紬@六角橋 |
まずはビール
醤油ラーメン+味玉
こちらは家内のオーダー。これに関しては以前の記録に書いているので詳述は割愛。
煮干ラーメン+味玉+ライス
こちらは私のオーダーで待望の煮干。いただくのは初となる。
カウンタ越しでサーブされた時は鰯の煮干の香りが漂った。まずはスープを一掬い。トップノートは意外なことに芳醇な醤油の風味だった。香味油が割と多めでスープ表面をコーティングしているせいだろうか。麺を啜ると、僅かな甘味を纏った強めの醤油と絡んでよく合っている。ここで感じられたミドルノートは煮干。だが予想よりかは遥かに奥ゆかしく穏健な香り。
付け合わせの布陣は従前どおり盤石で、豚ロース、鶏のチャーシューともに薄味ながら旨味が凝縮されていて美味しい。味玉は相変わらず低凝固度で半液状だが美味。麺は時間経過とともに徐々に吸水する。が、それほど急速な劣化を示すわけではなく、全粒粉っぽいざっくり感は最後まで残るので美味しくいただけた。なおスープのラストノートはライスの項で述べる。
ライス ▶ 煮干雑炊
例によってこれを挙行する。
トッピング付きのライスに温存しておいた具材を載せ、この煮干スープでひたひたにする。もちろんスープの温度は人肌程度まで低下している。なおライスには少量の刻みチャーシュー、長葱の微塵切り、そして削り節が振りかけてある。ぐずぐず混ぜてから一口いただく。これは・・。削り節の鰹が勝るかと思いきや、ラストノートとしてなんと強い煮干が主役に来た。
不思議に思い、ラーメン丼に残置され冷めたスープを掬って飲んでみる。うーん、鰯の煮干の香りが強く際立っているのだ。ここで私の味覚がちょっとコンフューズさせられた。つまり、麺を啜った後半にはそれほど強い煮干臭はしなかったのだが、ライスに浸した時点以降、煮干が強く感じられたということ。それは何故なのか。その理由がよく分からないのだ。
まとめ
これで、醤油、塩、そして煮干の三大看板メニューをいただいたこととなる。いずれも主要素材を引き立てながらも過度に突出させないよう穏当に調製していて幽玄な仕上がりとなっていた。ここの店主の味覚は恐ろしく微細で、しかも透徹された一定の美学が貫かれている、ということを思い知った一杯だった。但し、この調和の霊妙さを理解して支持してくれる客層をどのようにグリップし、またこの地で増やして行くかが課題ではなかろうか。
お店データ
紬 TSUMUGI
横浜市神奈川区六角橋2-10-1
電話:不明
営業:11:00~15:00
定休:木曜
最寄:東急東横線 白楽8分、東白楽9分
今日の一曲
ピアソラのギター・ソロ作品集で、独奏はマヌエル・バルエコ。4つの作品からなるCDで、一つを除いて他の楽器からギター向けにバルエコ自身が編曲。どれもが哀愁に充ち満ちたピアソラらしい暗鬱とした作品。しかし裏返せば落ち着いた、つまりテンションが低くなった心の襞を慰めるには好適な曲想。色彩で言えば褐色、いや、もうちょっと微妙にくすんだセピア色がぴったりか。明るくもなく暗黒でもないがちょっと翳っている具合の心象だろう。
(MusicArena 2008/4/3)
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