIのソリューションにはRAID 1Eという方式があって、それを使えばRAID 1+0と等価のRAIDがよりシンプルに実現できる。RAID 1EはRAID 1の拡張版というよりRAID 0の強化版だ。詳細はこの資料のIMEという方式の説明にある通りだが、前回のRAID 0(ストライピング)の記述をベースとして説明するとこうだ。
RAID 0のストライプは一つのセクタを対応する1つのドライブに分散しながら配置するものであったが、RAID 1Eは一つのセクタを2つの隣接するドライブに同時書き込みして冗長性を上げたもの、と出来る。つまりある特定論理セクタ・イメージはRAID 1E構成ドライブのうちいずれか2つには必ず存在する。従ってドライブが一つ故障した場合でも正常ドライブ群には全論理セクタ・イメージが1つ以上残されるのでシステムは稼働を継続できるというわけだ。
RAID 1E構成ドライブは最低3台で、RAID1+0の4台よりも1台少ない。RAID 1Eを構成するドライブ台数をNとすると、ある特定のセクタ番号sが書き込まれるドライブ番号d1とd2は、
d1=s-((s-1)÷N)×N
d2=s+1-(s÷N)×N
で与えられる(但し全て整数演算、小数点以下は切り捨て、s、d1、d2は全て自然数)。即ち、セクタ番号と構成ドライブ台数との剰余およびその隣接ドライブ(それが最終ドライブの場合は頭に戻る)が当該セクタが格納される二つのドライブ番号だ。たとえばN=3とした場合は以下のようになる。
s : 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14・・・
d1: 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2・・・
d2: 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3・・・
と言うようにRAID 1Eは洗練された実装方法であって、パフォーマンスとデータ・プロテクションを同時に獲得することが出来るのである。尚、このコントローラは4ポート持っているのでうち3ポートをRAID 1E、残り1ポートをホットスペアないしホットスワップ(ドライブが故障した場合に自動でフェイルオーバーして切り替わる)として設定することも可能だ。
構成ドライブは73GBのCheetah 15K.5を4台、これら全てをRAID 1Eに振り向ける事にする。現在Cドライブに用いているものも含んでいるので一旦Cドライブを別のドライブへ引っ越しさせる。acronis true image backupでイメージファイルを作って別のドライブへセクタ・イメージごと書き戻す。待避用のドライブはこの前ゲットした2.5インチのSavvio 10.2Kだ。このドライブは小さくてマウスと同じくらいの寸法だが、スピードは速く割と大容量なのだ。
(続く)
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