Couperin: Works for Harpsichord-Vol.1@Pierre Hantai |
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フランソワ・クープラン:クラヴサン作品集
・大殿様
・シャブイの王女またはモナコのミューズ
・軽はずみな女
・フロール
・メヌエット
・二重生活者
・嘆きのほおじろ
・芸術家
・おじけた紅ひわ
・キタイロンの鐘
・勝利者の歓喜
・プレリュード第6番
・機知
・フランスのフォリアまたはドミノ
・葦
・プレリュード第8番
・そしらぬ顔であざ笑う女
・うなぎ
・交差するメヌエット
・手品
ピエール・アンタイ(チェンバロ)
楽しい作品集で、どれもが短めの曲ばかりであるがウィット、いやエスプリに富んだ意外性の連続でクープランの特徴を必要十分に集めた秀作だ。このアンタイという人はあのレオンハルトの弟子だそうで、確かに世代的には若く、ちょうど親子ほどの年齢差であろうか。チェンバロは周知のように音量の強弱が付けられない楽器で、ピアノのようにキータッチで音を加減するということは出来ない。そのためルバートを使って強弱が付いているかの如くの演出を行うのであるが、この人のテクニックはなかなか絶妙だ。グールドのようにあからさまな揺らぎは微塵も出さず、それで居て効果的なルバートでもって強調ポイントを鋭く炙り出すのに成功している。師匠のレオンハルトが相当嫌いそうなテンポ・ルバートであるがこれはこれで完成型だ。
嘆きのほおじろ、おじけた紅ひわ、キタイロンの鐘、プレリュード第6番あたりは割と知られた旋律で耳にしたことはあると思うがなかなか鮮烈で乗りの良い、いや求道的と言っても良いくらいトランス状態な演奏でよろしい。そしらぬ顔であざ笑う女などは、本当にあざ笑っている様な弾き方で笑ってしまう。
(録音評)
今日の日記からリファレンスCDプレーヤをDP-85とする。ハイブリッド盤の場合には出来る限りSACDレイヤーの音質評価も行うが、時間が無い場合にはCDレイヤーのみの評価とする。また、再生に際して何らかの違和感がある場合にはDP-70Vでの並行試聴も行うものとする。
MIRAREレーベル、MIR027、通常CD。チェンバロ独奏の優秀録音だ。チェンバロの音色は純度が高く、歪成分が含まれると再生音がたちまち混濁する。このCDをDP-70Vで再生すると撥弦時の輪郭が大きく膨張し響きが散乱気味となって少々煩い。DP-85ではその傾向はなく、最初は静かな漆黒背景に白い点を打ったように小さく音が弾け、それが均等な同心の球を描きながら空間に飛散していく。残響やアクション音のノイズも豊かに収録されており生々しい録音だ。
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