自家製麺 SHIN(新)@反町 |
まずはビール
SHINで昨年の春にデビューしたかき醤油あらため牡蠣醤油だが内容が一新された。昨年にも増して手間が掛かることで一日15食限定というハードルの高さはきつい。かなり気合を入れて向かったがライバルは多く、すんでのところで逃すところであったが何とか夫婦二人分が確保できた。このところのSHINの限定には外れはなく、客も良く知っていて長蛇の列なのだ。
前回との違いはベースのスープにあり、つまり去年は椎茸と昆布、横浜醤油のみの透過度の高い軽量なフレーバーだったのに対し、今年はいよいよ牡蠣そのものをベースに煮出して入れて来た。そして昨年の鶏つみれは鶏チャーシューおよび牡蠣のワンタンに、枝ぶりの良い春菊が刻んだ葉三つ葉に交代している。あとはお茶漬けセットの内容も一変しているのだ。
牡蠣醤油2018年バージョン+味玉
多忙を極める厨房の店主とは余り話は出来なかった。待つこと暫し本品がサーブされた。なお味卵を追加したのは私のみ。
ベース・スープの透明度は昨年よりは少し後退しているのは牡蠣を出汁にしたせいだ。とはいっても普通に透過度の高いスープ。味は明らかに深みを増し牡蠣の特徴である僅かな苦みが感じられる。要は陰翳の濃いベース・スープに進化しているのだ。溶液レベルの牡蠣の成分にコロイドレベルの牡蠣を溶かすという実に卑怯な二重ツーウェイ構造が完成している。
牡蠣を煮出したといってもぐつぐつ煮沸したわけでも長時間浸け込んだわけでもないので旨味成分はほぼ残る。ただ表層部の牡蠣成分が抜けただけで深層の旨味はしっかり温存されている。これを生姜と共にワンタン皮で包んで供するとは凄い着眼点。頂いてみるとほっこり旨味成分が沁み渡り、実に美味。苦みも緩和されているので尚更よいのだ。
鶏つみれから鶏チャーシューに代わったが、これもまた全体の調和・バランスに鑑みるとベストの選択。豚は繊細な牡蠣エキスをマスキングするだろうからチョイスできず、だが、つみれだとほろほろに柔らかくて歯触りがなく少々物足りない。で、スープと喧嘩しないがぱっつんとした麺と合うのは、というとこの選択肢しかない。鄙びた旨味が絶妙だ。
お茶漬けセット
これも昨年と内容が変わり、牡蠣ペーストはバンドルされず代わりに岩海苔と粒あられ、というシンプル構成へ。
お店データ
自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8
電話:045-548-3973
営業:11:30~14:30
18:00~21:00(日曜は夜営業なし)
定休:月・火(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
今日の一曲
前回と同じアルバムからバルトークP-Con#3。最後のソリストはエレーヌ・グリモー。前衛的だが明媚で綺麗な曲だ。しかし飛躍しすぎる和声と旋律はこれまた難題で、左手のオクターブ・ユニゾンに重畳する右手の分散和音が苛烈。体力的腕力的にも相当きつい。緩徐楽章で息を継ぐもフィナーレも左手への過度な荷重がたまらないハードさ。か細いグリモーがどうやってこの剛健な音を紡いでいるのか不思議。デモーニッシュだが好きな演奏の一つ。
人気ブログランキング
♪ よい音楽を聴きましょう ♫