Grieg: Lyric Piece, P-Con@Shani Diluka, Jensen/ONBA |
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Grieg:
Lyric Piece
Piano Concerto
Shani Diluka(pf)
Eivind Gullberg Jensen(dir)
Orchestre National Bordeaux Aquitaine
シャニ・ディリュカというピアニストは、今年のLA FOLLE JOURNEE au JAPONにも来日した才能溢れるピアニスト。スリランカ国籍の両親のもとモナコで生まれ育った。幼くしてそのピアノの才能を開花させ、晩年のグレース王妃に見いだされて世界各国で英才教育を受けたという。
ディリュカのピアノは静謐にして躍動的、繊細にして大胆、詩的にして超絶技巧的、そして湿潤にして適度な乾燥と、相反する要素をことごとく両立させているまさに天才的なピアニストだ。
前半の小品集はグリーグが繊細で多面的な内なる感情を色彩豊かに描いた作品群だが、ディリュカは時に柔軟に時に剛健にその旋律を紡いでいく。大変に瞑想的で、極めてエントロピーの低い演奏と解釈だ。
Pコンの出来は、これまた素晴らしく、アンスネスの名演を凌ぐ出来映えだ。ピアノのパッセージは極めて速いものがありながらそれが前面に現れてこないのは凄まじいテクニックの支えがあったればこそだ。第一楽章の最終カデンツァの音の数はもの凄く多くて四手で弾いているのではないかと錯覚させられるほどだ。そして繊細で煌びやか、しかも豪放で硬質な弾きっぷりにただただ唖然としてしまう。ONBAというオケはとびきりの美音で、しかも巧く、ヤンセンはドライでクールな操縦術を持つ一級の指揮者だ。
(録音評)
MIRAREレーベル、MIR026、超高音質の通常CD。叙情小品集はノルウェーのdans sa maison natale de Bergen(グリーグの生家か?)で収録され、グリーグ愛用のスタインウェイ(1892年製造、B型、番号70765)を使用して演奏されたとあり、後半のPコンはボルドーのザーレ・フランクリンというホールで収録されたとある。
現代録音の最高峰の一つと言って良い大変に素晴らしい出来だ。叙情小品集のピアノがグリーグが生きている時代のものとは思われないほど美しく整った、しかも馥郁たる音色が克明に記録されている。ペダルワークは頻繁なのだがそのノイズは殆ど気にならないレベルで、これは録音が優秀なのか楽器が優秀なのかは分からない。
Pコン使用のピアノは現代的で透明、しかも鋼鉄のソリッドさをもつ典型的なスタインウェイなのだが、ディリュカの技巧により硬軟両面を見せつける。サウンドステージは広大であり、左右方向の拡がりよりも奥行きの深さが特に印象的だ。目を瞑れば眼前にホールが拡がり、目の前でデュリュカがピアノを楽しげに弾いているのが見える。
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