読響Paolo Carignani@みなとみらい |
暑いのだが、折角だからクイーンズ・イーストB1の博多ラーメン一風堂で赤丸新味+半熟卵を食べて腹ごしらえしつつチケット交換開始時刻である13:00を待つ。暑かったせいか食欲はなく替え玉を頼む元気はなかった。スープも殆どを残して早々に店を後にし、みなとみらいホールのエントランスに向かう。
これはいわゆるマチネーなのだが「みなとみらいホリデー名曲コンサート・シリーズ」と呼ぶそうな。年に5~6回しか行わない。チケット販売は 神奈川芸術協会という地元団体が少し経済援助しているらしく、そこが通常取り扱うらしい。しかし私の持っているのは招待券だから、いつものお馴染みのメガネ男性オケ職員が交換してくれる。
チケットは二階LD席という左翼の張り出し部で、眺めは良くないが音はよい。
以下、読響のHPからコピー
7月15日(土) 午後2時開演 みなとみらいホール(横浜)
指揮:パオロ・カリニャーニ
ピアノ=セルジオ・ダニエル・ティエンポ
■ショパン:ピアノ協奏曲第1番
■ロッシーニ:〈ウィリアムテル〉序曲
■ヴェルディ:〈マクベス〉 から バレエ音楽
■ヴェルディ: 〈運命の力〉序曲
■レオンカヴァッロ:〈道化師〉から 間奏曲
■ヴェルディ:〈アイーダ〉から行進曲とバレエ音楽
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イタリア人の結婚詐欺師、カリニャーニであるw。前回はサントリーで幻想を振った。この時はちょっとタイミング的に合わない所が散見されたが、今回はズバッと合わせて来た。
ショパンだが、ティエンポという南米人ピアニストの解釈はカリニャーニと大変に類似した叙情豊かなものであった。ショパンPコンとしては精密なポリーニや冷徹なツィマーマン系列ではなく、血が滾るような激烈で温度感が高い演奏は若き日のアルゲリッチの演奏に近い。但しタッチそのものは剛直な方で、LD席にまでスタインウェイのビームが押し寄せてきた。
かなり芯のある音量豊かなピアノだ。好感が持て、まずまずの出来。しかし、精密で清楚なショパンを好む人は嫌うであろう。テンポ・ルバート掛けまくりでちょっとキザな雰囲気。でもカリニャーニもそういった芸風なんだからマッチしているとしか言いようがない。二回目ともなると読響は完全に美音モードに変身しており調教成功といったところ。
休憩を挟んだ後半はカリニャーニの本職であるオペラの序曲が中心。圧巻はアイーダの凱旋マーチで、ファンファーレ・トランペット(別名=アイーダホーン、アイーダトランペット等と称される)がみなとみらいホール据え付けオルガンの左右に3本ずつ立って高らかに勝利の凱旋歌を謳い上げる。
もう一つ目を引いたのがチンバッソで、これはチューバを嫌っていたヴェルディが好んで使った低音楽器で、オペラ以外で見る機会は少ない。バストロンボーンを朝顔の所で「くの字」に折り曲げたような形で、音階はバルブによる。
後半、特にアイーダは大満足であった。非常に完成度の高い、それでいて叙情溢れる堂々とした演奏だった。因みにあり得なかったことだがワールドカップで日本が上位進出で終わっていたなら、聴衆の感慨もひとしおだったに違いないし、恐らく時期的に見てもそれを狙っていた感がある。
アンコールは、マスカーニのオペラ・カヴァレリア・ルスティカーナよりインテルメッツォ(間奏曲)。類い希なるもの悲しくも耽美な名曲であり、某中高生オーケストラの十八番である。曲名がカリニャーニのイタリア語でぼそぼそ紹介されたが、ちゃんと二階席でも聴き取れた。
出来は大変に良かった。オペラ指揮者はやはり独特の謳わせ方をするものである。ひと味違う名演であった。因みに某中高生オケ@みなとみらいの場合にはオルガン・アシストが付くが、今回はそれは当然なく、弦+ホルン+フルート+オーボエのみのオリジナル。アンコールでカヴァレリアとは、一曲得した気分であった。