利久庵@関内 |
今日は祝祭日なのでやっているかどうかは微妙だったが店の看板に灯りが灯っていてホッとした。暖簾を潜って入ったその店舗は、凛とした空気が漂っていて、いわゆる名店というか老舗というか、その道ではそれなりに地位を確立している矜持が感じられるいい雰囲気なのだ。店の紹介をしたWebページがあるのでリンクしておく。
15:00近かったのであるが店内はそれなりに混み合っており、また、常連客と思しき余裕ある人たちがひっきりなしに出入りするのはやはり地元の名店であり、また店主が名士でもあるという証かも知れない。さて、冷え込みつつあった午後、家内が頼んだのは暖かい天ぷら蕎麦、私は冷たい鴨せいろだ。
待つこと暫し(割と長時間ではあったが・・)、よく教育された好感度の高い女性店員からサーブされたのは小振りでずんぐりとした厚手の器に収まった天ぷら蕎麦、そして、冷水で締められて丸い笊に盛られた蕎麦だ。
鴨の浸け汁は磁器の椀に暖かい状態でたっぷりと供された。
冷たい蕎麦だが、これは非常に綺麗な細打ちで、見た目にはちょっと緑色がかった感じ。透明度は高くて艶が良いことから茹で上げ時間はちゃんと管理され、しかも冷水で締めるプロセスも丁寧で適切であることが瞬時で見て取れる。ちょっと掬って鼻に近づけると蕎麦の香しい風味が生きていて清々しい。先を漬け汁にちょいと潜らせて頂くと鴨の甘みと長葱の爽快感、加えて葉三つ葉の青味が渾然一体となって五感を擽るのだ。
そして、この蕎麦の場合なによりも歯応えの確かさと小気味の良い喉越しは特筆ものだ。
駅に近い大規模な蕎麦屋が一盛りずつこのクォリティを保っているのは素晴らしいことで、これは確かにおしなべて高評価を得ている理由が分かるというもの。
浸け汁には鴨のスライス肉が結構たくさん入っていてこれ自体とても美味しいのに、香りの良い蕎麦と併せて戴くことによってその滋味と風味はより一層倍加されるのである。
ザク切りの長葱と葉三つ葉が鴨の脂臭さを幾分か中和してくれるので旨味を味わいつつも諄さは殆どないという何とも絶妙な調理には脱帽だ。
写真にはないが、終わり頃を見計らって鉄瓶に入れた蕎麦湯がサーブされた。鉄瓶の取っ手は熱くなっているためか、あて布が巻き付けてあってその辺の気配りも万全だ。香りのよりトロリとした熱い蕎麦湯の〆はまた嬉しいものだ。
名店の名に恥じない素晴らしい蕎麦を供してくれる店であった。
利久庵
横浜市中区真砂町2−17 利久ビル
電話: 045-641-3035
営業: 11:00~20:30
定休: 日曜、祭日
最寄: JR、市営BL関内1分、
みなとみらい線・馬車道5分
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