2009年 02月 23日
Fauré: Vc Sonatas@Ophélie Gaillard,Bruno Fontaine |
アンブロワジーの一年ほど前のリリースから、注目のチェリスト、オフェリー・ガイヤールのフォーレ作品集。ガイヤールのボッケリーニは2008年度MusicArenaアワード・準グランプリに入り、このフォーレも気になっていたもの。koyamaさんが買われてとても気に入られたとかで期待は高まる。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2664773
フォーレ:
・エレジー op.24
・チェロ・ソナタ第1番ニ短調 op.109
・ロマンス イ長調 op.69
・蝶々 op.77
・チェロ・ソナタ第2番ト短調 op.117
・シチリアーナ op.78
・夢のあとに(カザルス編)
オフェリー・ガイヤール(Vc)使用楽器:1852年ベルナデル=ペル
ブリュノ・フォンテーヌ(Pf)
録音:2004年(デジタル)
1845年生まれのフランスの作曲家/オルガン奏者の一人、ガブリエル・フォーレは、現在ではその時代の室内楽における最も重要な作家のひとりとして認められつつある。フォーレの音楽はデリケートでエレガント、パリジャンのハイソサエティが集うサロンの芳香にも似た作風は、エモーションの深みを中核として時に大胆な和声へのアプローチで支えられていると言って良い。
フォーレは独奏チェロのために多くの作品を書かなかったが、この楽器への特別な親近感と詩的な資質を持っていたように思える。これらの作品が聴衆側と演奏者側の双方で愛されるようになったのは驚くに足りないことだろう。このアルバムには元々チェロとピアノのためにフォーレが書いた全作品が含まれている。フォーレの作品の中で最も美しい曲の一つとされるエレジーとシチリアーナ、そして二つのソナタである。
なんともしっとりとした、それでいて持続的なテンションの筋が一本通った美しい演奏のアルバムである。フォーレの楽曲は年代にもよるが美しく整った夢のような旋律/和声の曲から、和声と調性が半分崩壊したような現代音楽に近いものまでバリエーションは多いが、このアルバムにはそのどちらも入っている。ソナタの二曲はどちらかというと後者の調性が崩壊した口の作品で揺れ動く微妙な心理状態が不安定な和声に乗って描かれるというもの。Vcソナタ#1の第3楽章は調性が不明瞭ながらその飛翔するような大胆な和声展開が素晴らしい名曲である。ここのパッセージはVnソナタ#1の1楽章と雰囲気が似ているが旋律は明らかに別物。恐らく和音(コード)展開が似ているのだと思う。
ガイヤールのVcはどれもがふくよかで柔らか、そして沈着なエモーションによって理性的に演奏されている。噎ぶ泣くような情感露わな弾き方ではないが適度に抑制された感情を曲想に込めて丁寧に弾き込んでいるのはボッケリーニ/ファンダンゴの時とは明らかに風情が異なる。
ピアノのブリュノ・フォンテーヌという人もなにげに密かに巧く、フォーレの無調性的な揺れる伴奏部が実に填っている。
とにかく、どの曲も巧いし聴かされる。新世紀の名演奏の一つに数えて良いだろう。
(録音評)
ambroisieレーベル、AM130、通常CD。収録は少々古くて2004年6月とある。場所はstudio Tivor Varga(スイス)でフランクVnソナタ@ハチャトリアンが録られたスタジオと同じだ。音質傾向も同じで、実像系にして太く柔らか、そして暖色傾向の優しい残響に包まれた良い雰囲気の音だ。チェロが発する様々な擦過音が過度に刺激的にならず、そしてスタインウェイもまろやかな音調で捉えられている。曲の雰囲気に良く合った音調で大人の音場が拡がる。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2664773
フォーレ:
・エレジー op.24
・チェロ・ソナタ第1番ニ短調 op.109
・ロマンス イ長調 op.69
・蝶々 op.77
・チェロ・ソナタ第2番ト短調 op.117
・シチリアーナ op.78
・夢のあとに(カザルス編)
オフェリー・ガイヤール(Vc)使用楽器:1852年ベルナデル=ペル
ブリュノ・フォンテーヌ(Pf)
録音:2004年(デジタル)
1845年生まれのフランスの作曲家/オルガン奏者の一人、ガブリエル・フォーレは、現在ではその時代の室内楽における最も重要な作家のひとりとして認められつつある。フォーレの音楽はデリケートでエレガント、パリジャンのハイソサエティが集うサロンの芳香にも似た作風は、エモーションの深みを中核として時に大胆な和声へのアプローチで支えられていると言って良い。
フォーレは独奏チェロのために多くの作品を書かなかったが、この楽器への特別な親近感と詩的な資質を持っていたように思える。これらの作品が聴衆側と演奏者側の双方で愛されるようになったのは驚くに足りないことだろう。このアルバムには元々チェロとピアノのためにフォーレが書いた全作品が含まれている。フォーレの作品の中で最も美しい曲の一つとされるエレジーとシチリアーナ、そして二つのソナタである。
なんともしっとりとした、それでいて持続的なテンションの筋が一本通った美しい演奏のアルバムである。フォーレの楽曲は年代にもよるが美しく整った夢のような旋律/和声の曲から、和声と調性が半分崩壊したような現代音楽に近いものまでバリエーションは多いが、このアルバムにはそのどちらも入っている。ソナタの二曲はどちらかというと後者の調性が崩壊した口の作品で揺れ動く微妙な心理状態が不安定な和声に乗って描かれるというもの。Vcソナタ#1の第3楽章は調性が不明瞭ながらその飛翔するような大胆な和声展開が素晴らしい名曲である。ここのパッセージはVnソナタ#1の1楽章と雰囲気が似ているが旋律は明らかに別物。恐らく和音(コード)展開が似ているのだと思う。
ガイヤールのVcはどれもがふくよかで柔らか、そして沈着なエモーションによって理性的に演奏されている。噎ぶ泣くような情感露わな弾き方ではないが適度に抑制された感情を曲想に込めて丁寧に弾き込んでいるのはボッケリーニ/ファンダンゴの時とは明らかに風情が異なる。
ピアノのブリュノ・フォンテーヌという人もなにげに密かに巧く、フォーレの無調性的な揺れる伴奏部が実に填っている。
とにかく、どの曲も巧いし聴かされる。新世紀の名演奏の一つに数えて良いだろう。
(録音評)
ambroisieレーベル、AM130、通常CD。収録は少々古くて2004年6月とある。場所はstudio Tivor Varga(スイス)でフランクVnソナタ@ハチャトリアンが録られたスタジオと同じだ。音質傾向も同じで、実像系にして太く柔らか、そして暖色傾向の優しい残響に包まれた良い雰囲気の音だ。チェロが発する様々な擦過音が過度に刺激的にならず、そしてスタインウェイもまろやかな音調で捉えられている。曲の雰囲気に良く合った音調で大人の音場が拡がる。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
by primex64
| 2009-02-23 12:28
| Solo - Vc
|
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Comments(2)
Commented
by
koyama
at 2009-02-24 09:07
x
お世話様です、koyamaです。このCDもマスター様に紹介して
いただいて嬉しいです。
ガイヤールさんのCDは、このフォーレ、ボッケリーニ、それと
バッハの無伴奏(中古w)と購入、聴いてまいりましたが、いずれも
素晴らしい録音、音楽の難しいことはよく分かりませんが、どれも
聴いていて「良い音楽とはこういうものをいうのかなぁ」と思わせる、
歌心のようなものがあるように感じました。
次はヴィバルディを買いたいと思っているのですが、値段もバカに
高いし、何を弾いても「同じ」といわれるヴィバルディですから、
チョイとばかし不安w
マスターさまの取り上げる女流はガイヤールさんといい、デュリカ
さんといい、美形ぞろい。オッと、レスチェンコは微妙か?(爆
ではでは。
いただいて嬉しいです。
ガイヤールさんのCDは、このフォーレ、ボッケリーニ、それと
バッハの無伴奏(中古w)と購入、聴いてまいりましたが、いずれも
素晴らしい録音、音楽の難しいことはよく分かりませんが、どれも
聴いていて「良い音楽とはこういうものをいうのかなぁ」と思わせる、
歌心のようなものがあるように感じました。
次はヴィバルディを買いたいと思っているのですが、値段もバカに
高いし、何を弾いても「同じ」といわれるヴィバルディですから、
チョイとばかし不安w
マスターさまの取り上げる女流はガイヤールさんといい、デュリカ
さんといい、美形ぞろい。オッと、レスチェンコは微妙か?(爆
ではでは。
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by
primex64 at 2009-02-24 12:15
koyamaさん、取り上げさせて頂きましたよ。
確かにヴィヴァルディは似たような旋律と和声なので多少飽きる場合もあるかも知れませんね。
あー、・・・ 美形に着目して選んでいる訳じゃなくて演奏が巧い人を紹介していますw たまたまでしょうww あー、イザベル・ファウストはジャケ写真はどれもイモ臭いですが実物はかなり綺麗な別嬪さんでしたよww
確かにヴィヴァルディは似たような旋律と和声なので多少飽きる場合もあるかも知れませんね。
あー、・・・ 美形に着目して選んでいる訳じゃなくて演奏が巧い人を紹介していますw たまたまでしょうww あー、イザベル・ファウストはジャケ写真はどれもイモ臭いですが実物はかなり綺麗な別嬪さんでしたよww