2008年 11月 10日
Debussy, Poulenc: Cello Sonatas@Queyras, Tharaud |
このところ内容の充実ぶりが目覚ましいHarmonia Mundiの新譜から、新進気鋭のチェリスト=ケラスとタロー(Pf)が弾くドビュッシーとプーランクのチェロソナタなど。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2750196
Debussy & Poulenc - Cello Sonatas
Jean-Guihen Queyras (cello) & Alexandre Tharaud (piano)
ドビュッシー:
1. チェロ・ソナタ 第1番 ニ短調
2. レントより遅く
プーランク:
3. チェロ・ソナタ
4. バガテル ニ短調(原曲:Vn&Pf)
5. セレナード~「陽気な歌」より 第8曲(原曲:歌とピアノ)
6. フランス組曲(全7曲/Vc&Pf版)
ドビュッシー:
7. スケルツォ
8. インテルメッツォ
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
アレクサンドル・タロー(ピアノ)
ドビュッシーのVcソナタは、いわゆる楽曲形式でいうところのソナタ形式の様態は示さない自由形式で、それぞれ独立主題を持った組曲のような作品だ。VcもPも獅子奮迅の働きが要求される難しそうな曲だし、美しいポリフォニーを重ねる伝統的なチェロソナタと違って飛んで跳ねるような突飛な旋律や不協和音もふんだんに含まれる少々無調性っぽい曲だ。特にチェロにあってはピチカート、スピッカートの連続に突如現れるフラジオレット、微細で幽玄なポルタメントなど目眩く忙しさだ。
プーランクのVcソナタはドビュッシーの作品より更に自由な形式で、特に中間楽章においてVcが刻むリズムはどこかしら16ビート系のジャズを想起させられるもので極めて斬新な作品だ。最終章は耳に残るシンプルで力強いユニゾンの主題が鳴り響く印象的な曲だ。
この二つの作品は同じ器楽構成でありながら全く異なる曲である。しかしながら自由な形式で飛翔する気風、またフランスっぽい雰囲気においては類似しているかも知れない。
その他、クロード・ジェルヴェーズ(Claude Gervaise, 1500年台中頃?)というルネサンス期の作曲家が中世フランスの民俗舞踊から旋律をとって構成した曲をプーランクが復刻したと言われているフランス組曲が秀逸で、小規模ながら可愛らしい旋律が並ぶ。
付け足しになるが、定番・レントより遅くは出色の出来。素晴らしいのひとこと。
(録音評)
Harmonia Mundiレーベル、HMC902012、通常CD。少々オンマイクで録られた楽器は生々しく等身大だ。どちらの楽器も臨場感が抜群なのだがスタインウェイの描写は殊に素晴らしい。ピアノの低音弦はスチール製の太い弦に銅線をコイル状に巻き付けたいわゆる巻き線弦なのだが、ハンマーがこの巻き線弦を叩く瞬間に発せられる独特の金属音が非常に忠実に、目に見えるようなリアルさで録られているのだ。これはavanticlassicのレスチェンコやアルゲリッチの録音、naiveのデュ・ラ・サールの録音に比肩する録音技法並びに音質だ。Vc+Pfの録音としては新時代のスタンダードとなり得る高音質盤だ。
1日1回、ポチっとクリック ! お願いします。
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Debussy & Poulenc - Cello Sonatas
Jean-Guihen Queyras (cello) & Alexandre Tharaud (piano)
ドビュッシー:
1. チェロ・ソナタ 第1番 ニ短調
2. レントより遅く
プーランク:
3. チェロ・ソナタ
4. バガテル ニ短調(原曲:Vn&Pf)
5. セレナード~「陽気な歌」より 第8曲(原曲:歌とピアノ)
6. フランス組曲(全7曲/Vc&Pf版)
ドビュッシー:
7. スケルツォ
8. インテルメッツォ
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
アレクサンドル・タロー(ピアノ)
ドビュッシーのVcソナタは、いわゆる楽曲形式でいうところのソナタ形式の様態は示さない自由形式で、それぞれ独立主題を持った組曲のような作品だ。VcもPも獅子奮迅の働きが要求される難しそうな曲だし、美しいポリフォニーを重ねる伝統的なチェロソナタと違って飛んで跳ねるような突飛な旋律や不協和音もふんだんに含まれる少々無調性っぽい曲だ。特にチェロにあってはピチカート、スピッカートの連続に突如現れるフラジオレット、微細で幽玄なポルタメントなど目眩く忙しさだ。
プーランクのVcソナタはドビュッシーの作品より更に自由な形式で、特に中間楽章においてVcが刻むリズムはどこかしら16ビート系のジャズを想起させられるもので極めて斬新な作品だ。最終章は耳に残るシンプルで力強いユニゾンの主題が鳴り響く印象的な曲だ。
この二つの作品は同じ器楽構成でありながら全く異なる曲である。しかしながら自由な形式で飛翔する気風、またフランスっぽい雰囲気においては類似しているかも知れない。
その他、クロード・ジェルヴェーズ(Claude Gervaise, 1500年台中頃?)というルネサンス期の作曲家が中世フランスの民俗舞踊から旋律をとって構成した曲をプーランクが復刻したと言われているフランス組曲が秀逸で、小規模ながら可愛らしい旋律が並ぶ。
付け足しになるが、定番・レントより遅くは出色の出来。素晴らしいのひとこと。
(録音評)
Harmonia Mundiレーベル、HMC902012、通常CD。少々オンマイクで録られた楽器は生々しく等身大だ。どちらの楽器も臨場感が抜群なのだがスタインウェイの描写は殊に素晴らしい。ピアノの低音弦はスチール製の太い弦に銅線をコイル状に巻き付けたいわゆる巻き線弦なのだが、ハンマーがこの巻き線弦を叩く瞬間に発せられる独特の金属音が非常に忠実に、目に見えるようなリアルさで録られているのだ。これはavanticlassicのレスチェンコやアルゲリッチの録音、naiveのデュ・ラ・サールの録音に比肩する録音技法並びに音質だ。Vc+Pfの録音としては新時代のスタンダードとなり得る高音質盤だ。
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by primex64
| 2008-11-10 11:11
| Solo - Vc
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