Beethoven: Mass in C maj. Op.86@Colin Davis/LSO |

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2758782
Beethoven:
Mass in C major, Op. 86
John Mark Ainsley(Tenor), Alastair Miles(Bass),
Sara Mingardo(Alto), Sally Matthews(Soprano)
Sir Colin Davis(Cond)
London Symphony Chorus, London Symphony Orchestra
ベートーヴェン:
・ミサ曲ハ長調 Op.86
サリー・マシューズ(ソプラノ)
サラ・ミンガルド(コントラルト)
ジョン・マーク・エインズリー(テノール)
アラステア・マイルズ(バス)
ロンドン交響楽団&合唱団
サー・コリン・デイヴィス(指揮)
・歌劇『フィデリオ』第1幕より、囚人の合唱
ロンドン交響楽団&合唱団
サー・コリン・デイヴィス(指揮)
去年はベートーヴェンの没後180周年だったのだが、日本国内では一昨年のモーツァルト生誕250周年ほど大々的には扱われなかった気がする。これは、この没後180周年を記念するLSOベートーヴェン・チクルスの一部を成すアルバムで、HMVサイトにあるように交響曲はハイティンク、歌曲はデイヴィスが担当した。
ベートーヴェンのミサはこのハ長調ミサOp.86とニ長調ミサOp.123があり、後者は一般には荘厳ミサ曲と呼ばれている。このCDにあるハ長調ミサはベートーヴェン37歳の時の作品で、残されている述懐(いわゆるハイリゲンシュタットの遺書)によれば32歳頃から難聴が酷くなったという。その後、聴力を完全に失った失意から3年間ほど消沈時期があって、そこから立ち直り始めてから書かれたものの一つがこれ。この前年にはSym#4やニ長調Vnコンを、この後にはSym#5、#6とSym#9四楽章のスケッチとなった合唱幻想曲、更にP-Con#5皇帝などを怒濤のように書き下ろしている。
ベートーヴェンは当時、強大な権力を握る教会を中心とした教条主義を嫌っていたとされ、教会のための宗教曲を殆ど書かなかった人物であり、この二つのミサも宗教作品というよりも独唱を伴う合唱曲、つまり純粋な音楽・芸術作品として書かれたと見るのが自然で、この作曲スタイルは後のSym#9などと同系統であると言える。
個人的にはどうしてもヴェルディ、モーツァルト、ブラームス、フォーレ、ベルリオーズなどのレクイエムの様に耽美的な教会音楽に惹かれる傾向があり、従ってこのベートーヴェンの二つのミサに関しては余り得意ではなく演奏の優劣に関しては余りコメントできる立ち位置にはいない。
しかし、このハ長調ミサの演奏はとても直進的な解釈ながら凛とした描きぶりが潔くて、こういう音楽表現は嫌いではないしこれなら食わず嫌いを少々改めても良いかと思わされる説得力もある。合唱パートとオケが対峙して分離するような歌曲演奏は実に多いのであるがこのLSOとコーラス/ソリストの演奏は溶け込みの妙が味わえて秀逸だと思うしソリストたちの声質/歌い方は浮遊するような軽い質量感を伴っているのも特徴で、重厚かつ厳めしいベートーヴェンの雰囲気は不思議とない。この渾然と一体になった鳴らし方はデイヴィスやコルボなど、この道を極めた人たちだけが持つ得意技なのかも知れない。
(録音評)
LSO Live、LSO0594,SACDハイブリッド、録音時期はハ長調ミサが2006年2月26日、フィデリオの方が2006年5月23-25日、ロンドン、バービカン・センターでのライブ収録。例によって録音担当はClassic Sound Ltd.でプロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。
音質は超絶的だ。特にコーラス/ソリスト共に声の質が抜群に生々しく、サ行の響きがとても録音とは思われないストレスのない自然な響きだ。そこで人が喋っている/歌っているような錯覚に囚われる。とかく声の質に耳が行きがちだがオケのディテールと音質も抜群、サウンドステージの拡がりや奥行きも手に取るようだ。CDレイヤーも超高音質だが声のサ行の分離感が多少落ちる。さらっとして軽く抜けてくる声質はやはりSACDレイヤーの方が一段秀逸だ。
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こちらも先日のCDと合わせて購入してみました。音質が素晴らしいですね。購入して良かったです。ラフマニノフの「晩祷」に見たようなお名前が・・。合わせて購入しましたが、こちらも良かったです。これからも素晴らしいCDのご紹介がんばって下さい。応援しております。