J.S.Bach: The Art of Fugue BWV1080@Walcha |
ウィキペディアに詳細が出ている。抜粋しよう。
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フーガの技法 BWV 1080、ニ短調( - ぎほう、独Die Kunst der Fuge、英The Art of Fugue)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハにより1740年代に作曲され、彼の死後に出版された未完成の作品である。様々な様式・技法による14曲のフーガと4曲のカノンが現行の多くの版に収録されている。彼は、高度に熟練した対位法技法を用いて、単純な主題を入念に組み合わせることによって、最高の音楽性を引き出すことに成功している。フーガの技法は、他に例を見ない緊密な構築性と創造性によって、クラシック音楽の最高の作品の一つだと考えられている。
フーガの技法は、オープンスコアで書かれているものの、バッハの時代に一般的に使用された鍵盤楽器の音域内に収まるように書かれており、また単独の奏者により演奏可能なのにもかかわらず、楽器指定がなされていない。バッハは、この作品を鍵盤楽器のみならず、いくつかの楽器の組み合わせによっても演奏できるように望んでいた、と考えるのも可能だろう。実際、ハープシコード、ピアノ、オルガン、そして弦楽四重奏やオーケストラなど、様々な楽器の組み合わせで録音されたり、演奏されている。Hermann Scherchenはカノン以外の全てのフーガをオーケストラ用に編曲している(Wolfgang Graeserも同じ試みをした)。2004年にはKenneth Amisがフーガとカノンを木管合奏用にアレンジしている。
未完成の最終フーガを除く全てのフーガは、上下転回されたり装飾もしくは変形された主題をもとに書かれている。最終フーガの主題については、単純化された主題にすぎないとする説もある一方で、まったく別の主題であるとする説もある。一部の学者及び演奏家は後者の説に従い、未完成の最終フーガはフーガの技法とは別の、独立した作品であるとする(=フーガの技法は完成していた、とする説)。しかしこれらの説を裏付けるような楽譜や資料は発見されていない。
様々な対位法の技法が用いられ、それらは「単純」、「反行」、「拡大および縮小」、「多重フーガ」(「フーガ」および対位法の項を参照のこと)などに大別される。曲全体を上下転回しても演奏可能であるように書かれた、「鏡像フーガ」という珍しい様式も見られる。
1751年の初版では、対位法の技法の種類ごとに配列されている。また、個々の曲は"Contrapunctus"(対位)もしくは"Canon"と名づけられている。
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大概のアルバムが未完のフーガで終わっているが、未完部分がそのまま未完で「ブチッ」と終わっているのが印象的だ。そこでバッハが筆を折ったと言わんばかりの「ブチッ」なのだ。フーガやカノンは終わりが無い無限連鎖性を帯びた曲形態だが、その人生に幕を引かざるを得なかったバッハがここでこんな形で筆を置いたのか、と感慨深い。やはり、これ以外の終わり方は出来なかったのかも知れない。音は止むが、フーガが心の中で尚も鳴り続けるのであった。
これ以上は論評しない。この曲集は、目を瞑って、深く静めた心の耳で最後まで聴いて欲しい。それだけ・・・。
アルバムはアルヒーフの古いステレオ録音をCD化したものだが、Webサーチでは遂に見つからなかったので紹介したいが無理だった。なのでデータだけ以下に転記する。
(現在では別レーベルから再発されているようだ)
(詳細は↓クリック)
ヘルムート・ヴァルヒャ、ARCHIV POCA-2073/4、1956年ステレオ録音
収録曲順・・・1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,15,17,16,14,13正,13鏡,12正,12鏡,19
アルクマール聖ローレンス教会、シュニットガー・オルガン使用。
(録音評)
私が生まれる遥か前の録音だがちゃんとステレオ、しかもそんなに酷い音ではなくちゃんと聴ける。ちょっと回転ムラがあったりするがこれはご愛敬。恐らくステレオ録音の最初期の収録と思われる。調べたのだが、バルヒャはこの録音以後、没するまでフーガの技法を再録音していない。これが彼自身が自己評価する最高レベル演奏であった可能性が高い。
シュニットガー・オルガンのリベラルで落ち着いた梨地仕上げの音が克明に記録されている。フーガの技法はマリー=クレール・アランの様なジルバーマン・オルガンの方が良く馴染む気がするが、このヴァルヒャ盤を聴くとそうでもなく、これはこれでまた凄く良いのである。