ATH-CKM50 その後 |
まず、過剰なくらいボンボンと野放図に鳴っていた低域、超低域だがこれが治まり、筋肉質で引き締まったハイスピードな低域を出すようになった。CKM50には大中小と三つのサイズのイヤーピースが付属するが、現在は多少きついのだが一番大きなものを使っている。これが最も遮音性が良く、かつ低域が豊かに響く。寸法が小さくなるに従って低域の量は減少するし遮音性も低下する。
驚くべきは中高域のローレベル再現性の改善で、このミュンフンのダフクロ を聴くとあからさまに分かるのだ。全体の8割がたがピアニッシモと言ってよい、幽玄で霞棚引くストリングスとコーラスが特徴なのだが、これが雑多な騒音でうるさい電車内であってもしっかりとディテールが分離して明確に聴取できるのだ。また、所々でコンバスやグランカッサが地鳴りの様に轟くのであるがこれがまた破綻なくナチュラルに響いてきて、思わず電車内外から伝わる極低音ではないかと錯覚するほどだ。
そして、楽器音の正しさ、特にピアノやブラスのビームが自宅のCS7.2と殆ど同じバランスで鳴っていることが確認できるソースがリーズ・ドゥ・ラ・サールが弾くこれ だ。ショスタコのPコンには独奏トランペットも登場し、これが奏でるビームが頭の中にストレートに放射され小気味がよい。また、繊細を極めるリーズのピアノはどこまでも透明で美しいし、残響が空間に綺麗に吸い込まれるのが見事に再現されている。
ETYMOTIC RESEARCHやUltimate Earsの製品、また多くのメーカーが出しているバランスト・アーマチュア方式の製品が持つ中高域の独特のシズル感と輪郭強調感は余り感じられないが、このCKM50の非常に繊細でナイーブな質感はそれらとはまた違って自然でなかなかによろしいのだ。
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