No.38L帰還 |
奥へ奥へと展開するサウンドステージも素晴らしく、そして中央にポッと浮かび上がる奏者の姿が見えるような音像、そしてその周囲に作り出される音場は臨場感豊かで満足のいく代替期間であったと言える。
そして先週末、No.38Lがオーバーホールを終えて帰ってきた。
やはり劣化した電解コンデンサが数多くあったという報告があり、片チャンネルあたり信号経路で15個、電源系の大容量コンデンサを4個交換したという。
Pさんのミニプリを外してNo.38Lをフックアップした直後に出て来た音は予測通り支離滅裂なもので聴くに耐えないものであった。
こういった大掛かりなパーツ交換をした後に音が落ち着くまでには暫く時間が掛かると言うことは経験則上想定できたことだった。こうしたケースでは集中的なエージングが不可欠であり、ずっと音を出し続けた。しかし改善は牛歩のようであり、ちょっと裏技を駆使することに。そう、プリアンプの場合には音を出さなくても最大音量で系全体を揺さぶれば電解コンデンサは学習され、音楽信号に馴染んでエージングされるのである。
寝る前にeARの電源を落としてNo.38Lの音量調整を最大にしたままDP85にエージング効果の高いCDをセットしてリピート設定で再生させるのである。
この効果は絶大で、No.38Lは翌朝には恐るべき変化を遂げていたのである。
Pさん製作の太い音調のミニプリに馴染んだCS7.2は、エージング効果を獲得したオーバーホール後のプリアンプの送り出しに呼応して筋肉質に絞れたビームを放散するように変貌し、そして導入当初に発揮していた極めて高い解像度と深く浸透するサウンドステージを取り戻したのだ。
これこれ! これが本来のNo.38Lの透徹された音であり、この状態を回復するためにハーマンに送ったのであった。それなりのコストは掛かったが当初宣告された予算の半分程度で終わり、そして得られた効果は何物にも代え難いものであった。
オフ会で掛けていたCDを何枚も反芻して聴いてみる。骨格は変わらないものの、これしかないという絶妙な位置関係や臨場感が回復出来たことに溜飲を下げた。これを機にまた精力的にCD試聴を再開したいと思うのであった。それにしてもPさんのミニプリの優秀性は凄い。勿論、No.38Lの無機質でちょっと冷徹な、そして超ワイド超ディープな音場空間とは表現は異なるのだけれども・・・。
(後半の写真は、我が家で効果を出し尽くしたPさんのミニプリ2011年モデルと我が家システム用に設えてもらったRCA-XLRの接続アダプタ)
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