勤務先では毎週水曜日は定時退社日と定めている。そのせいもあってか水曜の夜は大概は何らかの会食なり飲み会なりが入る。
乾杯、そして前菜
毎月この水曜は職場の有志が集う
激辛の会の月例会。どんな集まりかというと名称そのままで、とにかく辛い情報、辛い食材、辛い食事が何より好きな、つまり変な人間が寄り集まる集団なのだ。この日は銀座、というか商圏としてはほぼ新橋に属する四川料理の店。なぜか人気があって大人数の予約は難しい店らしいのだが、会の若手が頑張って予約を取ってくれた。
常用のデジカメを忘れて携帯で撮ることになったが、なにせ初めてのiPhone Xはカメラ・アプリがちょっと変更になっていて、まごついているうちに乾杯が終わってしまった。ということで乾杯の写真は自分の分の生ビールの絵だけ。すかさず前菜が到着。金華ハムのような豚肉の叉焼、蒸鶏のような鶏の叉焼はともに味が深く沁みていて歯触りもがっしり、かなり美味だ。
フカヒレの姿煮、蟹爪のフライ
間髪入れず、メインディッシュが運ばれてくる。
小型の器で小型のフカヒレとはいえ、形は良くてタレの味がとても整った一級品だ。出汁を一掬いして驚いた。こんなにも穏和かつ多元的な美味しいフカヒレ、およびそのスープは中華街の専門店でもそうそう出てこない上等の味に仕上がっているのだ。フカヒレの身はとろとろで口に含むと繊維が自然にほぐれ、餡かけスープと融和して喉を降りて行ってしまう。
蟹爪に衣をつけてそのまま揚げたように見える料理だ。実は殻を剥いた蟹爪の身に、白身魚か鮫か何かで作った蒲鉾状の真薯を纏わせて太らせたものにパン粉をまぶして揚げた料理。真薯には蟹の身がふんだんに練り込まれていて風味は蟹そのものだ。加えて、芯には蟹爪の中のみっしりした身があって、これらが混然一体となり、ほくほく、ねっとりで実に旨い。
北京ダック、小籠包と焼売
綺麗な盛り付けの一皿がサーブされる。
通常、北京ダックは家鴨の体の表面から剥がし取った皮、いわゆる北京ダックと、それを包む烤鴨餅(カオヤーピン)という餃子の皮みたいなもの、具材が別々にサーブされ、店のスタッフがダックを具材と供に包み込んでくるくる巻いてくれるシステムだが、これは最初から厨房で職人が綺麗に巻いて皿に飾り付けてからサーブするというスタイルだ。
最初、何が出てきたのか分からなかった。通常、ダックの皮を乗せて油を吸い取る海老せんべいが上から被せてあって下が確認できなかったからだ。あれは油っぽいので通常は食べないが、これはパリパリ状態なので食べられる。海老せんをどけると美しく巻き上がったダックが姿を現す。なお中身は通常の店で出るものと同じで胡瓜の千切り、そして甜麺醤のタレなど。
熱い蒸籠でそのままサーブ。蓋をとると湯気がもうもう。上段は小籠包、下が焼売だ。熱々の小籠包は蒸籠に敷かれた油紙に貼りついて剥がしづらい。無理に引っ張ると薄皮が破れてジュースが散逸するので箸で慎重に持ち上げレンゲへと移す。ここに針生姜、黒酢、醤油を滴下してから皮を箸の先で突いて破るとジュースがじゅわっと沁み出る。美味しくないわけがない。
海老チリ、牛肉の胡椒炒め
これも最初は何が出てきたか分からなかった。
四川ではこういう料理を海老チリと称しているのか、あるいはこの店の独自アレンジなのかは定かではない。ケチャップと唐辛子で辛味を付けたあのオレンジ色の姿ではなく複雑で具沢山な見慣れない格好で登場した。要するに麻婆の肉味噌で作った海老チリといったところだが、これが辛味・痺れが強く非常に美味、海老本来の風味もしっかり感じられた。
これでもかと振りかけられている黒胡椒の粒は粗挽きで多量、なおかつ鍋振りによって満遍なく牛肉および付け合わせのシメジに辛味が移っている。しっかりとした歯応えで意外に厚みのある牛肉スライスが結構多めに盛り付けられている。パプリカやシメジは脇役なのになぜか滋味と野趣あふれる雰囲気を醸しているのには脱帽した。もちろん味付けも仄かでとても美味しい。
終わりに向かって
蟹レタス炒飯、ふかひれスープが出て、コースは最終盤。
しっかり加熱されているのに、しゃきしゃき感を失わないレタスからは適当に青味が滲んでご飯に沁み渡っており、とても良い塩梅だ。勿論、蟹、金華ハムや長葱、全卵といった具材も秀逸で、そして焼き上げ加減もとてもじょうずな炒飯だ。とろとろ、ちゅるちゅるの熱いスープと共に頂くと、これまた至福の時。全員暫し無言で、満腹なのにまだ入るという感じだった。
以上、飲み放題まで付けて4000円しない。創業は割と最近だが、本格的な四川、また四川以外にも広いレパートリーを持ち、使い勝手の良い店。今回は激辛というほどの料理はなかったが、モデレートな辛さ、痺れを多彩なアレンジの中で楽しむことができた月例会だった。隣のテーブルに出ていた麻婆豆腐がとても辛くて美味しそうだったので、これは次回以降の課題だ。
お店データ
九寨溝(きゅうさいこう)銀座店
東京都中央区銀座7-3-13 ニューギンザビル1号館2F
電話:050-3477-9941、FAX:03-6274-6596
営業:11:30~15:00、17:00~翌7:00
(日曜:17:00~23:00)
定休:無休
最寄:メトロ銀座 5分、メトロ・JR新橋 5分、
JR有楽町 7分
1日1回、
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