Histoires Sacrées: Vivaldi: Concerti e Cantate@Alessandrini, Concerto Italiano |
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Antonio Vivaldi:
Concerto for Strings in C major, RV 117
Amor hai vinto, RV 683
Concerto for Cello in A minor, RV 422
Concerto for Strings in E minor, RV 134
Cessate omai cessate, RV 684
Concerto for Violin in D minor, Op. 4 no 8/RV 249
Concerto for Strings in G major, RV 151 "Alla rustica"
Sara Mingardo(Alt)
Francesca Vicari(Vn)
Rinaldo Alessandrini(cond, Cem), Concerto Italiano
ヴィヴァルディは同じ曲を別の器楽構成でいくつも作っていたり、同じ歌詞に別の旋律を付けて別の歌曲としたりと、割と系譜が複雑で全貌把握は難しい。これは、当時既に音楽を巡るマーケットが存在し、様々なパトロン(王族や貴族、また楽譜出版社、編集者など)から資金調達するための商業活動の一環だったと考えることが出来る。
この曲集は比較的珍しいヴィヴァルディの歌曲、それも宗教色の強いカンタータを幾つか収録したものだ。残りの、Vnやその他ストリングスのための協奏曲は耳に馴染みがあるものばかり。
RV683はアルトと2つのヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音のためのカンタータが正式名称で女声を弦楽器のように緻密に細かく使う独特の曲だ。これのサブタイトル「Amor hai vinto」を訳した邦題は「愛よ、あなたの勝ちだ」と言う。先例に漏れず、この曲にも同じ歌詞でソプラノ用があって、これのRV番号は651。題名も同じでAmor hai vintoだ。
いやはや凄まじい歌唱技巧で驚くばかり。このサラ・ミンガルドというアルト歌手は何ものなのだ。ここまでエキセントリックな歌唱と歌手は聴いたことがないほど巧い。聴いているとまるでオーボエかクラリネットが鳴っているような錯覚に囚われるほど正確でアップテンポな歌い方なのだ。
RV684もアルトによるカンタータで、邦題を「やめておくれ、もうやめておくれ」と言うが、こちらは1~3楽章までは荘厳で割と重厚な歌い込みが特徴。しかし4楽章はカウンターテナーがしばしば余興に用いるハイテンポでアクロバティックな曲だ。ここでもミンガルドがその超絶的な喉を披露している。
このコンチェルト・イタリアーノというバロックアンサンブルは非常に巧い。しかもヴィヴァルディ的な強点を余すところなく引き出しており演奏は非常に劇的でメロディアス、そして引き込まれるものがある。楽器の音もすこぶる美しい。
(録音評)
naive OP30181、通常CD。録音は1996年、Villa Mondragone, Frascati, Italyとあり、これも旧・OPUS111レーベルの音源、プロデュースは一枚目と同じYolanta Skula。音質は鮮烈かつ先鋭なもので素晴らしい。オリジナル古楽器の音色も克明、サウンドステージの重層感も素晴らしく、独唱の定位も完全だ。とにかく優秀な録音で時代の古さは全く感じない。
このヨランタ・スクラという人物、手元にある最初期のエラート・レーベルのバッハ作品集、ヴィヴァルディの四季のプロデューサーに名を連ねていた。調べてみたらやはり同一人物で、その後自前のプライベートレーベルであるOPUS111を設立している。彼女の評判はやはりこのCDで感じられる通り透明で鮮烈な音場再現が昔から特徴だったようで、ある意味知る人ぞ知る人物であったようだ。高齢のために引退し、OPUS111の音源をnaiveに全て譲渡したというのが真相のようだ。これらの廃盤が復刻してくる予感があって楽しみだ。
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