Vivaldi: Four Seasons@Mariko Senju |
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・ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集『四季』 op.8
・ヴィターリ:シャコンヌ(千住明編曲)
・クライスラー:愛の悲しみ
・クライスラー:愛の喜び
千住真理子(ヴァイオリン)
NHK交響楽団員
前に買ったEMI移籍後の千住のアルバムはDolceだった。このアルバムはデュランティを前面に押し出した企画だったが今度の四季もその路線だ。しかしこの新譜に針を降ろしてみてちょっと驚いた。デュランディの音が以前とは違う。
急いでDolceを探し出して掛けてみるがやはり違う。どちらのアルバムもオンマイク気味で直接音を狙った作りであり音の違いは録音のせいではなさそうだ。G線とD線の太さが格段に増し、そしてA線がくっきりとソリッドに鳴る。そしてE線にまとわりついていたブリリアンスが殆ど消失し、まるでガルネリウス・デル=ジェスの様な深く厳しい音に変貌している。デュランティは正真正銘のストラディバリウスなのだが他の多くのVn奏者が駆るストラドとは毛色が全く違う個体と見た。中低域の旋律を聴いているとまるでヴィオラだ。ジャケ写真に写る千住は歳を取ったが、デュランディのエージングも確実に進んでいるようだ。
千住をその辺のビジュアル系ヴァイオリニストと一緒にしてはいけない。しっかりした操弦技巧に裏打ちされた豊かな音楽性を備える一級のアーティストなのだ。この四季はこけおどしのない解釈であり、色々な趣向を凝らした四季(例えばこの四季)とは一線を画する真面目で地道なアルバムなのだ。このところ欧米の若手女流が奏でる繊細・鋭敏で技巧的なアルバムを聴くことが多い耳にはある意味新鮮に聞こえる演奏。VnでもVcでも弦楽器は共通して朗々と大音量で鳴らすことが基本であって、テクニックだのエモーションだの何だのよりよっぽど重要だと再確認させられる。
この直進的でブロードな印象はこの楽器固有の太さと鳴りの良さだけで形成されているのではなく、千住の意図と演奏姿勢が明らかに反映されている。即ち、弓が荒れて撥ねたり弦が擦過音を発したとしても、そういった些細なことには目もくれず堂々と、そして朗々と切り込んでいくという真摯なアプローチがひしひしと感じられる一生懸命な演奏だ。
白眉は冬の3曲で、これらはバックを支えるN響団員と渾然一体となって鬼気迫るコンソートを展開する。また、名曲らしいのだが、ヴィターリという作家のシャコンヌはメランコリックで深みのあるよい作品&演奏で、これはなんとも耳に残る。
(録音評)
EMIミュージック・ジャパン、TOCE56155、通常CD。収録場所はお馴染み、青葉台の東急フィリア・ホールで、演奏者も録音制作スタッフも全員が日本人という純国産CDだ。実物のフィリア・ホールは短めだが感じの良い残響をもった中型ホールであるが、このCDに収められている音はデッドでアンビエント成分は控えめ、現場とはちょっと違う音に聞こえてしまう。
音色は地味で演色度は低い。Vnは多少オンマイク気味、コンバスなどの低音は豊かに入っていてレンジのバランスは良好。音像の定位は余り明確ではないものの誇張感のない自然な出来上がり、音場の拡がりも概ね正常で膨張や拡散は見られない。全体の音質は国産CDとしては優秀な部類に入る。
(あとがき)
ヴィヴァルディの四季はベートーヴェンやモーツァルトの交響曲と共に日本では最もポピュラー、広く愛聴されているクラシック作品ではなかろうか。因みにヴィヴァルディは四季という曲集は書いていない。合奏協奏曲集Il cimento dell'armonia e dell'inventzone(邦題=和声と創意への試み)全12曲のうち頭の4曲を「四季」と称しているのである。
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千住真理子のバイオリンは特別ですよね。
juliaのPentatone聴きました。あまりに上手くてどう弾いても滑らかで艶やかな音が出てしまうみたいな凄みを感じました。bach,mozartを何枚か買いましたので、ジックリ聴き込んでみます。
デッカは録音がリアルさを隠して滑らかさに行き過ぎているのが相乗効果になってしまって損しているような気がします。
千住さんは日本人バイオリニストの良心みたいな人だと勝手に思っていますが、四季は買う気が、、、(^^;
TBを差し上げてから挨拶もせず失礼致しました。そう、特別ですね。千住真理子は私と同世代と言うこともあって若い頃から応援していますよ。私生活でも色々いっぱいあったようですが経験と齢を重ねて音楽が深くなりました。またおいで下さいませw
ペンタトーン、届きましたか。ユリアは巧いがジャニーヌに比べて迫力が・・、と仰る人は多いですけれど、例えばペンタトーンのチャイVnコンとかは凄みがあります。是非聴き込んでみて下さいませ。Deccaの方は聴き込む前に飽きます orz
私はたまたまお店でドルチェを試聴した事がきっかけで彼女のバイオリンにくぎ付けになってしまいました!
ドルチェの次にでた「G線上のアリア」のアルバムの中にある『風林火山』紀行テーマ曲は曲自体も素晴らしいですし、私の一番のお気に入りです。
また訪問させてくださいね。
そうでしたか・・。私は個人的に好きなだけじゃなく、彼女の音楽に対する姿勢がずっと好きでいろんな人に紹介しています。勿論なんの利害もありません。自分が良いと思い、そして他の人にも賛同を得て頂けると思っているからこそなんですがね・・。是非とも長き千住のファンでいて下さいね。そしてまた頻繁においで下さいませ! お待ち申し上げます。