J.S.Bach: Vn-Con BWV 1043 Etc.@Julia Fischer, ASMF |
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J.S.バッハ:
①2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043
②ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 BWV1041
③ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV1042
④ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調 BWV1060
ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)
アレクサンダー・シトコヴェツキー(ヴァイオリン)①
アンドレイ・ルブツォフ(オーボエ)④
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(アカデミー室内管弦楽団)
ASMF(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)とは日本ではネヴィル・マリナー/アカデミー室内管弦楽団の名で通っている元々はバロックを専門とする古楽アンサンブルだったのだが、ここもまたアーノンクールCMW(ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス)と同じ様な経緯で多様化を推し進めてきた楽団である。非難を覚悟で凄く乱暴な言い方をするならバロック界のポール・モーリアみたいなところ。そう言えば諏訪内の新譜のブルッフもASMFだったし、ユリアもなんだかそっち方面へ方向転換したと言うことなのか・・?
バッハ演奏については、例えばピアノで弾くクラヴィーア曲でも言えることなのだが、どういったアプローチをするかによって曲想自体は千変万化する。このCDは典型的なロマン派アプローチによるバッハであってひたすらに耳に優しくて刺激がない。ユリアのVn演奏の技巧は勿論良いのだが、これではイージー・リスニングと言った方がふさわしい解釈であり、正統派バッハと思って聴くと完全な拍子抜け。
扱っているこれらの協奏曲も無難というか、元々はCemコンとして名高いものの弦楽バージョンであり、二台のCemのためのBWV1043はそれぞれ2挺のVn、名曲BWV1060に関してはVnとObをフィーチャーしたバージョンを弾いている。
ペンタトーン時代のユリアの演奏は細い線を基本としながらも異様な集中力と張りつめたエネルギー感が特徴だったのだが、このバッハ曲集は肩肘が弛緩したような温度感の低いものであって、移籍再デビュー盤としての演出としては首を傾げるばかり。
アンサンブル楽団員のVnとユリアのVnの違いはよく分からないし、BWV1043の共演相手であるシトコヴェツキーのVnが寧ろ主役っぽく聞こえてしまうのは皮肉なもの。またBWV1060のルブツォフのオーボエ独奏が極上の美音であってそこにはユリアのVnが入り込む隙間も見いだせないほどだ。全体にユリアの線の細さばかりが目立っている格好だ。
このデッカの一枚目を聴く限りにおいてはペンタートーン時代の方がチャレンジャブルで大いに楽しめる演奏だったと言わざるを得ない。バッハで行くならば過去のリリースと重複しても構わないから無伴奏Vnソナタ/パルティータなどでユリアの存在感を示した方が正解だったと思うのだが。今後に期待するしかないだろう。
(録音評)
DECCA、4780650、録音は2008年6月、ロンドンとある。音質は地味系のデッカとしては異例のブリリアンスを纏っていて華やかなものだ。現在ではユニバーサル傘下に入っている大手名門なのだが、その中でも音質的には最も良心的と思っていたところ、こんなのも出すんだというのが率直な感想。音質的にも聴きやすさから言ってもイージー・リスニングだ。それと、ユリアのあの細くゴリゴリしたVnの独特の風合いがDSDで楽しめないのも痛いところだ。
(あとがき)
従来からのスタンダードな先入観でこの盤を聴いてしまうと辛口にならざるを得ない。ユリアは一介のビジュアル系女流に成り下がってしまうのか、という危惧を抱いてしまう出来映えで、これはデッカのプロデュース・ミスという気がしてならない。うーん、ユニバーサル傘下へ移籍するというのはセールス的には成功なのかも知れないが作品の出来映えとおもしろさという点においては如何なものなのか。寡占化が進むのはどの産業界においても弊害が多いと言うことなのか。
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買おうと思っていたんですが、イージーリスニングですか。
私的にはそれも一応ありなので、たまには肩の力を抜いて買ってみようかと思います。w
オリジナルのバッハ演奏に拘らなければ優しくて耳触りのよいアルバムです。私がオリジナル主義に拘りすぎている気がしますね。ユリアは巧いVn奏者ですしアルバム自体の完成度は高いと思いますよ。但しロマン派なんですよ、このバッハ・・。それだけです( -.-)
あらっ?という感じですね。ペンタ盤はマスター様のお薦めもあり
メンデルスゾーン、モーツァルト、バッハの無伴奏、あ、ブラームスも
買ったかw、それぞれ気に入っていたのですが・・・・・・・・
私はSなんやらH-CDの3,000円は高いので「犬」の1,500円で十分と
思い、ということでHMVに「2倍音が良い」と予定原稿をコメントで
書いたのですが、輸入盤購入も見送ります(爆
ロマン派のバッハも良いのでしょうが、私は今、レオンハルトさんの
ゴールドベルクSACDに痺れてますのでw
ではでは。
ペンタトーンのシリーズは大いに楽しめますよねw レオンハルトのゴルドベルクはまさに燻し銀、珠玉の名演ですわ。バッハが生きていたら恐らく同じ演奏をしたと思います。
このアルバム、別に悪いと言っている訳じゃないんですよ。これらの曲を聴きたいなら敢えてこれを選ぶ必要もないでしょう、という意味ですww
ユリア・フィッシャーの演奏はこのディスクで初めて聴いたのですが、、、ペンタトーンの方が良いそうですね。
このバッハ、私的にはロマンティックで結構好きなんですが、ユリアはもっと刺激的な側面もあるのですね。一度ペンタトーンのも聴いて見ます。
このCDは確かにロマン派解釈ですが、大規模オケのバックとかではないのでくどさはないですね。悪いアルバムじゃないんですよ、決して・・。聴きやすいですよね。
Pentatoneですが、ユリアはかなり硬派なヴァイオリニストというのが聴いて取れると思います(刺激的というほど荒っぽくはないですよ、決して・・)。いやいや・・、Pentaの方はなかなか素敵ですわ・・www
注文されました? 決して後悔するアルバムじゃないですよ。これはこれで綺麗で良い感じの出来です。 ま、求道的なバッハ聴きには適さないでしょう、というお話しでした。
ペンタトーンですか? 是非是非こちらのユリアと併せてお聴き下さいませw
さっそく届いたのでじっくり聴きました。
なるほどw
イタリア合奏団の「Vivaldi 調和の霊感」みたいなものですね。
ちょっとも霊感は感じられないけれど激しく美しい。w
私の場合、ピリオド楽器のバッハが一番しっくり来るというのがよく分かりました。
届くのが速いですねw 綺麗は綺麗でしょ。雑味なく歪なくとても繊細ですよね。
>私の場合、ピリオド楽器のバッハが一番しっくり来るというのがよく分かりました。
はい。確かにイタリア合奏団ね・・ww。
私の場合、ピリオド(オリジナル主義)的にはレオンハルトかムジカ・アンティクア・ケルンが落ち着きます。
同じことをビクターからデッカに移籍した村冶佳織に感じてしまいますね。彼女の最新CD、「KAORI MURAJI plays BACH」はユリアのこのCDと共通したものがあります。
ちょっと前の記事にコメントをつけて下さりありがとうございます。
村治香織、店舗には平積み&新譜コーナーに大々的に飾ってありましたね~。やはり商業的な意味ではビジュアル重視ということなんでしょうかね? そのうちユリアのCDもDVDバンドルになりそうな気配 orz