一品香@伊勢佐木町 |
一品香はチェーン店化されたあと永らくは尾上町の川岸のビルに本部機能あったが、10年ちょっと前であろうかこの店舗に機能を移したと記憶する。
ジョイナスの地下二階にも店はあるが、どうも本家の味からは遠ざかってしまっているようで、あの時代の湯麺を味わいたいなら伊勢佐木町と吉田町の外れにあるこの店ということになる。まだ子供が小さい頃、一品香へは乳母車を引いて良く通ったものだ。小さな子供連れでも嫌な顔をせずゆっくりと食事をさせてくれたため、当時隆盛を極めていたファミレスと並び一品香は我が家の常用店だった。
店に入ったら割と混んでいて、通されたのは二階席だった。まったりとした雰囲気の中、先客は近所のバーの女将さんや料理屋の主人、板前たちだ。楽しそうに昔のハマの夜の街の話を繰り広げている。こちらもそんな頃を懐かしむ会話をしつつ、夫婦で頼んだのは無論「絶品たんめん」だ。ついでに焼き餃子2枚にハーフサイズのチャーハンも一つ頼んだ。
本当はキリンのラガービールも頼みたかったのであるが、この後やることもあったので我慢した。
待つこと暫し、うぃ~~ん!と轟音を上げて配膳用エレベータが運んできたのはハーフのチャーハン、そして葫の香りが仄かに立ち上る絶品たんめんの丼が二つ、次いで餃子が二枚と、立て続けにサーブされた。
ここの湯麺は、いわゆるラーメン屋の品物ではなく、さりとてその辺の街の中華屋の麺でもない。やはり一品香の湯麺だ、といわざるをえない孤高のプレゼンスをもっているのだ。
当然だが、全国から集めた上質な天然素材を長時間煮出して拘りの味を出しました、という代物ではない。
地味な鶏ガラのスープ・ベースに数種の野菜から煮出された優しい甘み、そして欠かせぬ旨味調味料、つまり化調を適量加えた分かり易い昭和の味であって、これが中太の縮れ麺に絡んで得も言われぬ安心感を醸すのである。
我々、昭和の中期に生まれ育ったものとしては原点とも言える味かも知れない。
長い時間をかけて、しかもお喋りをしながらゆっくりと麺を啜っても延びることはなくて、最後までしゃきっとしたこの麺は優秀だ。
そして、冷めてきても旨味が失せない「絶品」のスープには長い時代を生き抜いて来たそれ相応のノウハウが詰まっているのだ。
今風のラーメン専門店のクォリティや風情、そして味わうべきポイントとはずれるのだが、やはりここ横浜では外せない定番の味なのであった。
勿論、今後の展開はわからないのだが是非とも生き残って欲しい地元土着の味を守っている店の一つなのだ。
横濱 一品香(いっぴんこう) 福富町店
横浜市中区福富町仲通1-1
電話: 045-261-1636
営業: 11:00~22:00
定休: 火曜
最寄: JR・市営BL関内5分、
みなとみらい線 馬車道12分
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