2008年 12月 01日
Mussorgsky: Pictures at an Exhibition Etc.@H. Albrecht |
OEHMSの新譜から、オルガンによる展覧会の絵、死の島、ペトルーシュカで、ハンスイェルク・アルブレヒトの編曲/演奏。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2754062
・ムソルグスキー/アルブレヒト編:展覧会の絵(オルガン版)
・ラフマニノフ/ラングマン編:交響詩 死の島(オルガン版)
・ストラヴィンスキー/アルブレヒト編:ペトルーシュカ 3つの舞曲(オルガン版)
ハンスイェルク・アルブレヒト(オルガン)
H.アルブレヒトのオルガン演奏で前回聴いたのはワーグナーの指輪のトランスクリプションだった。大小二台のオルガンを電子的にシンクロさせて遠隔操作するという試みだったのだが、今回のこの大規模かつ高難度な曲たちをこの仕組みで演奏しようと言う更にチャレンジャブルな内容だ。
このオルガン版の演奏スコアは正統的なピアノ独奏による展覧会、2台4手によるペトルーシュカとは明らかに異なり、オケ版を元に編曲されている。従ってオケの各楽器群に対応するストップを多彩に選択・組み合わせることによりドラマティックな演奏効果を上げることに成功している。
オルガンはホールや聖堂にくくりつけの設備であって、そのホール内の残響を含めて完成された音を形作るようになっている。低域を司る太くて長い16フィートないし24フィート長のフルー管などはキーが押下されてから送風動作が行われて共鳴鳴動が始り、その振幅がホール全体に伝わってフルボリュームのレゾナンスで満たされるまでには多少の時間が掛かる。反面、中高域のフルー管やリード管はパイプ径が小さく、初動に要する空気流量も少なくて立ち上がりは速い。しかもこれらの中高域ビームは振幅が短く、これらがホール内に散乱して行き渡るにはそれほどの時間は要しない。
この演奏を聴き込めばすぐに分かることなのだが、展覧会やペトルーシュカはパッセージが複雑で高速ゆえ、パイプの低域と中高域の演奏上のタイムラグが無視できないくらい聴感に影響を与える。つまり同時にキーを押下していると常に低域が後から追いかけて出てくる格好(後拍)になり、スケールがボケボケになってどんな旋律を弾いているのか分からなくなるのだ。
そのため、アルブレヒトは低域キーをその周波数に応じて微妙に調整しつつ速めに弾き始めているのだ。この動作は低域が主旋律を担当するパートにおいては特に顕著で、この場合は中高域キーを遅れ目に弾いていると言った方が適切かも知れない。以上の微妙な調整動作の賜もあり、アルブレヒトはこれらの超難曲をオルガンという至高の単一楽器で弾き切っている。
このCDはiPodで聴くとグダグダに聞こえてしまうので、必ず通常のラウドスピーカーで再生すべきだ。iPodなどのイヤフォン聴取においては、低域パイプが鳴動を開始する瞬間を拡大して聴かせてしまうので、この人工的に付けられたタイムラグ打ち消し動作が意味を成さない。つまり低域が常に速く聞こえてしまい音が完全に濁るのである。これはオフセット印刷された写真を虫眼鏡で覗き込むようなもので、色の粒々しか見えないのと同じ原理である。
オルガンのコンソールに向かって人間一人が同時に操ることの出来る音の数には限界があるが、このCDはこういった限界に挑んだ演奏と言え、どの演奏も色彩感に満ちた素晴らしい出来映えだ。ペトルーシュカの音数がオケ版よりも僅かに少なくなっているのは致し方のないところだが、これはこれでまとまった編曲と演奏で聴いていて楽しい。H.アルブレヒトの次なる挑戦はなんなのか、気になるところ。
(録音評)
OEHMSレーベル、OC632、SACDハイブリッド。録音は2008年4月21-27日、キール、聖ニコライ教会、ドイツとある。音質は典型的なOEHMSのオルガン録音のそれそのものであり非常に優秀だ。尚、今回の録音担当はPolyhymnia International B.V.、使用マイクはMicrotech Gefell社製と表記されている。尚、Microtech Gefellは旧東ドイツのマイクメーカーで、東西ドイツに分かれる前はノイマンと同じ会社だった。
この聖堂の残響時間は異様に長く、その減衰は非常に美しいものだ。どっぷりとした超低域ロングパイプ、また突き抜けるような高域リード管の散乱ビームまで満遍なく聖堂丸ごとを捉えた超優秀録音だ。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。


http://www.hmv.co.jp/product/detail/2754062
・ムソルグスキー/アルブレヒト編:展覧会の絵(オルガン版)
・ラフマニノフ/ラングマン編:交響詩 死の島(オルガン版)
・ストラヴィンスキー/アルブレヒト編:ペトルーシュカ 3つの舞曲(オルガン版)
ハンスイェルク・アルブレヒト(オルガン)
H.アルブレヒトのオルガン演奏で前回聴いたのはワーグナーの指輪のトランスクリプションだった。大小二台のオルガンを電子的にシンクロさせて遠隔操作するという試みだったのだが、今回のこの大規模かつ高難度な曲たちをこの仕組みで演奏しようと言う更にチャレンジャブルな内容だ。
このオルガン版の演奏スコアは正統的なピアノ独奏による展覧会、2台4手によるペトルーシュカとは明らかに異なり、オケ版を元に編曲されている。従ってオケの各楽器群に対応するストップを多彩に選択・組み合わせることによりドラマティックな演奏効果を上げることに成功している。
オルガンはホールや聖堂にくくりつけの設備であって、そのホール内の残響を含めて完成された音を形作るようになっている。低域を司る太くて長い16フィートないし24フィート長のフルー管などはキーが押下されてから送風動作が行われて共鳴鳴動が始り、その振幅がホール全体に伝わってフルボリュームのレゾナンスで満たされるまでには多少の時間が掛かる。反面、中高域のフルー管やリード管はパイプ径が小さく、初動に要する空気流量も少なくて立ち上がりは速い。しかもこれらの中高域ビームは振幅が短く、これらがホール内に散乱して行き渡るにはそれほどの時間は要しない。
この演奏を聴き込めばすぐに分かることなのだが、展覧会やペトルーシュカはパッセージが複雑で高速ゆえ、パイプの低域と中高域の演奏上のタイムラグが無視できないくらい聴感に影響を与える。つまり同時にキーを押下していると常に低域が後から追いかけて出てくる格好(後拍)になり、スケールがボケボケになってどんな旋律を弾いているのか分からなくなるのだ。
そのため、アルブレヒトは低域キーをその周波数に応じて微妙に調整しつつ速めに弾き始めているのだ。この動作は低域が主旋律を担当するパートにおいては特に顕著で、この場合は中高域キーを遅れ目に弾いていると言った方が適切かも知れない。以上の微妙な調整動作の賜もあり、アルブレヒトはこれらの超難曲をオルガンという至高の単一楽器で弾き切っている。
このCDはiPodで聴くとグダグダに聞こえてしまうので、必ず通常のラウドスピーカーで再生すべきだ。iPodなどのイヤフォン聴取においては、低域パイプが鳴動を開始する瞬間を拡大して聴かせてしまうので、この人工的に付けられたタイムラグ打ち消し動作が意味を成さない。つまり低域が常に速く聞こえてしまい音が完全に濁るのである。これはオフセット印刷された写真を虫眼鏡で覗き込むようなもので、色の粒々しか見えないのと同じ原理である。
オルガンのコンソールに向かって人間一人が同時に操ることの出来る音の数には限界があるが、このCDはこういった限界に挑んだ演奏と言え、どの演奏も色彩感に満ちた素晴らしい出来映えだ。ペトルーシュカの音数がオケ版よりも僅かに少なくなっているのは致し方のないところだが、これはこれでまとまった編曲と演奏で聴いていて楽しい。H.アルブレヒトの次なる挑戦はなんなのか、気になるところ。
(録音評)
OEHMSレーベル、OC632、SACDハイブリッド。録音は2008年4月21-27日、キール、聖ニコライ教会、ドイツとある。音質は典型的なOEHMSのオルガン録音のそれそのものであり非常に優秀だ。尚、今回の録音担当はPolyhymnia International B.V.、使用マイクはMicrotech Gefell社製と表記されている。尚、Microtech Gefellは旧東ドイツのマイクメーカーで、東西ドイツに分かれる前はノイマンと同じ会社だった。
この聖堂の残響時間は異様に長く、その減衰は非常に美しいものだ。どっぷりとした超低域ロングパイプ、また突き抜けるような高域リード管の散乱ビームまで満遍なく聖堂丸ごとを捉えた超優秀録音だ。
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by primex64
| 2008-12-01 10:27
| Solo - Cem/Org
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