Muti, PMF O.@Orchard Hall@渋谷 |
2007年度・PMFオーケストラ演奏会
ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲
モーツァルト オーボエ協奏曲 ハ長調 K. 314(285d)
シューベルト 交響曲 第8番 ハ長調 D. 944「ザ・グレイト」
アンコール:
ヨゼフ・シュトラウス 天体の音楽(Spharenklange) Op.235
PMFオーケストラ/リッカルド・ムーティ(dir)
マルティン・ガブリエル(Ob)
※PMFの詳細についてはPMFのホームページを参照のこと。
ヴェルディの出来は良かった。最大編成のオケがサチるほどの大音量で、いきなりしょっぱなからやられた。今年のPMFは昨年のゲル率いるオケより更にレベルがアップしている。
モーツァルトのこの旋律はフルート協奏曲だとずっと思っていたが、当日プログラムによればオリジナルはオーボエ用であり、その総譜は20世紀に入ってから発見されたとある。恥ずかしながら知らなかった。調性はフルート版より4度低い計算か? まぁ、フルートと違って擦過音がない分オーボエ・ソロの方が円やかで聴きやすい気がした。ソリストの演奏は巧かったし、ロマン派最初期の小編成にグッと絞り込んだ弦セクションもまぁまぁうまかった。優しいモーツァルトだった。
ザ・グレイトはまさしくグレイトと言える出色の出来で、これは素晴らしかった。クールに中庸を貫くマエストロの解釈も好感度大だった。老眼鏡をかけてスコアを覗き込むマエストロの姿はちょっと残念だが、やはりだてに歳はとっておらず、若い頃の熱気ほとばしる演奏とは違う境地である。
アンコールは最初から決めていたらしく3度目の挨拶が終わる前に控えのパーカッション隊がザラザラとステージに出てきた。マエストロがメモを見ながらたどたどしい日本語で曲目説明をしたら会場がドッと沸いた。
今年のPMFのホーンセクションは抜群であって、Hrの破綻などは全くその気配さえなかったし、Tpの超絶的なタンギングと安定度、Tbの音量/ビームの太さ等どれも格別で、これは在京プロ・オケを軽く凌いでいる。
一方、木管隊の音量は昨年に比べてかなり弱めであった。昨年は木管、取り分けFlの巧さが際立った格好だが、今年は今ひとつ。ただ技巧的に問題があるわけではなく、要は音量バランスの問題だ。弦セクションも実はパワーアップしていたので、木管も出来ればオリジナル・スコア指示にプラス・ワンしたかったかな? ということ。
オーチャードは音楽専用ホールではなく、オペラや小規模バレエ、舞台芸能、演劇、歌謡ショー等を意識した多目的ホールであるため、ステージ床面が高く、尚かつ緞帳が降ろせるようにプロセニアムがついている。このため音響的には多少不利な面はあるが、座席に救われた格好で割と良いコンディションで楽しむことが出来た。混濁なく分離も良好なのだが、妙な甘ったるさを伴う残響が特徴(私は常々ミーハーな音と呼んでいる)で、これさえなければ横浜みなとみらいホールによく似た、明るく感じの良い音。
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