Mahler: Sym#8@Boulez/Staatskapelle Berlin |
(詳細は↓クリック)※これは日本国内盤
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2578455 ※輸入盤
・マーラー:交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』
トワイラ・ロビンソン(ソプラノⅠ:罪深き女)
エリン・ウォール(ソプラノⅡ:贖罪の女)
アドリアネ・ケイロス(ソプラノⅢ:栄光の聖母)
ミシェル・デヤング(アルトⅠ:サマリアの女)
シモーネ・シュレーダー(アルトⅡ:エジプトのマリア)
ヨハン・ボータ(テノール:マリア崇拝の博士)
ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(バリトン:法悦の神父)
ロベルト・ホル(バス:瞑想の神父)
カルヴ・アウレリウス少年合唱団
ベルリン国立歌劇場合唱団
ベルリン放送合唱団
シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)
ピエール・ブーレーズ(指揮)
日本国内盤は来月24日に発売になるとユニバーサルからアナウンスされている。日本語ライナーノーツを好まれる人は来月末まで待った方がよいだろう。
私が知る限り、ブーレーズのマラ8の録音はモノラル時代のBBC交響楽団の演奏に次いで二回目で、最新(最後?)のオケとコーラスはStaatskapelle Berlinだ。これは前回出した2番(復活)のDVDでの出来映えからそうなるだろうとも思っていたが、やはりその通りだった。
この曲に関しては古今東西多くの録音があるのであるが、今までは古い録音を永らくスタンダードとしてきた。つまりラファエル・クーベリック/バイエルン、ショルティ/シカゴなど(近頃ではラトル/バーミンガムが大きな外れであった・・)。
しかし、ブーレーズのこれは温度感というものがおよそ無く、非常に静謐かつ瞑想的だ。賛美歌をいっぱい集めた教会カンタータ集の様な形式をとる第一部は例によって大変うるさいのであるが、それでも狂喜乱舞のショルティ盤などよりは静かだ。
二部の出来は出色である。どこまでも透明で規律正しいテンポ取りと正確で濁りのない計算され尽くした和声が美しい。かつての巨匠たちが情熱と歓喜を交雑させながら組み立てて行った手法とはまるで違う。ビビリながらブーレーズのバトンを見つめているシュターツカペレの面々が想像できてしまい笑えるほどだ。それ程の張り詰めた緊張感が聴いていて伝わってくる。最後の最後、フィナーレに至ってようやくそのプレッシャーから解放されたのも分かる。聴いているこちらも、脱力感からか暫く立ち上がれなくなった。
これでブーレーズのマーラー・チクルスが完成したこととなる。1994年から始まって実に13年もの歳月が掛かった長大なシリーズだった。その間のオケはクリーブランド、シカゴ、ウィーンと来たが8番にシュターツカペレ・ベルリンと、最後にドイツ色の強い所を持ってきたのもブーレーズらしい選択と言えよう。
(録音評)
DGレーベル、4776597、通常CD。録音は2007年4月、ベルリンのイエス・キリスト教会でのセッション録音。この録音の前には音楽祭「ベルリン・フェストターゲ 2007」で同一プログラムが演奏され、その後に教会へ場所を移して録られたらしい。
この長さとオケ・合唱規模ではさすがにライヴ一発録りという訳にはいかなかったのだろう。トーンマイスターはUlrich Vette(ウルリッヒ・フェッテ)という意表を突いた担当だ。このマーラー・チクルス最後はライナー・マイラートが飾るものと思っていたがブーレーズの選択は異なっていた。
第一部の収録は結構荒っぽい出来で、教会の空間が飽和して歪んでいる感じ。オルガンもどことなく歪みっぽいし埃っぽい、と思ったらElectronic Organを使用したと書いてある。第二部の収録は一転して透明感溢れるもので、演色度合いの低いDGらしからぬ出来だ。また、マルチマイクとは感じられない自然な空間感が良く、これはダフクロ@ミュンフン@フランス国営放送POの収録 http://musicarena.exblog.jp/7419910/ に似た感じの澄明な捉え方で好感度が高い。このところ欧州マイナーレーベルの優秀さに舌を巻いているところだが、大手レーベルの面目をなんとか保ったという感じだ。ま、期待した水準には到達していないが・・。
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