Mahler: Sym#1@Haitink/CSO |
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・マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」
シカゴ交響楽団
ベルナルト・ハイティンク(指揮)
ハイティンクは今まで手兵RCOとのチクルスの他、BPOへの客演セッションでもマーラーを録ってきており割と得意領域という感じだ。年齢的に言ってこのCSOとのシリーズが最後になるのではないだろうか。
この巨人はハイティンクらしい堂々とした解釈と演奏で、聴いていて安心できるものだしCSOの引き締まった美音と超絶的なテクニックも存分に味わうことが出来る。但し全体のテンポはかなり遅い。聴感上は1~2楽章がかなり遅く、3~4楽章はちょっと遅いと言う感じだが数字の上では4楽章も相当遅い。全体はレガート基調の解釈とリードで、穏やかで滑らかな印象。パラグラフの頭はソフトミュートで入り、下膨れ気味のデュナーミクが連続する。そのため柔和で刺激の少ない印象に聞こえる様だ。
ゆっくりとした解釈ゆえCSOの面々が繰り出す数々の技巧がスローモーションのように精緻に描かれているのが手に取るように分かる。ジュリーニ、アバド、ショルティ、ブーレーズと数々の名指揮者に鍛えられてきたCSOの、時代を超えた正確無比な演奏には驚嘆するばかりだが、これまた凄い演奏で4管編成を超える大編成オケの醍醐味が存分に味わえる出来上がりだ。
(録音評)
CSO Resound、CSOR901904、SACDハイブリッド。録音時期は2008年5月1、2、3日のライヴとある。場所は定番のシカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン 、エンジニア:クリストファー・ウィリスとあり、これはClassic Sound Ltdの制作と言うことになる。つまりLSO Liveと同類の録音技法であり、クォリティ的にも肩を並べる出来である。但しこちらの方が地味暗く、一聴すると高音質盤には到底思われないのだが、実は超高音質盤だ。4楽章のグランカッサの嵐はローエンドの伸びとタイムラグの僅少さ、音量においては前例を見ないほど強烈で、eAR1001が擁するICEpower 1000ASPの類い希なレギュレーション能力が遺憾なく発揮される。
音質はSACDレイヤーの方が優秀だ。CDレイヤーでは音場空間が少し狭くなり、弦の質感が後退、またシンバルとトライアングルなどの姿が小さくなってしまう。
(あとがき)
この演奏は、言ってみればV12気筒8000CCエンジンを積んだハイデッカー仕様の大型リムジンが真っ平らで真っ直ぐなインターステーツ・ハイウェイを定速走行するようなものであり、冒険もスリルもない代わりに安定度とゴージャスな居心地を提供してくれるのだ。
たとえばショルティのような生粋の走り屋の爆速にも十分に耐えて来たCSO(いや、追従性能においてはCSOは世界一だと思っているが・・)にこういったマーラーの鳴らし方をさせることが許せるか否かが賛否の分かれ目だろう。
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