Schumann: Liederkreis Op.39 Etc.@Dorothea Roschmann, Mitsuko Uchida |
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Schumann and Berg: Dorothea Roschmann & Mitsuko Uchida
Schumann: Liederkreis, Op.39
1. In der Fremde
2. Intermezzo
3. Waldesgesprach
4. Die Stille
5. Mondnacht
6. Schone Fremde
7. Auf einer Burg
8. In der Fremde
9. Wehmut
10. Zwielicht
11. Im Walde
12. Fruhlingsnacht
Berg: Sieben fruhe Lieder
1. Nacht
2. Schilflied
3. Die Nachtigall
4. Traumgekront
5. Im Zimmer
6. Liebesode
7. Sommertage
Schumann: Frauenliebe und -leben, Op.42
1. Seit ich ihn gesehen
2. Er, der Herrlichste von allen
3. Ich kann's nicht fassen, nicht glauben
4. Du Ring an meinem Finger
5. Helft mir, ihr Schwestern
6. Suber Freund, du blickest
7. An meinem Herzen, an meiner Brust
8. Nun hast du mir den ersten Schmerz getan
Dorothea Roschmann (Sop.) & Mitsuko Uchida (Pf)
内田光子&ドロテア・レシュマン/シューマン:リーダー・クライス、女の愛と生涯、他
ロベルト・シューマン: リーダークライス 作品39
1:異郷にて
2:間奏曲
3:森の対話
4:静けさ
5:月の夜
6:美しき異郷
7:古城にて
8:異郷にて
9:悲しみ
10:たそがれ
11:森の中で
12:春の夜
アルバン・ベルク: 7つの初期の歌
1:夜
2:葦の歌
3:ナイチンゲール
4:無上の夢
5:部屋のなかで
6:愛を讃える
7:夏の日々
ロベルト・シューマン: 女の愛と生涯 作品42
1:あのひとをみたときから
2:すべての人にまさって
3:わたしは判らない
4:わたしの指にさした指輪よ
5:愛する妹たち
6:いとしい人よ
7:わたしの心に、わたしの胸に抱かれる
8:いまあなたはわたしにはじめて苦痛を与えました
ドロテア・レシュマン(ソプラノ)
内田光子(ピアノ)
内田光子が歌の伴奏をしたCDを出すのは久し振りらしく、前回は12年前のイアン・ボストリッジと録ったシューベルト:美しき水車小屋の娘だった由。このプログラムのテーマは愛と生涯だそうで、シューマンとベルクの歌曲をフィーチャーしている。録音は2015年5月にウィグモアホールで行われたリサイタルでのライブ収録となっている。
シューマンはリーダークライスと題した歌曲集は二つ書いている。一つはハインリヒ・ハイネの詩に基づく歌曲集Op.24、そしてヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩に基づく歌曲集Op.39で、この盤に入っているのは後者。作曲はいわゆる歌の年と呼ばれる、歌曲をいっぱい書いた1840年であり、円熟した時代の秀作と言える。歌曲と言えばシューベルトなのかもしれないが、シューマンもまた優れた歌曲の作家であり、このOp.39も旅情と哀愁、憂鬱がないまぜになったアイヒェンドルフのリテラルを上手くメロディーに載せている。レシュマンの襞の浅いヴィブラートが切ないし、内田の内省的なPfが光る。
女の愛と生涯Op.42も1840年の作曲となり、これはアーデルベルト・フォン・シャミッソーのリテラルに基づく連作歌曲集。シャミッソーの詩は彼の私的な結婚観が描かれたものとされており、即ち封建的な夫婦観・・夫に尽くす妻の視点・・を記したもの。リテラルの邦訳を読むと、若かりし日の夫との出会い、その後、家庭に幽閉されたくるおいしい盲目的な妻の心境、そして年老いて夫に先立たれた時の心境が訥々と歌われており、なかなかに胸打たれる内容。レシュマンの訴求力、内田の仕掛ける波状攻撃的なピアノは伴奏の域を超えたところで迫り来るものがある。
真ん中に割って入る格好のアルバン・ベルクの7つの初期の歌は、いわゆる無調性の12音技法へと舵を切る前のごく初期の調性音楽であり、どちらかというとフォーレ、ドビュッシー、あるいはフランクなどフランス系の後期ロマン派の影響が見て取れる歌曲集である。アルバン・ベルクは生涯に83の歌曲を書いたとされているが、その多くは前半または初期のもので、生前に発表されたのは10曲程度だった。この作品は生前に出版された少数のうちの一つ。1905~08年にかけて別々の詩人のリテラルに曲をつけたもので、従って内容的には雑多でストーリー性はない。曲としては飛翔感が強くて浮遊する様な気持ちの良い旋律が殆ど、そして和声は増四度、減六度など離散的かつ美しいコードを多様に組み合わせて構成していてなかなか面白く聴き応えする。レシュマンも内田もシューマンとはまるで違った浮き立つ雰囲気で演奏しており、フローラルでポップな雰囲気がとてもよろしい。尚、この音楽としては主旋律を歌唱、対旋律と伴奏をピアノ、という専業的な役割分担ではなく、互いに独立した対等な掛け合いが軸となっているもの。
ドロテア・レシュマンは評判通り奥の深い歌唱を聴かせる超一流ソプラノだし、内田のピアノはインサイトに鋭く迫り来るものがあって、これまた超一流ピアニストと断言できる渾身のパフォーマンスを聴かせてくれた。なお、二人の息がぴったり合っていることは言うまでもない。
(録音評)
Decca 4788439、通常CD。録音は2015年5月2日&5日 ロンドン、ウィグモアホール(ライブ)。ウィグモアホールの音響は非常に優れていると思われ、音場の深い展開、リアルな空気感、ソリストの定位の良さは際立っている。同様の感覚はウィグモアホールの自主レーベル=Wigmore Hall Liveでも得られ、実はこのDecca盤の音場展開と音像定位は自主レーベルと全く同じと言ってよいほど似ている。これほどまで再現性があるとは不思議なもので、実は、DeccaはWigmore Hall Liveに収録・編集を依頼しているのではないかと訝るくらいだ。数年前に聴いたクリスティアーネ・カルクのウィグモア・ライブにもアルバン・ベルクの7つの初期の歌が入っており、歌手は違えど同じホールでのライブということで聴き比べると面白い。三次元立体音響を味わいたい人にはお勧めの一枚。
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