Histoires Sacrées: J. S. Bach: Motets BWV225-230@Pierre Cao/Ensemble Arsys Bourgogne |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2791140
CD1:
J.S.バッハ:モテット集
アルシス
レ・バス・レユニ
ピエール・カオ(指揮)
録音:2002年(デジタル)
CD2:
ベートーヴェン:オラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』Op.85
ジモーネ・ケルメス(S:天使セラフィム)
シュテーフェ・ダフィスリム(T:イエス・キリスト)
アイケ・ヴィルム・シュルテ(Bs:ペテロ)
コルス・ムジクス
ノイエ・オルケスター
クリストフ・シュペリング(指揮)
CD3
M.A.シャルパンティエ:3つの歴史的聖歌
イル・セミナリオ・ムジカーレ
ジェラール・レーヌ(指揮、カウンターテノール)
録音:2000年
CD4
ヴィヴァルディ:協奏曲とカンタータ集
サラ・ミンガルド(アルト)
コンチェルト・イタリアーノ
リナルド・アレッサンドリーニ(チェンバロ、指揮)
録音:1995年(デジタル)
クリスマスシーズンを控え、naiveからの贈り物という感じの格安ボックスで一枚換算500円程度という破格値だ。いずれも音源はちょっと前のものだが、どれもが敬虔で霊験灼かそうな音楽とサウンドだ。
一枚目はピエール・カオ /アルシスのバッハ・モテット集。アルシスとは現在ではEnsemble Arsys Bourgogneと名乗るコーラス・グループで、以前には現代作家の晩祷とグレゴリア聖歌が秀逸だったし、レクイエムのオムニバス盤にも登場している実力派だ。
モテットとはキリスト教各派で日常礼拝等のモチーフとして用いられる合唱和声による宗教曲全般を指し示す総称なのであるが、正式で改まった葬儀や礼拝、祈祷に用いられるミサ曲とは対比関係にある、ある種世俗的な歌詞と旋律をもったシンプルな曲がその殆どだ。起源は中世のグレゴリア聖歌以後、ルネサンス期に遡るらしいが明確な曲様式(例えばソナタ形式、フーガ、リチェルカーレなど)が確立されている訳ではない。
バロック期に入ってもモテットは作曲されており、このバッハの作品がその代表例とされる。バッハのモテットは長年に渡り研究されてきたがどれがモテットでどれがモテットでないという議論があって、どうも確定的ではないそうだが、一般にここに収録されているBWV225~230の6曲をフィーチャーしている録音が多い。奇特なことにこのアルバムがリリースされた当時に聴いた人がコメントしているblogがあって、そこにはBWV230は明らかな贋作と書いてあった。ま、実際に聴いてもそれの真偽の程は分からないのだが・・。
どれもが小規模な伴奏が付けられていて、それを背景にアルシス・ブルゴーニュの面々が直線性鋭くモテットを歌い上げる。憂鬱な旋律もあれば浮き立つ楽しいものも並んでいる。特に後者に関してはクリスマス礼拝向けによろしいかと思われる。感情を特段に鼓舞するような激烈な曲想はない代わりに、しんみりと平常心を保ってアルファ波を持続させるには良い曲集だ。これを聴きながら色々なことを思い出し、また考えた(勿論、極めて個人的で些末な事柄だが・・)。
(録音評)
naive V5155(カートン)、Ambroisie AM9917(単体)、音質はクリアでタイト、透過性の強い高音質盤だ。背景ノイズは少なく残響は美しく伸びてから静かに消えていく。良質なPCM録音の特徴を表すかっちりとした隈取りで、声のニュアンス、特にサ行のプレゼンスは硬質だ。コーラス全般は秀逸な定位、伴奏の定位も概してよろしい。
この単体盤のジャケット写真はネットでは見つけられなかった。2008年のコピーライトが付けられているのでこのカートンのために装丁をやり直したのであろう。不鮮明な写メでお許し願いたい。
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