Falla: Noches en los jardines de Espana@K.Yamada/OSR |
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Manuel de Falla:
Noches en los jardines de Espana
1. En el Generalife
2. Danza lejana
3. En los jardines de la Sierra de Cordoba
El sombrero de tres picos
4. Introduccion
Part 1
5. La tarde
6. Danza de la molinera (Fandango)
7. Las uvas
Part 2
8. Danza de los vecinos (Seguidillas)
9. Danza del molinero (Farruca)
10. Danza del Corregidor
11. Danza final (Jota)
12. La vida breve: Interlude & Dance
13. El amor brujo: Danza ritual del fuego
Mari Kodama (Pf), Sophie Harmsen (mezzo-Sop)
Orchestra de la Suisse Romande(OSR), Kazuki Yamada
ファリャ:
(1)交響的印象「スペインの庭の夜」
ヘネラリーフェにて
はるかな踊り
コルドバの山の庭にて
(2)バレエ音楽「三角帽子」
序曲
第1部
午後
粉屋の女房の踊り(ファンダンゴ)
ぶどう
第2部
近所の人たちの踊り(セギディーリャ)
粉屋の踊り(ファルーカ)
代官の踊り
終幕の踊り(ホタ)
(3)歌劇「はかなき人生」~間奏曲とスペイン舞曲
(4)バレエ音楽「恋は魔術師」~火祭りの踊り
児玉麻里(ピアノ)(1)、ソフィー・ハームセン(メゾソプラノ)(2)
山田和樹(指揮)スイス・ロマンド管弦楽団
ファリャについて
この作家の名前は目にすることはあったが、作品を聴いたことは殆どなく、調べてみたが単体アルバムでファリャだけを扱ったものは所有していなかった。但し、ラロの作品に同梱されていたり、スペインもののフィルアップとして入っているものは持っていた。ファリャについてはネット上に詳しい解説があるのであまり書かないが、Wikiから概要だけ引用しておく。
マヌエル・デ・ファリャ・イ・マテウ(Manuel de Falla y Matheu, 1876年11月23日 カディス - 1946年11月14日 アルゼンチン・コルドバ)は、スペインの作曲家。晩年にフランコ政権を避けてアルゼンチンに亡命した。
1890年代からマドリードでピアノを学ぶかたわら、近代スペイン音楽復興の立役者フェリーペ・ペドレルに作曲を師事。現在ペドレルは音楽学者として、トマス・ルイス・デ・ビクトリアの作品全集の校訂・刊行で名を残しているにすぎないが、ファリャにスペイン民族音楽への興味を植え付けたのが、ほかならぬペドレルだったといわれる。ファリャはとりわけ、アンダルシアのフラメンコ(のカンテ・ホンド)に興味を寄せ、多くの作品においてその影響を示している。初期作品には多くのサルスエラがあるが、中でも最も重要な作品は1幕形式のオペラ『はかなき人生』(1905年作曲、1913年初演)である。
1907年から1914年までパリに滞在。いち早くファリャの才能を認めたデュカスはオペラ・コミック座で『はかなき人生』を上演させ、ファリャをスペイン出身の作曲家アルベニスに紹介した。アルベニスからリカルド・ビニェス、ラヴェルへと人脈が広がり、芸術家のサークル「アパッシュ」に参加、これとは別にドビュッシーとも親交を結んだ。
パリ滞在中にピアノと管弦楽のための『スペインの庭の夜』の作曲に着手するが、第一次世界大戦勃発に伴い1914年9月に帰国。マドリードに戻ってからは、『スペインの庭の夜』を完成(1915年)させたのに続き、バレエ音楽『恋は魔術師』(1915年作曲、単独でも演奏される〈火祭りの踊り〉で有名)、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために作曲された『三角帽子』(1917年作曲)など、最も有名なファリャ作品が生み出された。これらの作品では、民族主義と印象主義の両方がバランスよく混在している。
1921年から1939年にグラナダに移住して隠遁生活を送りつつ、室内オペラ『ペドロ親方の人形芝居』(1923年)や『クラヴサン協奏曲』(1926年)を作曲した。これらの作品はストラヴィンスキーの新古典主義音楽の影響が認められ、スペイン民俗音楽の影響はやや稀薄になっている。
1936年にスペイン内戦が始まり、グラナダにいた親友フェデリコ・ガルシーア・ロルカが銃殺されたことを機に祖国を離れることを決意、1939年にアルゼンチンに亡命した。フランコ政権からはたびたび帰国要請があったが、彼は終生拒否し続けた。
ジャシン・バルダゲーの民族叙事詩に基づいてグラナダ時代に構想された大規模なカンタータ『アトランティーダ』(La Atlántida)は、アルゼンチンに移住してからも作曲が続けられた。しかしながら作曲者の最期においてもこれは未完成のままであり、死後に門人エルネスト・ハルフテルにより、実用版完成に向けて補筆され、発表された。
1946年にコルドバで亡くなって同地に埋葬されたが、翌1947年にフランコによって遺体はスペインへ戻され、国葬の上でカディス大聖堂(スペイン語版)の地下礼拝堂へ埋葬された。
没後の1970年よりスペインで発行された100ペセタ紙幣に肖像が使用されていた。
スペインの庭の夜
楽曲形式を交響的印象と称するが、独奏ピアノと管弦楽のための作品であり、形式的には純然たるピアノ協奏曲といってよい。なお、ここで独奏ピアノを弾くのは児玉麻里さん。なんだかこのところ児玉姉妹関係のアルバムを連続して取り上げているようだが、これは単なる偶然。
1楽章ヘネラリーフェにては、冒頭の動機部分から濃密でやるせないイスパニア・テイストが全開。1分経過で独奏ピアノが明媚なトリルと分散和音で突如参入。聴く限りピアノ譜はかなり難解で複雑そうだ。中間部分から再現部にかけての濃密さと官能的な描き込みに嘆息する。副題にある通り、くらくら眩暈がするようなジャスミンの花香るヘネラリーフェの花園なのだ。通しで聴くのは初めてだが何度も耳にしている旋律と特異な和声だ。後半の独奏ピアノの右手はほぼほぼオクターブ・ユニゾンか、三連符のユニゾンでなぞられるが、麻里さんは流石に巧い。
2楽章はるかな踊りは緩徐楽章とは言えないが軽いタッチのイスパニア雰囲気の漂う短めの楽章。おそらく土着の民謡あるいは舞踏を写実的にしかも遠くで踊っている様子を俯瞰的に描いたものだろう。ピアノ独奏は高速パッセージが多く含まれ難易度は高そう。強奏部はやはりオクターブ・ユニゾンが多用される。
最終楽章コルドバの山の庭にては、いかにもスパニッシュというメロディーと甘美かつ官能的な和声が何とも言えない大規模な構想の曲だ。麻里さんのピアノもオケもシナジーしつつ、副題にコルドバ山地の庭園、聖体祭の日にジプシーたちがつどって歌い踊るとある通り、一部ジプシックなフレーズも織り交ぜながら美しく堂々たるコーダを迎える。
三角帽子~恋は魔術師
バレエ・リュスの主宰、セルゲイ・ディアギレフがファリャにバレエ音楽の作曲を依頼して出来上がったのがこれ。アラルコンの小説三角帽子を題材にパントマイム「代官と粉屋の女房」(El Corregidor y La Molinera )を焼き直してこの作品に至る。なお三角帽子とは代官の帽子のこと。詳細は省くが、なんとも明媚な情景描写が素晴らしい佳曲たちだ。白眉を挙げるならスパニッシュ気風が漲る艶めかしい第1部ファンダンゴ、ふくよかなメゾ=ソフィー・ハームセンが切々と歌う第2部の粉屋の踊り(ファルーカ)、そして大規模でダイナミックな大団円のフィナーレといったところか。
フィルアップの歌劇はかなき人生間奏曲は、前作までと違って一部に短調が混ざるアンニュイで彫りの深い作風。途中に三拍子の舞曲風のパッセージも垣間見え、リズムが目まぐるしく変動しつつもコーダは明るいイスパニア風の典型的な主題へと戻る。
もう一つのフィルアップ、バレエ音楽恋は魔術師より火祭りの踊りはファリャの代表作の一つで誰でも耳にしたことのある特徴的な旋律ではなかろうか。イスパニア風ではあるがデモーニッシュなジプシックの要素も盛り込み、力強く明晰、そして怪しげで物憂げな展開を見せる佳曲だ。
ファリャの作品をじっくり聴くのは初めてなので他演奏と比較はできないのだが、山田和樹率いるOSRの演奏は精緻にして広大なダイナミックレンジ、そして明媚な色彩感を備えており、また、児玉麻里さん、ソフィー・ハームセンらソリストたちの出来栄えも上々と思う。OSRの最近の演奏を聴くのは久し振りで、なおかつペンタトーンのSACDハイブリッドで聴くとは思っていなかった。だが、アンセルメの時代の精緻で軽量フェザータッチの弦楽四部、気品あるブリリアンスを備えた木管・金管隊の音が彷彿とさせられ、なんだか嬉しい一枚となった。
録音評
PENTATONE PTC5186598、SACDハイブリッド。録音は2016年7月、ベニューはヴィクトリア・ホール(ジュネーヴ)とある。この録音は数年に一度出会えるかどうかという超優秀録音であり、それがペンタトーンというのも驚きだ。レンジや音色といった基本要素が優秀であることは勿論だが、音場空間の再現性が従来のペンタトーンとは一線を画しており、例えるならHarmonia Mundi USAの聖堂コーラス録音やOEHMSの大規模オケ録音に匹敵、いや凌駕するほどの出来栄えだ。SACDハイブリッドとはいえ、聴取環境はオーソドックスな2チャンネル・ステレオフォニック方式ゆえ三次元空間的な広がり、特に高さ方向のディメンションが表現されることは原理的にはあり得ない。しかし、なぜかこの盤は音像が上下方向に明確に定位する。スペインの庭の夜では児玉麻里さんの独奏ピアノが中間より下に定位し、パーカッションが上部に定位するのだ。また、三角帽子ではソフィー・ハームセンのメゾが右手方向中間部にぽっかりと定位し、コーラス隊のハンドクラッピングが中間から上部にかけて幅広に定位する。加えてこのホールのアンビエントはとても美しく、上下左右、そして奥行き方向と広大なサウンドステージに身を置いてどっぷりとファリャの世界を楽しむことができるのだ。
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