Duruflé: Requiem@The Choir of King's College Cambridge |
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Duruflé:
Requiem, Op.9 - Version with Small Orchestra
Ⅰ.Introit
Ⅱ.Kyrie
Ⅲ.Domine Jesu Christe
Ⅳ.Sanctus
Ⅴ.Pie Jesu
Ⅵ.Agnus Dei
Ⅶ.Lux aeterna
Ⅷ.Libera me
Ⅸ.In Paradisum
Quatre Motets sur des thèmes grégoriens, Op.10
Ⅰ.Ubi caritad et amor
Ⅱ.Tota pulchra es
Ⅲ.Tu es Petrus
Ⅳ.Tantum ergo
Messe Cum Jubilo, Op.11
Ⅰ.Kyrie
Ⅱ.Gloria
Ⅲ.Sanctus
Ⅳ.Benedictus
Ⅴ.Agnus Dei
Patricia Bardon (contralto), Ashley Riches (baritone)
The Choir of King's College Cambridge
Orchestra of the Age of Enlightenment
Stephen Cleobury(Cond.)
デュリュフレ:
レクイエムOp.9
グレゴリオ聖歌による4 つのモテットOp.10
ミサ曲「クム・ユビロ」Op.11
パトリシア・バードン(メゾソプラノ)、アシュリー・リッチーズ(バリトン)
スティーヴン・クレオベリー(指揮)
ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団
エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団
デュリュフレという作家について
作家の出自等はWikiなどに詳しいのでそちらに譲るが、少しだけ抜粋、引用しておく。
モーリス・デュリュフレ(Maurice Duruflé, 1902年1月11日 - 1986年6月16日)は、フランスの作曲家・オルガン奏者。ルーヴィエール出身でパリに没した。長寿ではあったが、前半生での多忙な演奏活動と、後半生での交通事故の後遺症により、作曲活動が制約され、出版作品は、最も有名なレクイエムを含めて全部で14曲しかない。少年時代にルーアン大聖堂の聖歌隊員を務め、聖堂の附属学校でピアノとオルガン演奏を学ぶ。17歳でパリに行き、シャルル・トゥルヌミールにオルガンを学ぶ。
18歳でパリ音楽院入学、作曲をシャルル=マリー・ヴィドールとポール・デュカスに、オルガンをウジェーヌ・ジグーに師事。1922年と1928年の間に、作曲科、ピアノ伴奏、和声法、オルガン科で表彰。1927年にノートルダム大聖堂でルイ・ヴィエルヌの助手となる。ヴィエルヌはデュリュフレを後任演奏家にしたがったが、大聖堂当局者はヴィエルヌを快く思っておらず別人を任命。しかし、ヴィエルヌが1750回目の演奏の最中に息を引き取った際、ヴィエルヌのそばで演奏台にいたのはデュリュフレであった。
レクイエム Op.9
デュリュフレは1947年、代表作となるレクイエム作品9を作曲した。グレゴリオ聖歌とルネサンス期の音楽の影響が色濃く、テキストはグレゴリオ聖歌のレクイエムからの引用が主となっているそうだ。それらの引用がデュリュフレ特有の浮遊するフランス印象和声で象られ、古い様式に聴こえるけれども高度に洗練された現代風にも聴き取れる独特のプレゼンスを生み出しているのだ。現在、3つのバージョンが存在している。即ち、初期に書かれたオーケストラ伴奏版、その後、作家自身の手により編曲された小オーケストラ伴奏版、そしてオブリガート・チェロ独奏つきオルガン伴奏版となる。なお最後に収録されているミサ曲クム・ユビロ(Messe Cum Jubilo)にも3つのバージョンがあるが、このアルバムの収録作品はいずれもが小オーケストラ伴奏版だ。そしてその小規模オケは、現在におけるピリオド・アプローチ楽団の最高峰と言われるエイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団が務めている。
このキングス・カレッジ+エンライトゥンメントの演奏だが、実に瞑想的、かつエナジー感を抑制した静謐な演奏設計となっている。デュリュフレのレクイエムはよくフォーレの作品と対比されるが、この演奏を聴くとフォーレのレクイエムとこの作品とでは狙いが全く違うことがよく分かる。因みにデュリュフレのレクイエムには、グレゴリオ聖歌「死者のためのミサ」の中でも最も著名な典礼文であるディエス・イレ(Dies irae:怒りの日)が含まれていない。それの意味するところは、神に対する畏れや死者に対する直接的な鎮魂を目指したものではなく、生き残った遺族のために慰めをもたらすことを企図したためと言われている。
デュリュフレのレクイエムに関しては、演奏も録音も今までのスタンダードとしてオックスフォード・マグダレン・カレッジ合唱団の演奏を基軸にしてきた。キングス・カレッジのこの演奏はマグダレン・カレッジのものとは色彩感がまるで違う。つまり、キングス・カレッジの方は色の照度を極限まで落とし、暗闇の中に僅かに明滅する光の点を精緻に繋ぎ合わせたような設計なのだ。特に第4曲:サンクトゥスが特徴的で、Tpも、CbもOrgも抑制的で、中盤からコーダに向けた盛り上げ方はとても奥ゆかしい。しかし、これはこれで平穏で穏健、とても癒される歌い方である。
合唱は全て男声で、高域部もボーイソプラノで構成。唯一、コントラルトとしてパトリシア・バードンが揺蕩う円熟さを駆使し切々と歌い上げるピエ・イエスが珠玉。このアルバム中で最も色彩感が現れているパートとなっている。また、リベラ・メにおいては、長期修繕に入る直前の稼働となるキングス・カレッジのオルガンの音が生々しく捉えられている。このオルガンは20世紀初め頃にメンテナンスされたというが、1600年代初頭の建造時からの古い機構をいまだに多く残しているという。このオルガンが高域中心のレジストレーションを神秘的に鳴らしながら終曲パラディズム(楽園へ)が静かに閉じられる。
録音評
The Choir of King's College(自主制作レーベル)KGS0016、SACDハイブリッド。録音は2015年1月7~8日、11~12日(セッション録音)、キングス・カレッジ礼拝堂。プロデューサー:Simon Kiln、録音・ミキシング:Arne Akselberg、SACDマスタリング:Sion Gibson、Andrew Walterとある。録音自体は96kHz 24bitのL-PCMであり、その後DSD化したものである。
音質だが、Harmonia Mundi USAによるマグダレン・カレッジ盤とは異なり、空間の溶け合いとアンビエントの豊かさに力点を置いた音造りとしている。敢えて解像度を落とした雰囲気作りが特徴と思われる。コーラスの定位は割と不明瞭だが高い天井方向への飛散を狙い、逆にエンライトゥンメントの器楽とオルガンに関しては克明で明確なビームを伴う捉え方となっている。
SACDレイヤー、CDDAレイヤ共に優秀な音質であり、両者の差異は思ったより少ない。
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