Purcell: Cease, Anxious World Etc@Perrot/La Rêveuse |
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H.Purcell: Cease, Anxious World - Songs & Chamber Music - La Rêveuse
ヘンリー・パーセル:わずらわしき世の中よ~歌曲、室内楽曲集
わずらわしき世の中よ Cease, anxious World
新しいアイルランドの歌 ト長調 Z.646 A new irish tune
優しき音と美しい調べ Soft Notes, and gently rais’d
新しいグラウンド ホ短調 Z.T682 A new Ground
日陰の冷たく心地よき流れの中で A midst the Shades
王子 A Prince
アミンタスが初めて口づけを求めし時 When first Aminta's su'd for a kiss
ここに神が Here the deities
プレリュード Prelude
トリオ・ソナタ Z.780 Trio sonata
薔薇より甘く Sweet than roses
グラウンド ZD.221 Ground
ひとときの音楽 Music for a while
愛らしい素敵な人 Dear pretty youth
ソナタ(G.フィンガー作曲)
嘆きの歌 O let me weep
La Rêveuse
Julie Hassler, sopraano
Stéphan Dudermel, viulu
Florence Bolton, viola da gamba
Angelique Mauillon, harppu
Bertrand Cuiller, urut, cembalo
Benjamin Perrot, teorbi
パーセルはクープランとほぼ同時期のイギリスを生きた作曲家で、短命でありながら多くの作品を残した巨匠の一人。バッハはパーセル/クープランの直後の時代に音楽活動を始めることとなる。以下、ライナーより:
The civil war that culminated in the decapitation of King CharlesI was a dark period of English history; yet, in musical terms, the Puritans led by Oliver Cromwell did not do as much damage as one might have imagined. By prohibiting public music-making in places of workship(*) and theatres, they contributed to the development of the practice of chamber music between friends in the home.
(*)訳注:workshopの誤植
チャールズ一世の斬首に終わった内戦(清教徒革命)はイギリス史における暗黒の時代だった。しかし、オリバー・クロムウェル率いる清教徒は、こと音楽の局面においては世の中で思われているほど弾圧したと言うことはない。即ち、演奏会や劇場という公共の場での音楽制作・上演を禁止するということが、親しい間柄の家庭の中で演奏されることを前提とした室内楽という規範の発達に貢献したのだ。
ここにあるようにパーセルが生きた時代のイギリスは大きな紛争があって世相は不安定、そして民心は廃れていた。この曲集からはそういった退廃荒廃した世相と人々の暮らしぶり、そして彼らの心象風景が感じ取ることが出来る。
ラ・レヴーズはベンジャミン・ペロー率いる古楽専門のコンソートで、その研究は時代考証的には深いものがあるといい、ヴィヴィッドでノーブルな演奏を聴かせてくれるグループである。そして、ここでパーセルの歌曲を歌い上げるのは美しく透過する美声の持ち主ジュリー・ハスラーというソプラノ歌手だ。
わずらわしき世の中よ--Cease, anxious World、直訳すれば「案ずべき世界をやめてくれ」が、このアルバムのテーマ性を全て物語っている。切々と歌われる当時の願い--争いごとの終結--への思いが淡々と、しかし高らかに歌われている。オルガンとバス・ド・ヴィオールだけが静かな低音部を奏でる中、ハスラーの澄み渡ったソプラノが礼拝堂にこだまする。
A new Ground Z.T682は、記憶は定かではないがバッハが自分の鍵盤曲の主題に使っていた曲で、耳に懐かしい。その他、この時代を代表するような美しく儚い旋律が次から次へと流れ出てくるのだ。独奏パートが頻繁に登場するし、歌のないパート、また、オルガンが下支えするパート、テオルボが悠久の時を刻むように朗々と歌うパート、ハープとガンバのピチカートの掛け合いなど、色々なアレンジの曲が並んでいる。しかし、全ての楽器が同時に合奏するというパートは殆どなく、いずれの曲もどこかのパートが休止しているという塩梅だ。
ラ・レヴーズの演奏はどのパートも巧いし、ついつい引き込まれ、そして聴かせられるのである。このアルバムの真価は筆舌に尽くしがたく、実際に聴かなければ分からない部分は多い。
(録音評)
MIRARE MIR033、通常CD。録音は2007年4月、Temple de Lourmarin, France(ルールマラン、フランス)とある。ということで、録音場所は昨日のクープランと同じ寺院ということだが、音質は更に素晴らしく、完全な壁抜け現象が起きる。壁面にしつらえられた中型のオルガンが等身大でちょっと離れた場所から響き、その前で面々が静謐な演奏を繰り広げるという場面が手に取るように分かる。ハスラーの歌声が本当に壁の奥から響いてくるのには恐れ入った。
プログラムも演奏も録音も素晴らしいもので音楽ファンにもオーディオ・ファンにもお勧めの一枚だ。
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内容を知らなければちょっとおどろおどろしいジャケです。火事のジャケというのは珍しいと思います。以前、naiveのやつで男女二人が向き合って楽譜を燃やしている、っていうシュールなのもありましたが・・・w
このCDはなかなか良い選曲・演奏ですww
昨年は本当にお世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年末にeARも無事届きました。色々と参考にさせて頂きセッティング・試聴しながら、1001REFにして良かったと思っております。
好みに合いそうなので、注文しました。ソプラノと寺院という組み合わせも良さそうですね。拙宅でも壁抜け現象が起きるといいなー、という甘い考えもありますが(笑。
おお! eARが到着しましたか・・! おめでとうございます。このCDは音が純粋なのでシステム診断にも向いています。でも、音楽的にもパーセルの真骨頂が垣間見られるという点で価値がありますよ。