Shostakovich: Sym#15@Barshai WDR |
いよいよ最終交響曲となる。
交響曲第15番イ長調 作品141
1971年7月完成、翌1972年1月8日、モスクワ音楽院大ホールにてマクシム・ショスタコーヴィッチ(息子)指揮/モスクワ放送響で初演、国外ではロジェストヴェンスキー/モスクワ放送響で1972年5月10日、大阪フェスティバルホールで初演とある。
これは、前作までの独創性溢れる作品、歌曲を含む作品とは違い、純粋な4楽章形式の器楽曲だ。
とはいえ、オリジナルの旋律よりはコラージュの様に大胆に散りばめられた他の有名曲のモチーフがひときわ目立つのだ。
ロッシーニ/ウィリアム・テル序曲、自身の1番、4番、ワーグナー/ワルキューレの騎行、グリンカの歌曲(曲名失念)などが聴き取れる。
最も印象的なのは4楽章のコーダだ。シロフォンの不気味とも瞑想的とも言える透明な音色・・・。
指揮者のザンデルリンクが一昨年のPFMオーケストラの総監督を務めたとき(彼は生前のショスタコと付き合いがあったと言うが)、チリン、チリン・・・、とピリオディカルに打ち鳴らされるシロフォンの音色は病室に静かに響く点滴の音を模したものだと伝えて楽団員を指導したという。この曲はちょうどショスタコが心臓病で入退院を繰り返していた時期で、自らの寿命と死を身近に意識した結果ではないだろうか、と言うのだ。
そんなエピソードを裏付けるかのように、シロフォンの最後の拍動が闇に吸い込まれて曲は静寂の中で終わる。
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