グリル・エス@馬車道 |
前回は東京・上野の洋食の老舗=黒船亭を訪れたが、こちらはハマを代表する老舗洋食レストランの一つとされるグリル・エスである。この店は日曜が定休、そしてランチタイムは14:00前にラストオーダーとなってしまうなど、なかなかハードルが高い店で、今回初めて食べることとなった。関東地方は梅雨入りし、しとしと雨が降るなかを馬車道方面へ出掛けた。
今日は珍しく早めのスタートが切れたのでこの界隈でチョイスできるランチの幅は広い。そんななか、なんとかグリル・エスが営業中に駆け込むことが出来た。1954年創業というこの店の古めかしい風情の構えは表からしか見たことがなかったのであるが、店内もそれと呼応する重厚で落ち着いた昭和レトロの雰囲気で、これは今時ではなかなかに得難くて良い雰囲気である。くすんだ暖色光を柔らかに放散する歴史的なシャンデリアがアイロン掛けされたクロスを纏ったテーブルたちを仄かに照らす店内は雨にも拘わらずほぼ満席。一番奥の厨房前の四人掛けテーブルだけがポツンと空いていてそこへ通された。
存在感と威厳に満ちた年配女性経営者(だと思うが・・)の仕切りとは対照的に、てきぱきとした動きで笑顔が印象的な若い女性スタッフの細やかな応対は気持ちがよい。
頼んだのはいわゆる「洋食ライス系」で、家内はカレーライス、私はハヤシライスとした。
因みにこの店はグリル・エスというが、正式には「ステーキ&グリル・エス」というくらいで、A5等級のビーフ・ステーキが売りの本格レストランなのだ。
事実、隣のテーブルにいた飲食店経営者と思しき年配の4人組み男性客らは鉄板上の上等なステーキを美味そうに頬張りながら関内の食の将来について熱く語り合っていた。
ライス系、またパスタ系やフライ系がカジュアル価格で有名らしいのだが、本当は重厚なステーキをじっくりと味わいたい名店なのだ。着席と同時にメニュー、お冷や、お手拭きが出て、暫くののちにオーダーしたらすぐにスプーン、フォーク、ナイフ、そしてランチ・セットでデフォルト・バンドルとされているサラダが並べられた。そして「ライス系洋食」に不可欠な福神漬けと辣韮が追いかけてサーブされる。
ここまでの所作を見ていると本物のレストランの慣習がちゃんと残っていて嬉しい。
歴史ある店でもスプーンやフォークなどの食器と紙ナプキンは籐籠に入れたままテーブルに残置されるような店が増えて味気ない昨今だが、グリル・エスは顧客サービスを生業とするレストランとしての店側のベーシック・マナーをちゃんと堅持しているのだ。
余り時間が掛からずにオーダーの品がサーブされた。
グレイビーボートになみなみと注がれたカレーとハヤシがでん!と置かれた。
うーん、深くて良い香りだ。色的には真っ黒で、カレーとハヤシの区別はつき難い。
カレールーの方はC&B(クロス・アンド・ブラックウェル社)のスパイス・ミックスが含まれていると思われるリッチな風味の欧風、いや、現在ではかなり希少となってしまったホテルの良き時代のカレーの薫りが詰まっている。
とろみはソテード・オニオンだけで獲得されていると思われ、小麦粉っぽさは一切感じられない。
一方のハヤシはトマトの酸味が爽やかに残る一方、デミグラスの濃厚感が放つ独特の甘みも強くて舌触りも喉越しも優しい一品だ。
この深い基礎ソースの味わいとほろほろに煮溶けた牛肉の滋味が得も言われぬコロイド状態を作り出しており、硬めに炊いたご飯に添えるとそれはそれは絶品なのであった。
(※店内は相当暗く、写真撮影条件が芳しくなかったのは悪しからずご了承願いたい)
STEAK & GRILL S (レストラン グリル・エス)
横浜市中区相生町5-89
電話: 045-681-2581
営業: 11:30~13:45、17:00~21:30(土祝:~20:45)
定休: 日曜、祝日の月曜
最寄: みなとみらい線 馬車道駅3分、JR関内6分
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫
住所:横浜市中区相生町5-89 電話:045-681-2581 営業:11:30〜14:00 17:00〜22:00 定休:日曜・祝日の月曜 交通:みなとみらい線馬車道駅5番出口から徒歩3分 Hot Pepper 食べログ 1954(昭 ...... more