Chopin: Preludes Op. 28@Alexandre Tharaud |
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Chopin:
24 Preludes Op.28
Prelude Op.45 in C sharp minor(No.25)
Trois Nouvelles Etudes
Prelude Op. posth. in A flat major(No.26)
Mompou:
Musica Callada No.15 on the theme of Chopin Prelude No.4
El Lago (Le Lac)
Prelude No.9
Alexandre Tharaud(Pf)
アレクサンドル・タローのピアノ演奏はケラスが弾いたドビュッシーとプーランクのチェロ・ソナタでの伴奏が記憶に新しくて、これは好印象だった。そのこともあって旧譜だが店頭で目にしたときに直感的にこれを手に取った。
一言で言うとこれは意外なプレリュードだ。テクニックは上級だし、よく聴くと肌理細やかなアーティキュレーションも織り交ぜてある演奏であって決して下手ではない。が、なんというか全体観としては平坦で淡々としたショパンなのだ。
速度は控えめで丁寧な弾き込みなのは分かるがドラマ性が極めて希釈なのだ。例えばRaindrop(雨だれ)の別名で著名なOp.28#15だが、まるで打ち込まれたMIDIのような機械的な歩の進みだ。
このプレリュードOp.28曲集の最後を飾る、最も激烈な#24は妙な秩序の下でこぢんまりと纏まってしまっていて暗鬱なショパンの内面が見え透いてこない。この曲をこのような瞑想的な風情で流されてもピンと来ないのである。
ドビュッシーで見せていた自由で大胆な飛翔をショパンのOp.28でも聴かれると思っていた自分が甘かったようで、ライナーには以下のタロー自身によるコメンタリーが載っていた。
"I like to play the cycle of Preludes without interruption, with the same tension, a certain underlying fear even in the most serene preludes."
なるほど、確かにここで言っているように同じテンションによる、しかも中断のない連続演奏が好きだ、ということならこういう出来になるのかも知れないし、例えどんなに穏やかな曲であっても畏れを抱きつつ弾くなら起伏の少ない用心深い解釈とならざるを得ないのかも知れない。
但し、ここまで書いた様なネガティブな先入観を持って聴かなければこれはこれで教科書的な綺麗なプレリュードであって世間的には大いに受け入れられる出来映えではないだろうか。
http://blog.ottava.jp/ottava_amoroso/2008/03/post-71d1.html
http://genepro6109.blog.so-net.ne.jp/2008-05-07
(録音評)
ハルモニアムンディ、HMC901982、通常CD。このCDは最初うまく鳴らなかった。曇っていてオンマイク気味、少々ワンワンと響く音だった。暫く掛けていたら別物の音になった。オフマイク気味なのだが気味が悪いほど奏者の気配、アクション機構のノイズ、時々床の軋む音などが増幅されて入っており臨場感は抜群だ。そして背景のサウンドステージは意外に広くしかも漆黒の闇のような静けさだ。最近になって更に音質が進化したCDリリースが相次いでいる気がする。
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