Tchaikovsky Sym#4@Gergiev VPO |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1500431
(国内盤はこちら↓)
チャイコフスキー: 交響曲 第4番 ヘ短調 作品36
I : Andante Sostenuto - Moderato Con Anima
II : Andantino In Modo Di Canzona
III: Scherzo (Allegro)
IV : Finale (Allegro Con Fuoco)
チャイ4は伝統的にはムラヴィンスキー/レニングラードが余りに偉大な橋頭堡として君臨しているのだが、個人的にはバーンスタイン/NPOが好きだった。後者はバーンスタインにしては例外的に感情表現を極端に押し殺した仄暗い名演であり、今でもそう思っている。(バーンスタインの演奏で好きなのはチャイ4とラプソディー・イン・ブルーくらいなのだが・・・)
ムラヴィンスキー盤は4だけでなく5も6も、どれも極度の緊張感が持続する凛とした素晴らしい解釈と演奏なのだが、どうも旧ソ連の製鉄所やコルホーズ/ソフホーズのような「強制」労働風景を連想させられていけない。
ゲルのチャイ4は、前年録音の激情漲るチャイ5とは打って変わって、瞑想的で哀しい心象風情がたゆたう、良くコントロールされた好演である。ここが評価の分かれ道らしく、やはりゲル特有の爆発する疾駆感がないからペケ、という人は多いのかも知れない。
3楽章はゲルにしては割とモデレートな速度(それでも普通より少し速め)だが、4楽章にはいると破綻ぎりぎりの加速感で駆け抜けるアチェレランドは一流だ。VPOのどこまでもコントロールされた歪感のない連続フォルティッシモは必聴もの。
(録音評)
2002年10月のVPO特別演奏会のライブ録音とある。場所は定番・楽友協会大ホールだが、ライブ録音という割には会場ノイズやステージノイズが非常に少なく、最後の拍手もカットされているためかスタジオ録りといっても通る静寂さだ。
これはフィリップスのSACDハイブリッドだが、同じゲルの幻想などと比較すれば相当の高音質だ。同じユニバーサル・クラシックスのDGなどと比べると楽器音には煌びやかさは乗らず、それぞれが太く朗々と鳴り響く。ステージの奥行きは実物とほぼ同じくらいで極端な深さはなくてごく自然に展開していると言って良いだろう。一見地味で何でもないようだが、何度か聴き込むうちに実は音の分解能が良い録音であることが分かる。オーディオ的には目立った美点がないようだが実は優秀録音なのであった。
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