MIKA AGEMATSU plays CARPENTERS@Mika Agematsu |
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通常盤はこちら↓
1. 青春の輝き
2. トップ・オブ・ザ・ワールド
3. 遥かなる影
4. シング
5. 雨の日と月曜日は
6. イエスタデイ・ワンス・モア
7. ジャンバラヤ
8. 愛のプレリュード
9. 愛にさよならを
10. 愛は夢の中に
11. Arco iris~虹~
上松美香(alpa)
カレン・カーペンターが逝去して26年も経過した今頃、何故カーペンターズなのか、というと、今年はカーペンターズ結成40周年なんだそうだ。そのヒット曲をアルパという楽器でカバーするという企画もので、通常盤と初回限定SHM-CD盤が出ているが、これはたまたまSHM-CD盤だ。盤の材質によって音質が良いか悪いかは例によって判然とはしない。
アルパとはスペイン語が語源でハープの意味。主にラテン・アメリカ諸国のハープをそう呼ぶ。16世紀初頭、スペイン人が南米大陸に入植したときにカトリック教会で使われていたハープを原住民が真似て発達したものが現在の形になっているという。パラグアイ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、メキシコなどのフォルクローレには決まって使われていて、中でもアルパ・パラグアージャ(パラグアイのアルパ)は有名。ベネズエラとコロンビアの国境付近のジャネーラ地方という場所で使われているアルパ・ジャネーラも普及してきている。どちらもボディは木製で弦はナイロン製ということで、通常のハープに比べると華やかで明るい音色が特徴。
1970年代に繁栄を極めたアメリカ合衆国を支えた、いわゆる中産階級の幸せで豊かな暮らしと心持ちが見え隠れするカーペンターズの音楽は時代と国を超えて今もなお愛聴されている。現在45~60歳くらいの人たちはリアルでカーペンターズに触れてきているはずで、その層に対してはどこかノスタルジックで甘酸っぱい追憶を喚起する格好のアルバムではなかろうか。カーペンターズとよく比較されるのがビートルズであるが、両者の音楽はバックグラウンドも興行手法も、また内容的にも全く異なっているので単純対比は意味がないことと思っている。個人的には、MTTのマーラーなどハードで厳格な音楽ばかり聴いていたためか多少疲れ気味の聴覚を癒すには理屈抜きで楽しめるアルバムだ。
上松美香は現在27歳という事でカーペンターズが大ヒットしている頃には生まれておらず、丁度カレンが死んだ頃に生まれたこととなる。ま、そうは言ってもメディアに刻まれて残った彼らの作品群は夥しく、しっかりと勉強した足跡が編曲の妙味から窺えるし、バックを支える旦那をはじめとしたスタジオ・ミュージシャンたちの百戦錬磨の技量/センスも光っている。
殆どのトラックは上松のアルパを囲むコンボ~アンサンブル形式のアレンジとなっているが、大ヒット曲Yesterday once moreはアルパのソロだ。ハープよりも多少ルーズで豊かな低域弦、華やいだ中高域弦の表現力は予想以上の豊かさであり、独奏楽器としての可能性を大いに認識させられる。アルパはギターと同様の撥弦楽器だがフレットによる音程操作を必要としないため二手十指の全てを発音のために使うことが出来る。そのため音の数がギターなどに比べて桁違いに多く、複雑な和声や小刻みな旋律展開も可能となっている。
オフ会などで箸休めとしてかけるに好適なアルバムではなかろうか。
(録音評)
UCJレーベル、UCCY9007 、通常CD(SHM-CD)。超低域も高域もだら下がりに設定した中域重視のぶ厚い音調でとても聴きやすい。アンサンブルのマイクアレンジとミキシングによる定位はこの手のCDとしては良好の部類で比較的穏和な位置に明確な像を結ぶように設定されている。ディテールを抉るような細密感はないもののどっぷりとしたアルパの太い響きが好印象だ。
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