自家製麺 SHIN(新)@反町 |
まずは白ワイン
SHINが限定で牡蠣まぜそばをやるというので行ってきた。SHINでは、かつて牡蠣醤油という汁麺をいただいた記憶はあるが、混ぜそばの類は初めてかもしれない。
これはシャルドネ種などをベースとした甘くてフローラルなメロウな白ワインの路線とは一線を画すハード系で、これなら牡蠣とのマリアージュが秀逸かもしれないという予感がする。
牡蠣まぜそば
料理の詳細は店側作成のPOPを添付しておくので参照のこと。
ぷりぷりの牡蠣の酒蒸しも秀逸だ。特有の臭みは皆無、仄かだが主張する苦みが沁み渡る。なんとも言えないクリーミーでまったりした柔らい旨味。純米酒の柔軟化効果だろうか。そうこうするうち強烈な牡蠣の滋味が脳天直撃で波状攻撃を仕掛けて来るのだ。ここでワインを一口。そうするとドライな酸味に牡蠣の滋味が溶け入り、身体の深部へとすっと染みて行くのだ。
牡蠣の雑炊
単品ライスの食券を事前に一枚買っていた。
ドルチェ
なんと、この日は家内のリクエストでドルチェの食券も購入していた。これはピンク・グレープフルーツで作ったババロア。数十年も前から店主は家でこの手のババロアなど柑橘、果実のムース系を作っていたそうだ。味は、まんまグレープフルーツ。搾りたてのフレッシュな風味、皮に近い部分の苦みまでがここに忠実に閉じ込められている。完璧なドルチェ。
SHINが相次いで打ち出す新機軸は予測を遥かに超えている。言ってみれば、ラーメン/つけ麵/混ぜそばといった世俗的な料理プラットフォームを活用したフルコース、と理解するのが良さそうだ。全て美味しくいただき、もう何もする気が起きないほどの脱力感に包まれた。つまり、ダメ人間になってしまった弛緩する自分を客観的にほくそ笑み、楽しむしかなかった。
お店データ
自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8
電話:045-548-3973
営業:11:30~15:00(夜営業は当面休止)
定休:火曜(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
※感染症対策の消毒は万全
カウンター席には仕切りあり
今日の一曲
Sony Classicalで、ペライアのパルティータ・アルバムVol.1。モダン・ピアノで弾くバッハのクラヴィーア曲なのだが、この種の演奏は昨今では録音が多く、その聴き方と解釈の仕方にはそのたびごとに頭を悩ますことが多い。このパルティータは大型スタインウェイが選択されていて、個人的にはストイックで気に入っているアンドラーシュ・シフのパルティータとは全然異なる印象となっている。
(MusicArena 2010/5/22)