Mahler: Sym#1@MTT/SFSO |
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・マーラー:交響曲第1番「巨人」
サンフランシスコ交響楽団
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
他のマーラー・チクルスに見られるMTT/SFSOの形質そのままの巨人である。いつもの通り知性的でマッシブ、そして聴く側にもある種の緊張感が強いられるテンションの高い、しかし過度の温度感は微塵もないクールなマーラー。
楽章ごとの時間配分を昨今の他の録音と比べると大体の特徴が分かる。以下、ノリントンSWR、ブーレーズCSO、ハイティンクCSO、そしてこの盤の順。
R.N/SWR 15:04 - 7:36 - 09:39 - 19:30
P.B/CSO 16:00 - 6:48 - 10:39 - 19:20
B.H/CSO 16:46 - 8:34 - 11:11 - 21:08
MTT/SFS 16:08 - 7:44 - 11:31 - 20:55
MTT/SFSOは全体に中庸より遅めだが、前半はハイティンクの新譜よりは速い。3楽章をハイティンクよりもゆっくりと構築した後、4楽章も細心の注意を払いつつゆったり精緻な描き込みを行っている。この盤を聴いてしまうとブーレーズCSOの最終楽章の音が少なく、余りに淡泊すぎて食い足りないと感じる。また、ハイティンクの4楽章とはデータ上は殆ど変わらないのであるがMTTの方が早足に聞こえるのは微細なアーティキュレーションが幾重にも重ねられていて細部が見えすぎるせいだと思われる。
SFSOの統制のとれた演奏はどの楽章も素晴らしく、また破綻らしい破綻は一切無く、しかもどのパートも美音だ。余りに完璧、均整が取れすぎていて恐いくらいだ。それでいて聴かせ所の盛り上げはMTTの呪術的にミクロなアゴーギクが奏功して疾駆感が堪らない。情感任せの熱演・爆演が主だった20世紀の名録音といわれる盤たちとは一線を画した巨人である。
但し、こればかりを聴いていると大いに体力を消耗してぐったりとしてしまうのは演奏内容/解釈とは裏腹の大きな欠点かも知れない。
(録音評)
AVIE Records、82193600022、SACDハイブリッド。2001年9月19日~23日にデイヴィス・シンフォニー・ホールで開催された定期演奏会のライブ収録。録音担当は恒例によってTritonus Musikproduktion GmbH。リリース時期はちょっと前なのだが音質は最新の大地の歌とほぼ同等で、この頃からこの録音ファームの音は変わっていないようだ。
敢えて超高音質と言うまでもないいつもの品質であり、現代最高峰のマラ1録音に列挙して差し支えないだろう。
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