Martinu: Oboe Concerto Etc.@Stephan Schilli, Mariss Jansons/BRSO |
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Martinu: Concerto for Oboe and Orchestra
Zimmermann, B A: Oboe Concerto
Strauss, R: Oboe Concerto in D
Stephan Schilli (oboe)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra), Mariss Jansons
Obはオケでは重要な役割を果たす木管のキー・デバイスなのだが協奏曲という形態になると一気にバリエーションは矮小する。このアルバムはそのObを独奏楽器としてハイライトしたちょっと珍しい構成だ。
収録されているのはどれもが20世紀に書かれた比較的前衛的な作品で、初めて耳にする曲ばかり。マルティヌーはVnコンが有名だがこのObコンもなかなかだ。独特の浮遊感を伴う和声に支えられた夢遊する様な旋律はこの作家ならではの素敵な作品だ。パーカッションとしてピアノが効果的に挿入されているのが印象的で、1楽章はピアノとオーボエのための協奏曲と言った風情の進行具合だ。2楽章以降は独奏フレンチホルンも登場してなかなか華やいだ構築美を見せる。
ツィンマーマンの作品は調性が完全に崩壊したいわゆる12音技法的な曲で、ここではメロディーラインやハーモニーの美しい調和を期待しても無理で、オケの各パートとのインプロヴィゼーションというか、掛け合いの妙を純粋に楽しみたいもの。Obという楽器がいかに幅広い表現能力を備えた楽器かがよく分かる。
R.シュトラウスのオーボエ協奏曲は一転して正統的な作品だ。R.シュトラウスの作品はフランス印象派やドイツロマン派に比較すれば十分に前衛的な作風なのだがマルティヌーやツィンマーマンを聴いた後ではまるでウィーン楽派かと思わされる美しい調和を聴かせる。先頭楽章の冒頭からいきなりObが回音スケールで主旋律を奏で、軽妙洒脱で可愛らしいオケの和声と展開部が続く。
(録音評)
OEHMS Classics、OC737、通常CD。マルティヌーは2008年11月24、ツィンマーマンは2006年9月30日でいずれもミュンヘン・ガスタイク、Rシュトラウスは2006年3月13日ミュンヘン・ヘルクレスザールでの録音。
OEHMSのCDには大雑把に言って二種類ある。一つは超高解像度でディテールが見えるほど細密な描き方をした音楽的にもオーディオ的にも大いに楽しめるSACDハイブリッド盤、もう一つは音楽の襞をクローズアップすることに専念した盤で、音質は極めて地味、余計な音は一切含まれない透過度の高いもの。この盤は後者に属する録音であり、一聴すると音が悪いのではなかろうかと思われる地味さ加減だ。しかし、掛けていて耳が慣れてくると次第に靄のような夾雑物が晴れてきて楽器の音が忠実に捉えられていることが分かるのだ。独奏Obのリアルさと弦、木管、金管、そして打楽器隊のビームの強さが特徴だ。オーディオ的にはツィンマーマンの協奏曲が白眉。
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