Kissin plays Chopin@Evgeny Kissin - Disc 2 |
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CD2
ショパン
・ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58
・マズルカ第40番ヘ短調作品63-2
・マズルカ第34番ハ長調作品56-2
・マズルカ第41番嬰ハ短調作品63-3
・マズルカ第20番変ニ長調作品30-3
・マズルカ第49番ヘ短調作品68-4
・マズルカ第30番ト長調作品50-1
・マズルカ第32番嬰ハ短調作品50-3
・マズルカ第23番ニ長調作品33-2
・マズルカ第17番変ロ短調作品24-4
・マズルカ第38番嬰ヘ短調作品59-3
・マズルカ第13番イ短調作品17-4
・マズルカ第39番ロ長調作品63-1
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
初っ端はソナタ3番ということで、葬送を持ってこなかった点がカーネギー・デビューを重苦しいものにしないための工夫か。個人的には2番と3番はセットで演奏して欲しいと思うがここでは重厚でオーソドックスな3番をじっくりと弾き込むという趣向だ。キーシンのピアニズムが随所に出た名演だと思う。多少荒れ気味でアゴーギクもきつめ、空白の作り方にもやや強引さが見られる「らしい」解釈だ。
残りは数多いマズルカから円熟度の高そうなものを選んで一気出しで弾いている。これまたキーシンらしい襞の深い、そして多少派手で、言葉は悪いがシャカシャカとフィンガーノイズが目立つ荒れた演奏だ。が、演奏会向けプログラムとしては目鼻立ちのくっきりしたクリアな解釈なのだ。
ショパン演奏には大きく二つあって、これは好対比だと思うのであるが前回取り上げたペライアの様にディテールを丁寧に微細に塗り重ねて全体像を描画するタイプ、そしてここで聴かれるキーシンの様に太筆でばっさり荒削りに書き殴って、その後必要な箇所を細密に塗り込んでいくタイプがある。どちらがよいのかは自分にとっての永年の懸案なのだが、このプログラムの場合のキーシンは嵌っていると言って良いだろう。とはいえ、ショパンの場合には曲によりどちらのアプローチが適しているかは微妙だ。
(録音評)
RCA Red Seal(ソニーBMG)、88697625302、通常CD5枚組。音質は1枚目のそれと同じ。ソナタの狙い方は秀逸で、かなり細かな音まで拾っている。ハンマーの強打によって隣接弦が共振してノイズを発するところまで捉えられている。キーシンのピアノは決して整った音ではないので、音楽メディア製品としての品質まで編集する録音担当側の苦労は並大抵でないと推察される。
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