Verdi: Requiem@Yuri Temirkanov/St Petersburg PO. |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3742972
ヴェルディ:レクィエム
カルメン・ジャンナッタージョ(ソプラノ)
ヴェロニカ・シメオーニ(メゾ・ソプラノ)
アレクサンドル・ティムチェンコ(テノール)
カルロ・コロンバーラ(バス)
ミハイロフスキー劇場合唱団
サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団
ユーリ・テミルカーノフ(指揮)
何とも絢爛豪華、そして重層的な深みと堂々たる展開だろうか。イタリア・オペラ的な甘美で軽量感のあるレクイエムでは決してない。色彩で言えば漆黒に沈む濃い臙脂色とでも形容できようか。前半の一枚目だが、ディエズ・イラは濃密でゆったりとした進行、合唱隊の厚みのあるハーモニーが切々と迫る。カンブルランのクールなディエズ・イラとは解釈が異なっていてウェットな解釈だ。
二枚目はアニュス・デイを朗々と歌うカルメン・ジャンナッタージョの歌声が印象的。そしてルクス・エテルナを経てリベラ・メへ至る過程は非常に緊迫感のあるぶ厚い演奏で手に汗握る展開だ。オケと独唱、合唱の三者のシンクロニシティは素晴らしく息が合っていて、ところどころでユニゾンの太いビームが迸る。
ロシア、ソ連の伝統とも言える重厚かつ堂々たる進行、そして鈍色の渋い色彩感を湛えるレクイエムであった。
(録音評)
Signum Classics、SIGCD184、通常CDの二枚組。録音は2009年3月2日、サンクト・ペテルブルクのフィルハーモニー大ホールでのライブ収録となっている。音質はかなり良好で、独特の冷涼感と奥へ拡がる空間感が特徴で、この音質傾向は耳に覚えがある。それもそのはず、プロデューサーがNeil Hutchinsonとあり、この録音はゲルのLSO Liveなどを手掛けるClassic Sound Ltd.の社長の音作りと言える。
ダイナミックレンジはかなり広く、また周波数レンジ的にも極低音まで伸びているため大音量で打ち鳴らされるグランカッサが野放図に捉えられている。トランジェントな大電流供給が可能なアンプ、それなりのレンジを備えた大型スピーカーで大音量再生すると低周波の威力がまざまざと発現するであろう。ディエズ・イラのグランカッサ連打を楽しむならこのCDが決定版と言えそう。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。