2009年 01月 28日
Beethoven: P-Con#1, #5@Guy, Jordan/OPRF |
前回のPコン4番が気に入り、この人たちのチクルスを買ってみてもよいかな?などと思いながら店頭を物色していたらこの第一弾があった。1番と5番皇帝で、どうやらこれは去年の夏頃に出たものらしい。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2697975
Beethoven:
Piano Concerto No. 1 in C Major, Op. 15
Piano Concerto No. 5 in E flat major, Op. 73 'Emperor'
Francois-Frederic Guy (piano)
Orchestre Philharmonique de Radio France, Philippe Jordan
ベートーヴェン:
1.ピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15
2.ピアノ協奏曲第5番変ホ長調op.73 皇帝
フランソワ=フレデリク・ギィ(Pf)
フィリップ・ジョルダン(指揮)、ラジオ・フランス管弦楽団
ベートーヴェンが5曲残したPコンの中では1番が好きだ。奇を衒ったところがない安定した心持ちがよく現れた真っ直ぐな曲で、和声も旋律も好バランスなのだ。特にガラス玉が転がるような煌めきを見せる3楽章が好きでよく聴いたものだしポケットスコアに飽きたらずピアノ譜を買って来て弾いてみたりしていた(ま、実際には指はそうそう高速には動かずつっかかってばかりいたのだが・・)。ギィが弾くこの楽章は珠玉と言ってよく、抑制的な演奏ながら随所に疾駆感のあるアーティキュレーションが潜在していて大変に素晴らしい。
皇帝だが、この録音は枚挙にいとまがないし名演・名盤は星の数ほどある。1楽章のパフォーマンスはどの盤でも最注目の場面でありピアノのカデンツァの出来とオケの強奏/アインザッツの華麗さが焦点となる。この盤の出来は中庸中の中庸で特別に変わった仕掛けはないがギィの滑らかで内省的なスケールが特徴といえば特徴。弦や響板が悲鳴を上げるような派手な皇帝は多いのだがこれは理性的な解釈と言ってよい。
皇帝の中では静謐な2楽章が好きで、そして2楽章最後尾で新しいモチーフが短く提示された直後に連続して3楽章に突入していく部分が個人的な着目点なのだが、この盤のここはシームレスで理想的な繋がり方である。皇帝の3楽章は派手な1楽章と対比されるが、実はこっちの6拍子ソナタ形式の方が完成度はずっと高いと思っている。作者も恐らくこちらをメインディッシュとして聴いて欲しかったのではないだろうか。
展開部の終わりで第1主題、いや2楽章最後尾がリフレインしてフラッシュバックする部分が泣けるのだ。ティンパニと共に唐突に終わるコーダもベートーヴェン作品としては珍しい潔さだ。ギィのピアノは3楽章で情感のピークを打つように照準を合わせているようでこれも個人的な考え方に合致している。
(録音評)
naive、V5084、通常CD。録音は2007年7月、Maison de Radio France, Salle Olivier Messiaen(オリヴィエ・メシアン・ホール)とある。前に聴いた4番が2006年12月の同じ場所での録音(但しカップリングのクインテットは2008年録音)だったのでこちらの盤の方が収録は新しいことになる。
Arnaud Moral(Producer)、Joel Soupiron(Balance Eng.)、Bruno Mlan(Mastering)と、前の盤とレコーディング・パーソネルは同じ。マイクはDPA 4009とNeumann M149、マイクプリ+コンソールがSSL、録音はPyramix 32trkと、こちらも同じ機器。
前の盤で学習処理してあったためかこの盤は一発で鳴った。これは新世代naiveの音だ。最初は多少荒れた感じかと思われたが少し聴き込んでいるともの凄く見通しがよく解像度の高い音だと言うことが分かる。しかしこれ見よがしの輪郭強調は一切なく、なにげに聞き流しているなら普通の音。CD単層盤でこの音質は驚異的だ。
naiveは以前、様々なメーカーの機器をケースに応じて使っていたがいずれもdCS 904 A/Dコンバータがキー・デバイスだったようだ。昨今ではその構成を変更し、SSLのデジタルコンソール+Pyramix(Windowsで動く録音編集ソフト)という布陣に固定したのだろうか。とにかく音は違うしクォリティは数段向上している。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2697975
Beethoven:
Piano Concerto No. 1 in C Major, Op. 15
Piano Concerto No. 5 in E flat major, Op. 73 'Emperor'
Francois-Frederic Guy (piano)
Orchestre Philharmonique de Radio France, Philippe Jordan
ベートーヴェン:
1.ピアノ協奏曲第1番ハ長調op.15
2.ピアノ協奏曲第5番変ホ長調op.73 皇帝
フランソワ=フレデリク・ギィ(Pf)
フィリップ・ジョルダン(指揮)、ラジオ・フランス管弦楽団
ベートーヴェンが5曲残したPコンの中では1番が好きだ。奇を衒ったところがない安定した心持ちがよく現れた真っ直ぐな曲で、和声も旋律も好バランスなのだ。特にガラス玉が転がるような煌めきを見せる3楽章が好きでよく聴いたものだしポケットスコアに飽きたらずピアノ譜を買って来て弾いてみたりしていた(ま、実際には指はそうそう高速には動かずつっかかってばかりいたのだが・・)。ギィが弾くこの楽章は珠玉と言ってよく、抑制的な演奏ながら随所に疾駆感のあるアーティキュレーションが潜在していて大変に素晴らしい。
皇帝だが、この録音は枚挙にいとまがないし名演・名盤は星の数ほどある。1楽章のパフォーマンスはどの盤でも最注目の場面でありピアノのカデンツァの出来とオケの強奏/アインザッツの華麗さが焦点となる。この盤の出来は中庸中の中庸で特別に変わった仕掛けはないがギィの滑らかで内省的なスケールが特徴といえば特徴。弦や響板が悲鳴を上げるような派手な皇帝は多いのだがこれは理性的な解釈と言ってよい。
皇帝の中では静謐な2楽章が好きで、そして2楽章最後尾で新しいモチーフが短く提示された直後に連続して3楽章に突入していく部分が個人的な着目点なのだが、この盤のここはシームレスで理想的な繋がり方である。皇帝の3楽章は派手な1楽章と対比されるが、実はこっちの6拍子ソナタ形式の方が完成度はずっと高いと思っている。作者も恐らくこちらをメインディッシュとして聴いて欲しかったのではないだろうか。
展開部の終わりで第1主題、いや2楽章最後尾がリフレインしてフラッシュバックする部分が泣けるのだ。ティンパニと共に唐突に終わるコーダもベートーヴェン作品としては珍しい潔さだ。ギィのピアノは3楽章で情感のピークを打つように照準を合わせているようでこれも個人的な考え方に合致している。
(録音評)
naive、V5084、通常CD。録音は2007年7月、Maison de Radio France, Salle Olivier Messiaen(オリヴィエ・メシアン・ホール)とある。前に聴いた4番が2006年12月の同じ場所での録音(但しカップリングのクインテットは2008年録音)だったのでこちらの盤の方が収録は新しいことになる。
Arnaud Moral(Producer)、Joel Soupiron(Balance Eng.)、Bruno Mlan(Mastering)と、前の盤とレコーディング・パーソネルは同じ。マイクはDPA 4009とNeumann M149、マイクプリ+コンソールがSSL、録音はPyramix 32trkと、こちらも同じ機器。
前の盤で学習処理してあったためかこの盤は一発で鳴った。これは新世代naiveの音だ。最初は多少荒れた感じかと思われたが少し聴き込んでいるともの凄く見通しがよく解像度の高い音だと言うことが分かる。しかしこれ見よがしの輪郭強調は一切なく、なにげに聞き流しているなら普通の音。CD単層盤でこの音質は驚異的だ。
naiveは以前、様々なメーカーの機器をケースに応じて使っていたがいずれもdCS 904 A/Dコンバータがキー・デバイスだったようだ。昨今ではその構成を変更し、SSLのデジタルコンソール+Pyramix(Windowsで動く録音編集ソフト)という布陣に固定したのだろうか。とにかく音は違うしクォリティは数段向上している。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
by primex64
| 2009-01-28 10:04
| Concerto - Pf
|
Trackback
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Comments(6)
お世話様です。シューベルトのクラリネットSACD、頼んでしまいましたw
楽しみです。で・・・・・・
>皇帝だが、この録音は枚挙にいとまがないし名演・名盤は星の数ほどある。
ということですが、マスター様の「これ一枚!」wというお薦めはなんで
ありましょう?
ブレンデルとか内田、バレンボイム、シフなど雑食しておりますが・・・・
ギレリスとベームなんてのもありました・・・・・
お教えください。宜しくお願いします。
このギイのも、その内に・・・・・
楽しみです。で・・・・・・
>皇帝だが、この録音は枚挙にいとまがないし名演・名盤は星の数ほどある。
ということですが、マスター様の「これ一枚!」wというお薦めはなんで
ありましょう?
ブレンデルとか内田、バレンボイム、シフなど雑食しておりますが・・・・
ギレリスとベームなんてのもありました・・・・・
お教えください。宜しくお願いします。
このギイのも、その内に・・・・・
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koyamaさん
おー、ソニーのSACD頼まれましたか・・w
LP時代にはいっぱい持っていましたが、その時の名演と思っていたものの一枚がこれで、今ではなんとSHM-CDになっているようです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2765062
その後の時代だと、個人的には故アラウが好きで、これも骨太で良いと思います。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/668554
いずれも古典的な解釈の皇帝で、絢爛系Pコンの典型ですww ギィの演奏は新世代と思います。
おー、ソニーのSACD頼まれましたか・・w
LP時代にはいっぱい持っていましたが、その時の名演と思っていたものの一枚がこれで、今ではなんとSHM-CDになっているようです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2765062
その後の時代だと、個人的には故アラウが好きで、これも骨太で良いと思います。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/668554
いずれも古典的な解釈の皇帝で、絢爛系Pコンの典型ですww ギィの演奏は新世代と思います。
マスターさま、ご教授有難うございます。遅レスすいません・・・・・・
実は4年使った東芝のコスミオがトンでしまいまして(^^;;;
ルービンシュタイン、アラウ、両巨匠ですね。
両盤とも、廉価で買えるところも嬉しいですw
次の購入予定、ですw
そう言えば、SHM-CD、マスターさまは試聴記はお書きでは
ないですね(爆
HMVでも、通常CDとの音質差異は試聴環境に・・・・・などと
一時の爆発的提灯記事とは異なるニュアンスが・・・・・・・・・
やっぱり、SACDですよね?
実は4年使った東芝のコスミオがトンでしまいまして(^^;;;
ルービンシュタイン、アラウ、両巨匠ですね。
両盤とも、廉価で買えるところも嬉しいですw
次の購入予定、ですw
そう言えば、SHM-CD、マスターさまは試聴記はお書きでは
ないですね(爆
HMVでも、通常CDとの音質差異は試聴環境に・・・・・などと
一時の爆発的提灯記事とは異なるニュアンスが・・・・・・・・・
やっぱり、SACDですよね?
>そう言えば、SHM-CD、
営業妨害になるから(爆)書きませんが、あれは一種の優越感増幅的商法ですわ orz 媒体素材によって根本から音質が改善して今まで聴いたこともないような音が出るはずもない訳で・・・。所詮はPCMで記録されたCD単層盤なんですわ。 ま、過去の優秀録音を確かな品質で再度買いたいというアラフォー、アラフィフの人はいるでしょうし。特に絶対神的な威力を持つカラヤンの旧譜をSHM-CDで出してくるところが私としてはちょっと確信犯的で容認できないところです。
それに引き替えSACDは情報量が違いすぎです。うまく鳴らせればこんなに良い音は再生音楽市場、またオーディオ史上例を見ないクォリティだと思いますぜww
アラウの皇帝は鋳物のようにズッシリ重くて、それでいて綺麗で澄んだ音色のする好演ですよ! 是非・・・!
営業妨害になるから(爆)書きませんが、あれは一種の優越感増幅的商法ですわ orz 媒体素材によって根本から音質が改善して今まで聴いたこともないような音が出るはずもない訳で・・・。所詮はPCMで記録されたCD単層盤なんですわ。 ま、過去の優秀録音を確かな品質で再度買いたいというアラフォー、アラフィフの人はいるでしょうし。特に絶対神的な威力を持つカラヤンの旧譜をSHM-CDで出してくるところが私としてはちょっと確信犯的で容認できないところです。
それに引き替えSACDは情報量が違いすぎです。うまく鳴らせればこんなに良い音は再生音楽市場、またオーディオ史上例を見ないクォリティだと思いますぜww
アラウの皇帝は鋳物のようにズッシリ重くて、それでいて綺麗で澄んだ音色のする好演ですよ! 是非・・・!
>営業妨害になるから(爆)書きませんが、あれは一種の優越感増幅的商法ですわ orz
おお、確かに「営業妨害」(爆
アラウのドレスデンとのものは、他のサイトで、グリモーのパックで
ドレスデンが横森良蔵さんのアコーディオン伴奏のように軽んじ
られているのと対比して、名演としているのも見つけました。
次に・・・・と言う前にクラリSACDがもうすぐ到着wシューリヒトの
ブラ4と一緒、まずそちらを楽しんでから、ですね。
有難うございました。
おお、確かに「営業妨害」(爆
アラウのドレスデンとのものは、他のサイトで、グリモーのパックで
ドレスデンが横森良蔵さんのアコーディオン伴奏のように軽んじ
られているのと対比して、名演としているのも見つけました。
次に・・・・と言う前にクラリSACDがもうすぐ到着wシューリヒトの
ブラ4と一緒、まずそちらを楽しんでから、ですね。
有難うございました。
御世話様です。こちらのCDが先に入手出来てしまいましたw
確かに超高音質ですね。1番のピアノなんか背筋がゾクッと
するほどリアル、です。
皇帝は確かに新時代の演奏ですね。
拙宅にある「巨匠モノ」wは、バックハウスのもの、イッセルシュテットの
ベト全にあるものですが、比べれば音は全くギィの方が良いですし、
テクニックも巨匠はモタモタ(爆)とも思えますが、音楽はそればかりでは
ないとも思えました。
アラウもルービンシュタインも、素晴らしい予感。ギィのは、私の好きな3番も楽しみです。
ではでは。
確かに超高音質ですね。1番のピアノなんか背筋がゾクッと
するほどリアル、です。
皇帝は確かに新時代の演奏ですね。
拙宅にある「巨匠モノ」wは、バックハウスのもの、イッセルシュテットの
ベト全にあるものですが、比べれば音は全くギィの方が良いですし、
テクニックも巨匠はモタモタ(爆)とも思えますが、音楽はそればかりでは
ないとも思えました。
アラウもルービンシュタインも、素晴らしい予感。ギィのは、私の好きな3番も楽しみです。
ではでは。




