Fauré: Mélodies@Mireille Delunsch,Marie-Josèphe Jude |
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Gabriel Fauré フォーレ:
La chanson d”Eve 「イヴの歌」op.95
楽園
最初の言葉
燃えるような薔薇
輝く神のように
白い暁
生命の水
目覚めているのか,陽の光のような私の香ぐわしさよ
白い薔薇の香りの中で
黄昏
おお死よ,星屑よ
Le jardin clos 「閉ざされた庭」op.106
聞きとどけ
あなたが私の眼を見つめる時
使者の女
私はあなたの心に身を置くだろう
ニンフの神殿で
薄明りの中で
私にとって大切なもの
砂の上の墓碑銘
4つの歌op.51
涙
墓地にて
憂鬱
薔薇
2つの歌op.76
消え去らぬ香り
アルペジオ
「ある日の詩」op.21
出会い
いつまでも
さようなら
ミレイユ・ドランシュ(S)、マリー=ジョゼフ・ジュデ(P)
フォーレは、歌曲の連作である La chanson d"Eve: イヴの歌(1906-10)と Le jardin clos:閉ざされた庭(1914)によって、最後の作品群における構造化され組織化された単純性(Simplicity)へと更に突き進み、これは最高の仕上がりといえよう。
Robert Orledge(ロバート・オーリッジ=20世紀フランス音楽学の最高権威)が正に強調して言うに「フォーレは合成(synthesis)のための天賦の才を持っていた。即ち、誰にも折衷することなく孤高のスタイルでもって、様式性と調性、不安と平静、魅力と腕力といった要素を相対させ、和解させて行ったのだ。」と。
そしてこのDSD録音が非常に価値あるものであるのは、最初から最後まで、マリー=ジョゼフ・ジュデのピアノが甘く離散的に呟くこと、誇らしげに離散していること、尋常ならざる静粛性において絶好調に達することである。そしてミレイユ・ドランシュの明確で正確な声がこのような成果を開花させた=即ち、彼女の内面の優美さが、類い希な技巧によって、宇宙の中心から情熱を飛躍させるのを誘発しているのだ。
この二つの連作以外のプログラムでは Poème d’un jour、3つのメロディー(1878年)、メロディー(Larmes, Au cimetière, Spleen, La rose, Le parfum impérissable, Arpège;1891年)が入っており、まさにこれはフランス歌曲の珠玉とも言える作品集である。
正にフォーレの神髄と言える飛翔感の強い歌曲ばかりを集めたアルバムであり、シューベルトやワーグナー、ヴェルディに見られる直接的で美麗な旋律はそこにはない。アンニュイと羽ばたき、飛躍と堕落、そういった相反する縦糸と横糸を要素として巧みに織り上げていくのである。
冒頭二つの連作はボリュームと質の点で圧倒的魅力を備えてはいるが、後半の小品たちもこれに劣らず魅惑的だ。2つの歌op.76から「消え去らぬ香り」、「アルペジオ」が圧巻。ドランシュの飾らない透き通った、それでいて実像感の強いソプラノは圧倒的安定感と歌唱力、そしてマリー=ジョゼフ・ジュデの儚く霞がかった茫洋たるピアニズムは得も言われぬ雰囲気を漂わせている。フランスならではの洒脱な音楽性と卓越した歌心に脱帽。
(録音評)
Lyrinxレーベル、LYR2257、SACDハイブリッド。録音は少々古くて2007年9月16-18日、chapelle des dames réunies, marseille, frandceとある。要はマルセイユのとある教会礼拝堂だ。音質は新世代を思わされる恐ろしく澄明でシンプルなもの、そして誇張感の全くない、まるのままの臨場感が特徴の超高性能DSDである。
ドランシュが中央より右側、ジュデのピアノが中央よりちょっと左に位置し、ドランシュは正面よりもちょっと左へ向いて歌っている。時折首を振ったり上半身を捻ったりして歌うので声のビームが微妙に左右へ揺れ動くのがまたリアルだ。恐らくワンポイント録音であって、しかも狙い方が非常に巧くて、マイクの存在もまたスピーカーの存在も忘れ去って音楽にひたすら没頭できるのである。
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