花灯@妙蓮寺 |
まずは生ビール
こちらの店は昨年の8月末に蕎麦屋の跡地に新装開店した和食の店で、地元の駅前商店街にある。近くだし、いつでも行けるだろうと高を括っていたら半年も過ぎ去ってしまった。夏にオープンした直後から評判を呼び大好評でいつも昼夜ともに満員。ランチタイムでも閉店時刻前に売り切れ閉店という日も多く、これはなかなかハードルが高いのだ。
そうしたところ昨年末に不幸な事故が発生し、開店間もない綺麗な店舗が損壊するという事態に見舞われ、暫く店を閉めて修繕することを余儀なくされた。そしてつい先日に修繕が終わって営業を再開したばかり。この日は13:30頃の到着でラストオーダーの30分前。いつもなら売り切れで札が準備中に裏返っている頃であったが、幸運なことに札は営業中。ドアをそろりと開けて初めて店内に入る。清楚でシンプル、仄暗くて落ち着く風情だ。雪の予報だったためか先客も後客もゼロ。生ビールを注文するもお供になる単品料理は昼はない様子。そうしたところ、肴になりそうな定食セット内の副菜を先出ししてくれた。
お新香は沢庵と胡瓜の漬物。小鉢は薄揚げ巻きの煮びたしで鰹節の出汁がしっかり引いてある。それとちょっと塩っぱい昆布の佃煮。
天刺定食
二人ともこの定食をオーダーした。
ランチメニューは6種ある。天ぷら、煮魚、お刺身、海鮮丼、日替わりのサービス丼(お茶漬けセット付)、そして天ぷら定食とお刺身定食のいいとこ取りをしたこの天刺定食だ。それぞれ量は半分程度になるがどちらも味わうことが出来る。セットは先出ししてもらった副菜、ご飯と味噌汁、フルーツ、食後のコーヒーとなり、価格は1200円とまずまずだ。
刺身は真鯛、それと魚種を聞くのを忘れたがビンナガ鮪、あるいは梶木鮪と思われるピンクの身で、どちらも身が締まり鮮度がよく、下拵えも丁寧で美味しい。天ぷらの種はいずれも小振りだが種類はそこそこ多く、揚がり具合も良好でこれまた美味しい。種は写真の順にて蛸、海老、茄子、南瓜、獅子唐となる。蛸がにっちゃりした食感で旨味が強くとても美味。
こうした和食店の実力は、ご飯と味噌汁を頂くと大体わかる。ここのご飯は良質の銘柄米をもっちりと炊き上げたもので自然な甘みが感じられ、これは及第だ。そして味噌汁は、おそらく本涸れ節から引いた濃厚な出汁に上等の米麹味噌を溶いた一級品で非常に美味しい。ご飯と味噌汁はお代わり自由というが、この味噌汁ならばおかず抜きでご飯が無限に食べられてしまう。
ここの店主はまだまだ若いが、ちゃんとした修行先で日本料理の勉強をきちんとした人と推察され、味を見分ける能力、料理を美味しくまとめる能力は万全で信頼できると思料する。何気ないがハイレベルなこのランチから演繹するならば、夜に日本酒をちびりとやりながら、そこそこ種類が多い単品料理をいくつか頼み、ゆっくりと味わいたいものだ。
お店データ
和食処 花灯(はなあかり)
横浜市港北区仲手原2-45-15
電話:045-717-6684
営業:11:30~14:30(LO:14:00)、
17:00~22:00(LO:21:00、ドリンクLO:21:30)
定休:水曜
最寄:東急東横線 妙蓮寺2分
今日の一曲
スタインウェイ・レジェンズのエミール・ギレリスの一枚目から、メトネル:ピアノ・ソナタ第5番ト短調Op.22。録音は非常に古くてモノラル収録だ。音の拡がりがなくて古色蒼然とした録音だが、メトネルの重奏的かつ複雑な襞を表現する核心は明確。ギレリスはもう少し長生きして、近現代から前衛作品までをじっくり聴かせて欲しかったと思わされる秀作なのだ。
(MusicArena 2006/10/30)
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