Elina Garanca -Bel Canto@E. Garanca, R. Abbado/FTC Bologna |
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(国内盤はこちら↓)
ドニゼッティ:
・『ルクレツィア・ボルジア』~幸せでありたい方に、秘密を教えましょう
・『カレーの包囲』~
・『ロベルト・デヴリュー』~涙の甘美、それは. 苦しむ者に残された唯一の慰め
ベッリーニ:
・『アデルソンとサルヴィーニ』~暗い黒雲の後に
ドニゼッティ:
・『マリア・ストゥアルダ』~おみ足が速くて、女王さま
・『マリア・ストゥアルダ』~ああ雲よ、なんと軽やかに
・『マリア・ストゥアルダ』~寂しき安らぎの平和も失われ
・『マリア・ストゥアルダ』~ああ雲よ、なんと軽やかに
ロッシーニ:
・『タンクレディ』~アンダンテ
・『タンクレディ』~おお祖国よ、この胸の高鳴りに
・『タンクレディ』~大いなる不安と苦しみの後で
・『マホメットⅡ世』~テルツェット
ベッリーニ:
・『カプレーティとモンテッキ』~お目にかかれる光栄
・『カプレーティとモンテッキ』~お聞きください、ロメオが御子息を殺したとしても
・『カプレーティとモンテッキ』~陣地へ戻り
・『カプレーティとモンテッキ』~恐ろしい剣の復讐を、他
Elina Garanca エリーナ・ガランチャ(メゾ・ソプラノ)
Filarmonica del Teatro Comunale di Bologna ボローニャ市立歌劇場管弦楽団
Roberto Abbado ロベルト・アバド(指揮)
前回に次いで得意ではないオペラのアリア集で、またまた殆ど知らない曲ばかり。しかしテレビCMやその他メディアで耳にしたことがある旋律が断片的に現れたりしてそれほど目新しくて面食らうような内容ではない。どういったオペラでどのような粗筋、そしてどういった場面で歌われるアリアなのかは分からないのだが、どの曲の旋律も和声も美しくて心地よい。特にドニゼッティという人の作品は初めて聴くわけだが、なかなかのメロディー・ライターであり、普段は長大で複雑な構築構造を示す器楽曲ばかり聴いている耳にはシンプルで新鮮な響きだ。
ロッシーニは名が売れた大作曲家ではあるがやはりオペラと歌曲の人であって器楽を主たる鑑賞レパートリーとしている身では触れる機会が非常に少ない人。タンクレディと言う作品から抜粋されたこれらの歌曲はとてもモダンで彼が生きた時代背景とはマッチしないほどアップ・ツー・デートで都会的な作風と感じる。こうして聴いてみるとオペラの歌曲は旋律も歌詞もどれもが世俗的で分かりやすく、口ずさむには適度な短さなのだと思う。これは現代における歌謡曲の一曲の時間が3~5分であることに相通ずるものがある。
ガランチャという人の歌だが、前回登場のカサロヴァとは大違いで女性的で優美、滑らかにして誇張感のないまろび出る感触なのだ。アルバム・タイトルにもあるように、まさにベル・カント唱法によるメゾの典型と言える自然な歌、そしてなんといっても声質がベルベットのように微細な毛羽立ちを伴っていてふんわりと包み込まれるような心地よさなのだ。あっという間の1時間だった。
バックオケについては独唱を全面に立てた奥ゆかしいサポートとだけ述べておく。因みに指揮のロベルト・アバドは巨匠クラウディオ・アバドの甥で目下売り出し中。
(録音評)
DG、4777460、通常CD。録音は新しく、2008年11月18-23日、ボローニャ、マンゾーニ劇場での収録とある。録音スタッフはトーンマイスターがStephan Flock、アシスタント・エンジニアにRainer Maillardという布陣でエミール・ベルリーナ・スタジオ純正だ。
音質は昨今のDGにしては演色度の低いものだが、残響は暖色系でこれはホールの固有音を反映したものと思われる。全体にオフマイク気味で録られていて音場は奥へ奥へと展開し、かつサウンドステージは広大だ。恐らくマイクは平行セッティングされているようで見通しは良好、壁抜け現象が起きている。ガランチャのベルベット・ボイスはステレオマイクで捉えられていて身を捩ったり首を左右に振ったりしている様子がリアルだ。
最近あまり買うことのなかったDGではあるが、このCDはなかなかの優秀録音盤だ。
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