Rodiac Arkestra@白楽 |
まずは生ビール
ここは自宅から至近距離に数年前オープンしたカフェ。
店内は相応に広そうで玄関前に恐らく使っていない8人掛けの大型ダイニングテーブル、奥の壁際に2人掛け小型テーブルが2組、そして厨房に面するカウンター4席とアットホームで、実は小規模な店。13時ごろの到着で奥の壁際に若い男女カップル、若い女性の一人客がいた。カウンターは先客が帰った直後で店主が急ぎ片付け、そちらへ着座するよう促される。
まずはカールスバーグの生ビールがあるようなのでオーダー。この店のコース料理の構造や考え方は割と難しく、メニューを見ただけでは全貌はなかなか飲み込めないほど複雑だ。
一方、オペレーションは店主一人で行っているようで、調理からサーブ、フロアのケアまで多忙を極めており、見ているだけでも大変そうだ。先客のオーダーはサーブ途上だったようで、複雑怪奇なダンジョンのような厨房をかけずり回って調理しては運ぶという目まぐるしさ。しかしその合間を縫って丁寧に仕組みを説明してくれた。
パスタ&デリ ハーフ&ハーフ
店主の説明によれば、基本的には客から要望されればパスタ、ピザ、リゾットを主軸に何でも作るのだが、プリセット・メニューがあって初心者へのお勧めがこれ。デリとは、要するに普通のイタリアンでいうところのサラダとパン付きのアンティパストで、プリモピアットとしてハーフサイズの日替わりパスタが付くコースなんだそうだ。これなら我々にも分かりやすい。
デリ=サラダ+アンティパスト+パン+スープ
ハーフ&ハーフが始まる。
他にも色んなバリエーションがあると説明してくれたが説明が詳細すぎて頭に入ってこない。一方、なぜ敢えてこれらの前菜類をデリと呼んでいるか、その後の店の様子を見ていて分かってきた。店舗の入り口にあるコールドケースだが、これはテイクアウト向けのショーケースを兼ねていて、時折、常連と思しきご婦人が来店しては、和洋の様々な惣菜を購入して帰るのだ。
店舗内でアンティパスト、すなわちデリを注文するとその都度コールドケースから出して来て切り分けて再加熱するなり再加工してサーブしているようだ。つまり、業態としては、イートインのカフェ、そしてテイクアウトのデリ・ショップを兼営しているということのようで、店名に冠されるCafe & Deliはそれを意味していたということ。なるほど・・。
前置きが長くなった。デリは6種中2種選べるというが、時短の影響で現在は4種から選択可能とのこと。家内は生ハム、野菜のトマト煮込み、私はフライドポテトとライスコロッケをチョイス。まずはスープが到着。意外なことに中華スープ。鶏ガラベースで掻き卵、ワカメ、葱が入り、ほんわかと優しい味。イタリアン以外のレパートリーも広そうだ。
ついでデリを載せたプレートがサーブ。きっと二人でシェアするだろうからとコロッケには包丁が入れてある。なんとも気働きがする店主だ。サラダはレタス、ルッコラ、水菜などに自家製の胡麻ドレがかかっている。このドレッシングは初めて食べる味で非常に爽やかかつ美味しい。これだけで全体のクォリティが推し量れてしまう。つまり、この店は大当たりだ。
東北産豚の自家製ハムは脂が少ないプロシュート。薄塩で旨味が沁み渡り非常に美味。これだけでビールが無限に入ってしまう。野菜のトマト煮込みは、フレンチのラタトゥイユ、イタリアンのカポナータで、茄子、ズッキーニ、セロリ等がトマト、ビネガーなどでとろり煮てある。上質なオリーブ油の風味、甘いトマトの薫りがなんとも繊細で超美味。これまた無限の口だ。
何の変哲もないフライドポテトだが、一切れ頬張って驚いた。馬鈴薯の本来の香りが強く、こんなポテトは初めて食べた。しかも揚げ油が軽くホクホク、そして塩がまた上等な岩塩なのかボリビア塩なのか、優しく仄かな効き具合。殆どを家内に強奪された。ライスコロッケはご飯というより硬炊きのバジル・リゾットを丸めて揚げた料理。次回はこれを10個ほど食べたい。
パスタ=しらすと野菜のオイルパスタ
こちらがハーフのパスタ。ハーフとはいうが量的にはこれで十分だろう。この日はシンプルなオイルパスタだそうだ。
いやはや、ここの料理はその全てが美味しいのだ。他にもバリエーションが非常に多く、例えば和定食のようなテイストのセットもある。また得意領域は生パスタ、自家製ピザ、リゾットが三本柱というから、ロディアックの神髄を味わい尽くすには昼夜通して相当回数通わなければならない。一方のテイクアウトのデリも非常にクォリティが高く、持ち帰って家でもいただきたいところ。灯台下暗しとはよく言ったもので、家の至近距離にこんなにもエクセレントなイタリアンが出来ていたとは。もっと早くに訪れるべきだった。
お店データ
Cafe & Deli Rodiac Arkestra
カフェ&デリ ロディアック アーケストラ
横浜市港北区篠原台町4-6 サージュ白楽103
電話:045-716-8042
営業:12:00~24:00
定休:不定休(要問合せ)
最寄:東横線 白楽3分
今日の一曲
ECMの当時のリリースから、メレディス・モンクという前衛作家の作品集。このアルバムに限っては無調性、不定拍子が大部分なので現代音楽の分類でも間違いではないだろう。ライフシーンにおける儚い様々な刹那をモンクの鋭い感性で切り取った心象風景が綴られている。これはオーディオ・マニア必携の名作。人の声を楽器の一部と見なした大胆な曲想と構成、更には最小限度のアンサンブル、パーカッションを加えて彼女独特の音楽・詩歌の世界を紡ぎ出している。
(MusicArena 2008/7/29)
今週の珈琲
今回はスペシャルティ・コーヒーの元祖的存在、エメラルドマウンテン。
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